効率低下、事故の危険増 梅雨期埋却遅れ懸念

(2010年6月9日付)
 地盤がぬかるんで牛や豚の埋却作業を遅らせたり、消毒液を流したりしてしまう「雨」に、口蹄疫対策の関係者は懸念を強めている。

 宮崎地方気象台によると、梅雨入りは12日前後と平年より2週間ほど遅いが、降水量は平年並みか多いと予想。雨により埋却現場では事故の危険性も増すため、作業スピードが落ちることも予想される。

 感染の拡大防止は家畜の殺処分と埋却が鍵を握る。県農政企画課によると7日現在、感染・感染疑いによる処分対象は18万1753頭で、83%の処分を完了。ワクチン接種後の処分頭数を含めると対象は27万2193頭に膨らみ、処分率は56%となる。処分は4月20日に始まり、5月以降は600人以上の態勢で臨み、最多で1日8506頭を処分。しかし、雨に見舞われた5月22、23日は566頭、322頭にとどまった。

 処分頭数は作業が難しい牛の数、埋却地や人手の確保状況などに左右されるが、同課は「一番の要因は天候」と説明。牛や豚を埋める深さ約5メートルの穴を重機で掘る際に地盤が緩み、事故の危険が増す。穴にたまる水はポンプで排水するが、中断を余儀なくされる場合もあるという。

 同気象台によると、九州南部は平年、5月29日に梅雨入りし約45日間続く。6月の1日当たりの降水量は1ミリ以上が15・1日、このうち10ミリ以上は9・6日に上る。今年の降水量は平年並みか多いと予想されている。

 埋却作業に当たる川南町の30代職員は「消毒用の石灰が水と混ざって熱を持つため炎症を起こす人もいるし、防護服にカッパを重ね着するので暑い上に動きにくく、作業効率は落ちてしまう。人命も大事にしつつ、作業も急がなければ」と語る。

【写真】殺処分した豚の埋却作業に当たる宮崎市職員ら=8日午後、同市佐土原町(同市提供)