飛び火は車両原因か 農水省えびので現地調査

(2010年6月8日付)

 口蹄疫の感染源や感染経路を調べている農林水産省の疫学調査チーム(津田知幸チーム長=動物衛生研究所企画管理部長)は7日、2回目となる現地調査をえびの市の農場4カ所で行った。児湯地域から同市へ飛び火した原因について、津田チーム長は「えびの市1例目の農場は、川南の農場と飼料運搬や動物搬出の車両が同じ」と説明。現時点では両地域を行き来した車両が最も可能性が高いとの見通しを示した。

 同チームの調査は4月29日の都農町に次いで2回目。4日に家畜の移動・搬出制限区域が解除され、早期終息に成功した同市の防疫活動を検証。同時に農場間の人や物の動きを調べ、感染経路の究明につなげる目的で行った。

 チームに所属する委員6人は、感染疑いが発生した4農場に立ち入り、畜舎や飼料置き場の様子を調べ、農場主からは「周辺に小動物がいなかったか」などの聞き取りも行った。調査内容は宮崎農政事務所(宮崎市)で開いた第2回検討会に持ち帰り、委員で意見を出し合った。

 終了後に同事務所で会見した津田チーム長は「(家畜運搬車両が)川南町の農場で牛を積み、関連があるえびの市の牧場でもさらに牛を積み込んで、食肉処理場へ出荷していた。そういった運搬車の利用があった。時期的にも一番疑われる」として、農場間を行き来した車両が感染を飛び火させた可能性が高いことを示した。

 また、市内での感染の順番については「潜伏期間を考えると、市内の1例目から2例目、3、4例目へと伝播(でんぱ)したと思われる」と説明。経路については「人や物、飛沫(ひまつ)感染も含めて可能性がある。まだ特定できていない」と話した。

 一方、早期終息できた要因について「制限解除前に抗体検査を行ったが、抗体を持っている家畜はいなかった。摘発されたものがすべてだった。(感染疑いの)早期発見とおおむね2日以内で終わった素早い処分、地域住民が自主的に消毒を行ったことが防疫を有効に機能させた」と話し、対策を高く評価した。

 市内2例目の発生となった養豚農家坂元英敏さん(60)の農場では畜舎のほか、近くにある堆肥(たいひ)置き場も調査した。坂元さんは「今後のためにも、感染経路について何とか結論を出してもらいたい」と期待していた。

【写真】口蹄疫が発生したえびの市の肉用牛肥育農家を視察する調査チーム=7日午前(県提供)