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蝶野正洋のオレにも言わせろ

カメルーンの方がアウェー 日本に勝機!

 今回は対戦国について語ろう。最大のポイントは初戦のカメルーン戦だ。アフリカ勢のカメルーンに地の利がある‐と一般的には思われがちだが、オレは逆だと思う。日本がホームで有利だ。

 アフリカといっても広い。多くの民族がいる。南アフリカにとって敵対国のカメルーンは、現地ではヒール扱いされるはず。目に見える敵のカメルーンはアウェーというわけだ。逆にアフリカから遠く離れすぎて、どこにあるかも知らない人が多い日本は、カメルーンの相手ということで、南ア人観客の応援を受けてホームとして戦える。

 カメルーンは“敵地”での初戦で観客も敵に回して緊張する。そこを突くのは中村俊輔選手ら前回の経験者だ。本田選手ら初出場組は緊張感で前半の何分間かは空白の時間が出てくる。その時間帯にベテランが捨て石となってチームを引っ張る。彼らの仕事は前半だけでもいい。カギはカメルーン戦の前半にある。

 2〜3大会に出た選手はつらいコンディションもあるかもしれないが、志願して先発するくらいの責任感を見せてほしい。若手に譲るなんて気持ちは持たず、若いヤツらに背中を見せ、追っかけさせるような突っ張った気持ちがないとチームは盛り上がらない。ベテランが一歩引いたときにチームの進歩は止まる。

 続くオランダは歴史的に南アへの移民が多く、ホームタウン的な感覚で現地に乗り込んでくる。やっぱりオランダが一番有利だな。ただデンマークも含めて欧州勢は日本を「ノーマークの安全パイ」と見ているから、手薄な陣営で臨んでくる可能性もある。そこに付け入るチャンスはある。

 日本は今回出場したアジア勢の中でもナンバー4。“W杯4強”どころか、現状では“アジアで4番目”だ。だから怖いものはない。ベテランの中から釜本さんや杉山さん(※注)みたいな存在が出てきて欲しい。俊輔、意地を見せてくれ!!

 ※釜本さん、杉山さん 1968年メキシコ五輪で銅メダルを獲得した日本代表の2大スター、FW釜本邦茂(当時ヤンマー)とFW杉山隆一(三菱重工)。下馬評を覆して世界3位に躍進した日本の奮闘を、蝶野は今回のW杯に重ねて両者の名前を出した。

 ◆蝶野正洋(ちょうの・まさひろ)1963年9月17日、米シアトルで生まれ、東京・三鷹市で育つ。都立永山高ではDFとして活躍。84年に新日本プロレスでデビュー。同期の武藤敬司、故・橋本真也さんと闘魂三銃士と称される。G1、IWGPヘビー級王座など数々のタイトルを獲得。今年1月で新日本を退団しフリーに。自身のブランド兼事務所「アリストトリスト」の社長。家族はマルティナ夫人と1男1女。得意技はSTF、ケンカキック。186センチ、108キロ。