追及─ペット流通のブラックボックス
犬オークションの現場
(AERA 2010年5月31日号掲載) 2010年5月28日(金)配信
ビジネスモデルに問題
ブリーダーは昨年11月、動物愛護法と狂犬病予防法に違反しているとして茨城県警牛久署に刑事告発されるに至った。それでも、ビジネスは継続できた。
「市場に持っていくんだ」
そう話し、毎週のように子犬をオークションに持ち込んでいた。立ち入り調査や文書による指導を行っている茨城県では、今年3月にも十数匹の子犬を出荷していることを確認している。
このオークションを経営している会社は東京の六本木ヒルズにオフィスを構えている。親会社は投資ファンドで、社長や役員は親会社出身。担当幹部はこう説明する。
「子犬の適切な健康管理を行い、価格決定の透明性を確保するために、オークションという機能が必要になったのです。ただ、実態を把握できなかった点は我々としてもたいへん遺憾です。現在会員業者は約2000に上っており、直接訪問して実態把握と指導に努めています」
だが実は「生体を競る」というビジネスモデルそのものが、遺棄を助長する構造問題を抱えている。もう一度上のチャートを見てほしい。流通の過程で「行方不明」になってしまっている犬が約1万4000匹もいることがわかる。その実態は依然不透明だが、高値で売れる犬とそうでない犬が「一目瞭然」となるオークションによって、ふるいにかけられた可能性が否定できない。この点は全国14のオークション業者で作る「全国ペットパーク流通協議会(PARK)」の宇野覚会長も認めている。
「オークションでシビアに子犬の品質を選別するほど、売れない『欠陥商品』が生まれ、それを持ち帰ったブリーダーがどんな処置をしてしまうかという問題は、確かにあります」
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