前副知事への贈賄罪で起訴された添田町長、山本文男被告(84)は31日、自らがトップ(管理者)を務める田川地区消防組合(8市町村で構成)に対し、辞表を提出した。「一身上の都合」としている。地方自治法を準用し、6月20日付の辞職となる見込み。山本被告に対しては、組合議会が3月に「速やかな辞職を求める」との決議を突きつけていた。【林田雅浩】
組合によると、山本被告は31日夕、田川市川宮の組合事務局に出向き、陸田孝則・組合議長あての辞表を松尾清文副管理者に提出した。「迷惑をかけた」などと話し、5分程で退出したという。
書面に辞職の日付がなく、辞職を承認する組合議会を開く予定も当面ないため、地方自治法の首長辞職規定を準用し、20日後に自動失職となる。山本被告は同日以降、組合の一般議員となる。組合側は当面、管理者を選任せず、非常勤副管理者の伊藤信勝・田川市長が職務代行を務める。
組合は70年に設立以来、田川市長が管理者を務めてきたが、山本被告が全国町村会長に就任後の03年、市町村長の互選で郡部から初の管理者となり、添田町長10選を決めた07年1月に再任された。
しかし、山本被告が汚職事件で起訴されたことを受け、組合議会が「もはや消防行政のトップにふさわしくない」と辞職勧告を決議。即時辞職を求める意見も強かったが、山本被告の「5月末まで猶予がほしい」との意向が伝えられたという。
事件の初公判は6月9日に予定されている。
〔筑豊版〕
毎日新聞 2010年6月1日 地方版