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菅首相会見:その1「政治の役割は最小不幸の社会を作ること」

組閣を終え、会見する菅直人首相(左)と(奥左から)官房長官に就任する仙谷由人氏、官房副長官に就任する古川元久氏、福山哲郎氏、官房副長官に留任する滝野欣弥氏=首相官邸で2010年6月8日午後5時13分、森田剛史撮影
組閣を終え、会見する菅直人首相(左)と(奥左から)官房長官に就任する仙谷由人氏、官房副長官に就任する古川元久氏、福山哲郎氏、官房副長官に留任する滝野欣弥氏=首相官邸で2010年6月8日午後5時13分、森田剛史撮影

 菅直人新首相は8日夕、就任にあたっての記者会見を行った。会見の内容は次の通り。

 ◇

 今夕、天皇陛下の親任をいただいたのち、正式に内閣総理大臣に就任することになりました菅直人でございます。国民のみなさんに就任にあたって私の基本的な考え方を申し上げたいと思います。

 私は政治の役割というのは国民が不幸になる要素、あるいは世界の人々が不幸になる要素をいかに少なくしていくのか、最小不幸の社会を作ることにあると考えております。もちろん大きな幸福を求めることは重要でありますが、それは例えば恋愛とか、あるいは自分の好きな絵を描くとか、そういうところにはあんまり政治が関与すべきではなくて、逆に貧困、あるいは戦争、そういったことをなくすることにこそ、政治が深く力を尽くすべきだとこのように考えているからであります。

 そして、今、この日本という国の置かれた状況はどうでしょうか。私が育った昭和20年代、30年代は、ものはなかったけれども、新しいいろいろなものが生まれてきて、まさに希望に燃えた時代であります。しかし、バブルが崩壊してからのこの20年間というのは経済的にも低迷し、3万人を超える自殺者が毎年続くという社会の閉塞(へいそく)感も強まって、そのことがいま日本の置かれた大きな何かこう全体に押しつぶされるような、そういう時代を迎えているのではないでしょうか。

 私はこのような日本を根本から立て直して、もっと元気のいい国にしていきたい。世界に対しても、もっと多くの若者が羽ばたいていくような、そういう国にしていきたいと考えております。その一つは、まさに日本の経済の立て直し、財政の立て直し、社会保障の立て直し、つまりは強い経済と強い財政と強い社会保障を一体として実現することであります。今、成長戦略の最終的なとりまとめを行っておりますけど、日本という国は大きなチャンスを目の前にして、それにきちっとした対応ができなかった。このように、思っております。

 例えば鳩山前総理が提議された地球温暖化防止のための25パーセントという目標は、まさに日本がこうした省エネ技術によって世界の中に新しい技術や商品を提供して、大きな成長のチャンスであるにもかかわらず、立ち遅れてきております。また、アジアの中で、歴史の中で最も大きな成長の時期を迎えているにもかかわらず、先日も中国に行きましたら、いろんな仕事があるけれども、日本の企業はヨーロッパの企業の下請けしかなかなか仕事が取れない。いったいどんなことになる。つまりは、この20年間の政治のリーダーシップのなさがこういったことを生み出したとこのように思っております。成長戦略の中で、グリーンイノベーション、そしてライフイノベーション、そしてアジアの成長というものを、私たち、それに技術やあるいは資本やいろいろな形で関与することで我が国の成長にも伝えていく、こういったことを柱にした新成長戦略、これに基づいて財政配分を行いたいと考えております。

2010年6月8日

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