ブラジルには10年以上住んでいるが、配偶者は完全な日本の女性なので果たして国際結婚について語る資格があるかどうか疑問がある。ただ社会人になって、周りに国際結婚をしている先輩や友人が割合と
多かったことと、ブラジルで何組かの日本人とブラジル人の結婚と、それに至るまでの過程をそばで見ていたことで、少しは何かを語る資格があるかもしれない。
NEWS WEEKの記事によると、女性に限って言えば東京では10人に1人、全国でも20人に1人が外国人と結婚しているそうである。この文章を読んでくれる人のなかにも、真剣に外国人との結婚を考えている方がいるかもしれないのでいい加減なことは書けない。別に本人に聞き込み調査をしたわけでもなく、アンケートをとったわけでもないので、これはあくまで私の主観と印象に過ぎないが、まぁ何かの参考になればと思う。いずれこのサイトにもホンモノの
”国際結婚大日本男女混合突撃只今戦闘中的勝利モ敗北モ感動涙−の物語”
が登場してくるはずなのでそれをじっくり読んでいただきたい。
今日は日本の男性について思うことを書いてみよう。 ついこの間の深夜、日本でDVDに録画したテレビ東京の「ガイアの夜明け」をゴイアニア市のアパートでみていた。テーマは「花婿学校」。なかなか女性にめぐり合えない30代の男性を軸に、それをアシストする男性のための「花婿学校−結婚コンサルタント−」の話である。この番組によると30−35歳の42%が何らかの理由で未婚で
あり、一方、女性の未婚率は30
%未満とはるかに低いそうである。 ストーリーは題名からすぐ連想される内容で、特に目新しくはなかった。 「女性の社会進出で女性が強くなった」 とか
「結婚していい夫になるための花婿学校の紹介」 とか、女性にインタビューして 「私全然ケッコンなんか考えていてないです〜」
そして、男性からは 「ボクはケッコンしたいんですけど、うまくいかなくてぇ・・・」 こんな感じ。最近流行りの ”男性は結婚願望 VS.女性結婚非願望−女性は強い” の構図であった。
とはいえ、これは頭からは信用できない。ディレクターの意図でインタビューなどどのようにも編集できるし、実際に結婚非願望について語っていた女性は、見るからに高学歴キャリア系の印象で有名四大卒+最低語学留学もしかしたらMBA!といった雰囲気だ。この条件を持っている女性はごく少数
派だろう。
”男性の結婚願望 VS.女性の結婚非願望” のスタンスは、日本のオトコが最近妙に持ちたがる視点の一つのように思う。そう言うとトレンドに乗ったように見えるか
らか、それがフェミニストで欧米流レディーファーストと勘違いしているのか−どうなのだろう。しかしそれは、結婚したいと願っている女性に少し失礼なような気が
する。
さて番組を見ながら思ったのは、番組に登場した結婚したいと思っている何人かの独身男性についてであった。確か皆さん技術系の職場で働いていて、職場にも女性は少ないし仕事も忙しい、それでなんとなく独身を続けてきたという説明だった。今更どう女性にアプローチしていいのか分からないので、コンサルタントや花婿学校に相談に来ているシーンだ。
確かにみなさんパッとした雰囲気ではない。ファッションもイマイチだし口数が少ない感じで控えめな印象だ。みな「真面目」で「誠実」だがもうひとつ何かほしい・・・そこでコンサルタントということらし
かった。
私が反射的に思ったのは ”このような男性群だったらブラジル女性からは引っ張りダコだろうな” ということだった。なぜならブラジル女性にとって、現実の結婚相手の理想は、おそらく「誠実」で「真面目」な人であるからだ。それほどブラジルには「誠実」で「真面目」な男が少ない。上層の教育水準の高いクラスでは誠実で真面目な男性は多い
と思うが、彼らは争奪戦の対象だし、大体同じクラスから女性を選ぶ。いくら相手の女性が美女でも階級差は意外とハードルが高いのだ。そして上層はブラジル社会全体のごく一部である。
それ以外の一般ブラジル社会で、ブラジル女性に対しての最大のウリは「誠実」、「真面目」であり、そしてその結果としての「安定した収入」である。「見かけ」など
遙か後方だろう。安定した収入は日本人の想像をはるかに超えて大きな結婚の武器になる。
ブラジルから出稼ぎで日系人が30万人日本に移動しているのも別に日本が好きなわけではなくこの「安定した収入」を求めているに過ぎない。
もし日本の雑誌やテレビで喧伝されている男性観の流れが真実なら、「誠実」「真面目」は、
もはや日本の女性に対してウリにはならないらしい。日本女性が求めているのは、「イケメンでちょっと三枚目」とか「リッチでひょうきん」とか「確固たる上昇志向とVISIONを持っている人」とからしい
からだ。
厳しい競争社会でシノギを削りながら深夜まで仕事をしている研究者やサービスマン、技術者が「イケメン」とか「ひょうきん」とか「VISION」など考えたり、持ったりしているヒマはないであろう。第一メンドクサイではないか。
例えばここゴイアニア市で、もしそのような男性が、今日本で得ている収入の30%減になったとしても、それが安定しているのなら、そして「真面目」で「誠実」な人なら、語学と習慣の壁を越える気持ちがあるなら、それで十分だと思う。
たとえ口ベタでもファッションセンスはイマイチでも頭が薄くなってきていても、今のママの姿とキャラで、多くのブラジル女性がその男性と結婚を希望するだろう。欧州系からアフリカ系まで選り取りみどりだ!ブラジル女性は他人がどう思うなど一切気にしない。
そしてそれは決して「お金のタメの結婚」ではなく「安定した生活をもたらしてくれる男性へのAMOR−愛」かもしれないのだ。
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by フェリックス 2006年7月 |