文部科学相の諮問機関「中央教育審議会」大学分科会は26日、入学者数や就職者数の情報公開を11年4月から大学や短大、大学院、高等専門学校に義務付ける大学設置基準等の改正を諮問通り了承した。【本橋和夫】
情報公開が義務付けられるのは、入学者数や在学生数、定員、卒業・修了者数のほか、進学・就職者数といった進学就職状況。教員の数や教員の持つ学位や業績、年間の授業計画など9項目にわたる教育研究情報も含まれる。パンフレットなどの刊行物やホームページなど広く周知できる方法で公表しなければならない。同省によると、私立大学の中には、合格者数だけしか公表せず、定員割れかどうかの実態が分かりにくいところもある。
また、就職率は、大学による差が明確になってしまうため、大学側は公表には消極的だ。審議の過程でも、就職率は大学だけの責任とは限らず、地域の求人率なども関連するとの声が上がったが、「就職も大学教育の成果」として盛り込まれることが決まった。
同省は「教育の質を向上させ、進学を希望する生徒や保護者の利益を図るため」と説明している。義務化後、情報公開について、各大学の状況を見ながら、大学側が説明責任を果たしているかどうかを点検する。私学助成や競争的資金の配分・選定などの際、評価ポイントにすることも検討する。
毎日新聞 2010年5月27日 東京朝刊