沖縄県にあるアメリカ軍の普天間飛行場の移設問題がもたついている。いったんは県内移設で決着するとみられたが、沖縄の外へ移すよう求める声が地元で高まっている。沖縄は日本にあるアメリカ軍基地の約74%が集中する「基地の島」。長年、基地問題に苦しんできた沖縄の声に政治はどう応えるのだろう。
防衛省(国の役所)によると、在日アメリカ軍が専用で使用している施設(飛行場、演習場、弾薬庫、港、通信所、兵舎など)は13都府県にあり、面積は合計で310平方キロ(大阪府の約6分の1)になる。このうち沖縄県に229平方キロがあり、全体の73.9%をしめる(2010年1月1日現在)。
沖縄県の面積(2275平方キロ)の1割、本島に限れば2割近くがアメリカ軍の基地だ。県中部の嘉手納町は実に町の面積の83%が嘉手納飛行場となっている。1972年の日本復帰後、本土にあるアメリカ軍施設の6割近くが返還されたが、沖縄では2割弱にとどまっている。沖縄県の人口は138万人。
■北部演習場
沖縄最大の演習場。面積75.4平方キロ。海兵隊のほか、陸・海・空軍の部隊が対ゲリラ訓練などの基地として使用。アメリカ軍が世界で持つただ一つのジャングル訓練場とされる。
■キャンプ・シュワブ
海兵隊の施設で、山岳・森林地帯のシュワブ訓練地区と海岸地域のキャンプ地区からなる。総面積20.6平方キロ。実弾を使った射撃訓練や水陸両用車の上陸訓練などが行われている。
■キャンプ・ハンセン
沖縄で最大規模の実弾射撃訓練が行われている。演習による原野火災が起きたり、施設外へ実弾が飛び出したりするなど、周辺地域への被害が大きい施設の一つ。面積50.6平方キロ。
■嘉手納飛行場
嘉手納町などに広がる極東で最大のアメリカ空軍基地。約3700メートルの滑走路が2本あり、戦闘機など約100機が常駐。面積19.9平方キロ。ベトナム戦争ではB52爆撃機が出撃した。
■ホワイトビーチ
勝連半島の先端部にあり、陸軍と海軍の二つの桟橋を持つ。第7艦隊の艦船に燃料や物資を補給するほか、原子力空母・潜水艦も寄港。面積1.6平方キロ。兵士の保養施設もある。
■伊江島補助飛行場
沖縄・本部半島の北西9キロの伊江島にある海兵隊の飛行場。面積8平方キロは島の3分の1をしめる。垂直離着陸攻撃機の発着訓練やパラシュートの降下訓練などが行われている。
沖縄の人たちは、戦後ずっと「基地の島」が「平和な島」になるよう願ってきたんだ。基地強化に体を張って抵抗したり、基地がらみの負担を減らすよう国などに求めたりしてきたのさ。いま普天間飛行場をどこに移設するかが大問題になっている。この写真は2009年11月の県民大会の様子だけど、2万1000人が集まり、飛行場を県外に移すよう強く求めたんだ。基地と隣り合わせで暮らしてきた住民のがまんが、少しでもやわらぐといいね。
ニュースがわかる4月号
2010年4月2日