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基地の島・沖縄が揺れている/3 不安と負担

 ◇爆音に苦しみ、墜落などの不安

 アメリカ軍の嘉手納飛行場や普天間飛行場は市街地にあり、住民はいつも戦闘機などの爆音に悩まされてきた。軍に夜間や早朝の飛行をやめるよう求め、裁判が続いている。墜落や不時着、部品落下などの事故も少なくない。日本復帰前の1959年に石川市(現うるま市)の小学校に戦闘機が墜落、児童ら17人が死亡する惨事となった。

沖縄国際大学に墜落したヘリコプターをトレーラーに積みこむアメリカ兵=2004年8月17日
沖縄国際大学に墜落したヘリコプターをトレーラーに積みこむアメリカ兵=2004年8月17日

 2004年に普天間飛行場と隣り合う沖縄国際大学にヘリコプターが墜落、08年には軍のレジャー用軽飛行機がサトウキビ畑に落ちた。どちらの事故も、アメリカ側が事故機を持ち去るなどして、日本側の捜査がさまたげられた。

 ◇兵士らによる事件・事故が多発

 復帰前の沖縄では、アメリカ兵がおこした事件や事故はアメリカ側が処理し、無罪になったり、きわめて軽い刑で終わったりすることが多かった。復帰後は日米地位協定という取り決めが壁として立ちはだかった。

 1995年にアメリカ海兵隊の隊員らによる少女暴行事件が発生。日本の警察は兵士3人の逮捕状を取ったが、アメリカ側は日米地位協定をたてに3人の引き渡しをこばんだ。住民の怒りは大きく、抗議の県民総決起大会には8万5000人がつめかけた。基地撤去を求める声が強まり、普天間飛行場が日本に返還されるきっかけとなった。

墜落は沖縄県によって確認されたもの。原野火災は沖縄防衛局、凶悪犯罪・交通事故死者は沖縄県警本部の資料による。事故死者は、アメリカ軍関係者(軍人、軍属、家族)の過失が重い事故による死者
墜落は沖縄県によって確認されたもの。原野火災は沖縄防衛局、凶悪犯罪・交通事故死者は沖縄県警本部の資料による。事故死者は、アメリカ軍関係者(軍人、軍属、家族)の過失が重い事故による死者

日米地位協定

 日米安全保障条約に基づき、日本にいるアメリカ軍人の法的な地位などを定めた協定。アメリカ兵が事件を起こした場合、起訴されるまでは日本側に本人を引き渡さなくてもよいとするなど、捜査のさまたげとなってきた。1995年の少女暴行事件をきっかけに、殺人などの凶悪犯罪では起訴前の引き渡しをアメリカ側が考慮することで合意。2004年に凶悪犯罪以外にも広げられた。

アメリカ海兵隊

 陸・海・空軍とともにアメリカ軍を構成する軍隊。上陸作戦やパラシュート降下による急襲などを主な任務とする精鋭部隊。ベトナム戦争やイラク戦争などでは常に最前線に投入された。沖縄には1万2400人が駐留し、沖縄全体のアメリカ軍のほぼ6割をしめる(2008年9月末現在)。このうち約8000人をグアムのアメリカ軍基地に移すことで日本とアメリカ両政府は合意している。

ニュースがわかる4月号

2010年4月2日

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