休刊する「KANSAI1週間」(手前下)が並ぶ雑誌売り場=大阪市のジュンク堂書店大阪本店
関西の地域情報を掲載する雑誌がまたひとつ、姿を消す。講談社とサンケイリビング新聞社の隔週刊誌「KANSAI1週間」が8日発売号(480円)で休刊。「Lmagazine(エルマガジン)」(京阪神エルマガジン社)、「Hanako(ハナコ) WEST(ウエスト)」(マガジンハウス)もこの2年以内に休刊している。インターネットで素早く地元のグルメや旅行の情報が手に入る時代。広告収入の減少もあってタウン情報誌の苦境は深い。
「KANSAI1週間」は1999年3月に創刊。若者向けにグルメやショッピング、映画情報などを掲載し、創刊当初は35万部を発行した。ライバル誌の「関西ウォーカー」(角川マーケティング)とともに人気を博したが、直近では約8万部まで部数を落としていた。
こうした情報誌は花見や紅葉、花火の特集を「ドル箱」としていた。ところが、ネットの普及で、花の見頃がリアルタイムでウェブに載ったり、花火の絶景場所がブログで紹介されたりするなど利用者の情報収集手段が多様化。とくに携帯電話からのネット接続が常態化し、雑誌の優位性は徐々に薄れていった。
かつて重宝された2週間分のテレビ番組表は現在も掲載されているが、地上デジタル放送ではテレビ画面で番組表を確認できるため、その必要性も薄まっている。
さらに、出版のコストをまかなう広告についても厳しい状況が続いていた。関係者によると、出版地域が全国でなく関西に限定されることで中小を含め一定の広告需要は引き続きあったが、ネットでも閲覧者のいるエリアの近くの店舗などを誘導する広告手法が開発され、こちらも優位性は低くなっていた。