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【東京】

亀有の宝なのに こち亀像 相次ぐ被害

2010年5月21日

曲げられているのが発見された「麗子」像。「雨にぬれて、泣いているようだ」と言う人も=いずれも葛飾区亀有で

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 左側に傾いてしまっていた、葛飾区のJR亀有駅北口の「麗子」像。駅周辺にある人気漫画「こちら葛飾区亀有公園前派出所」登場人物の銅像十一体の一つで、先月には「サンバ両さん」像が壊されたばかり。相次ぐ心ない行為に、地域の人たちは心を痛めている。同区は二十日、故意に曲げられたとみて被害届を亀有署に提出、同署は器物損壊事件として捜査を始めた。 (井上幸一)

 ヒロインの女性警察官「麗子」像は、今年三月に新たに追加された銅像八体の一つで、高さ約六十センチ、台座は約七十センチ。両足と台座の接合部分には直径六ミリ、長さ十センチのステンレスの芯柱が二本入っている。地元商店街幹部は、「一見きゃしゃだが、寄り掛かるぐらいでは曲がらない。誰かが故意に力を加えたのでは」とみる。

 場所は同駅北口交番のすぐ横。同署によると十九日午後、歩行者が銅像の傾きに気付いた。左側に約一五〜二〇度曲がっており、いつごろから曲がっていたかは不明という。

 相次ぐ「こち亀」像への不法行為に、地元には衝撃が広がる。地域の七商店街でつくる亀有地区商店街協議会の仲林和夫会長(62)は「先月(両さん像が)壊されたばかりなのに…。さみしい思い。銅像は地域の宝物。いたずらするのでなく、かわいがってほしい。連鎖反応のように同種の行為が続くのが怖い」と表情を曇らせた。

 二十日は朝から雨模様だったが、心配して「麗子」像を訪れる人も。近くに住む飲食店勤務の男性(60)は「雨粒が銅像の顔について涙に見える。『サンバ両さん』の時と同じように、酔った人が強い力でやってしまったのでは」と推測する。

 区は早急に修理する方針を決め、製作元の「竹中銅器」(富山県高岡市)に連絡した。青木克徳区長は「二度目の被害が発生し非常に残念。皆さんに愛されている銅像。大切にしていただくようお願いする」とコメントを発表した。

 

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