憚(はばか)りながらという本がある。売り切れ続出のーそう、後藤組元組長の後藤忠正さんがインタビューに応じた記事だ。インタビューしたのは革マル問題などにも切り込むジャーナリストの西岡研介氏。
実は後藤組のみなさんとは昔いろいろあったので、いろいろ書こうかと思ったんだが、筋が通らなくなる部分もありそこは書けない。だが、読んでいて面白いところがいくつかあるので、本の紹介がてら書いていこう。
ひとつは、年末の興業のくだり。川又がハワイに逃げて猪木が監禁されてそこにいた小僧も軟禁されて・・・のくだりだ。本当にアレは斜で見ていて面白かった。まぁ、あんまり詳しくいうとまずいので誰がどうかかわったかは書かないが、確かに、ヤクザをだまくらかす勇者がいるのは事実である。しゃぶせんの娘もとばっちりくらったのではなかったっけ。
本の一番面白いところは創価学会に関するくだり。藤井富雄は、息子が東京都の産廃の仕事受けているという現実があるが(笑)、まぁそれはおいとこう。創価学会は確かに、大作依存がひどいね。でも、元々後藤さんの波紋騒ぎと一連の山口組の直参交代騒ぎって、学会の某氏(名前は書けない)が使っていた革マルの盗聴部隊を学会が”名古屋”に貸したからでしょう。それでいろいろ証拠が捕まれて因縁をつけられ、あの騒ぎになったという・・・あ、これこそ書いてはいけない一番の話だと思うが、警視庁は「もし何か書くならそれこそ書け」というのだから、書くしかないか。
それはとにかく、学会のくだり、あれは全面的に賛成するね。やっぱりね、大作を生き神様としてあがめるのはおかしいよ。信濃町の質素なところにすんでいるといたいけな信者は思ってるんだろうが、先日書いた鹿島の記事、あそこが新しい家だからね。(ただし表沙汰になったのでどうなるかはわからん)あの話は関西総館長まであがっていてみんなで大笑いしていたらしいな。ま、全部鹿島が悪いんだが・・・。まぁ、とにかく、「ヤクザだからいうことはすべておかしい」なんてことはないんであって、筋は通ることをいうのがヤクザである。筋が通らないことをうまく通すのもヤクザだが、それをうまくかわすのもヤクザである。私は学会のすべてが悪いとも思ってないし、ヤクザもすべてが悪いとは思ってない。(両方とも、昔は全部悪いと思っていたが、まぁ、世の中、どんな奴にでも「言い分」というのはあるもんだということに最近気づいたので・・・)
そういえば、ある件で後藤組の人々と遊んでいたとき、「二階堂ドットコムって知ってるか」って聞かれたことあってね。「あ、それ私ですが何かありました?」と言ったら、まぁ、ある件で書かれて困っていたと。「書かれるということは一流の証でしょう」なんて言っていたらまぁ、笑い話になったけど。いやぁ、世の中狭いと思ったねそのときは。そのあとライブドア騒動の時には「あんまりうちの名前をださんでくれよ」なんて言われたり・・・そんな後藤組長ですが、もう全然交流はないのにちゃんと年賀状はくれますし、中元歳暮も下の人がきちんとやってくれる。私は恵まれない人にそれを全部渡しちゃうんですが、この不景気、義理堅くないヤクザばっかりの中でも義理堅いんだなぁと思っている所以だったり。
あまり怒らせて若い衆が飛んできたら面倒な話になりそうですが、まぁ、このくらいなら、たぶん大丈夫でしょう。きっとみんな懐が深いから怒らないだろう、という期待を持って書くものであります(笑)。
ある日、後藤組本部というのかな。後藤氏の家に遊びに行く機会があってね。いやぁ、一度見てみたいでしょ。行きましたよ。(いろんな経緯があったんだけど省略)後藤さんの富士宮の家はすごい家でね。本にあった熊のオリの先には富士山が見える。富士山をバックにきれいな写真が撮れるわけです。家にお邪魔すると、畳もいいにおい。座布団の角には菱マークが金で入っていてこれまた座り心地がいい。ところでこれは正直に書くんですが、後藤さんちに遊びに行っていちばんびっくりしたのは、なにせ一番いい席に立川談志が座っているのが見えたことなんですよ。部屋は広いから「あ、談志がいる」と思った。まぁ、それほど驚かなかったが。
「スカーフなんか巻いちゃって談志もおしゃれだね・・・」と思っていて、周りの景色見てきょろきょろしていたら、係の人から「組長の横へどうぞ」なんて言われる。奥に進んでいくと、談志だと思っていたのはなんと後藤組長(当時)。ヤクザと言えば、「ダークスーツにクロネクタイ」みたいなのを想像するでしょ?違うの。おしゃれでびっくり。武闘派と言われた後藤組のトップはおしゃれ・・・ま、当時から無謀だった私はすぐご本人に「おしゃれですね。スカーフ・・・」とかいったら周りが凍ってました。後藤氏はちょっとほほえんで「ふふ」と私を向いたんですが、あの表情はヤクザでもないしなんともいえない感じの表情でしたね。・・・十分余計なことを書いていますがこれ以上書くと怒られそうなのでやめときます。
あ、余談ですが、警視庁が数年間、後藤組をばっちりマークしていた時期があったのですが、なぜかその資料分析班のところに俺の写真があったらしく、知り合いの捜査員に「なんであんたの写真が後藤のところで出るの?なんの仕事してんのよ?」と追及されたことがありました。もう笑い話ですし、当時後藤組と関わっていたことは(私は半分くらい遊び気分だったけど・・・ヤクザというものを見学できて面白かったから)、ごくごく一部の警察最高幹部の了承済みだったので、私自身もなんら憚るところもないんですが、詳細はあと20年くらいのうちに書くことがあるかもしれません。
本の感想なのかなんなのかわからなくなってきましたが・・・そのほかにも、糸山や野村さんのくだりなんかは私の知り合いの”某・大会長”なども関係するので前に聞いていた話もあり、裏取りをかねて楽しく読むことができた。
私は機会がなかったので後藤氏本人とは食事をしたことはなかったが、いろいろ聞いてみたい話はある。というか、こちらの知り合いと会って対談してもらうといろいろさらに面白いことがわかるのだと思うとニヤニヤしてしまう。やはり我々のような情報屋は「知りたい」という欲求が仕事のモチベーション・・・
そんなことを思いながら、日曜の深夜に昔の思い出にひたって写真など眺めてみるのでした。あ、もう月曜日だ・・・。
商品の説明
内容紹介
08年10月に山口組を電撃引退し、翌年には天台宗系の浄発願寺で得度(得度名=忠叡)。日本中をあっといわせたのは記憶に新しい。
それから1年……財界・政界にも大きな影響力を発揮し、山口組の直参として、日本の深層を生き抜いた後藤忠政とは、いかなる人物なのか?
本書は、半年にわたる延べ50時間のインタビューを構成したもので、
これまでその人物像が明かされることのなかった伝説の組長の生い立ち、静岡県富士宮を舞台にした愚連隊時代、山口組直参昇格、竹中正久4代目の思い出、
山一抗争、伊丹十三襲撃事件、孤高の民族派・野村秋介との交友、企業社会への進出、政界との交流、武富士との攻防、山口組引退の真相、
内容(「BOOK」データベースより)
そして自身の人生哲学から女性哲学までが、たっぷりと語られる。
激動の半生を送ってきた人物が語り下ろす、今年、注目度ナンバーワンのノンフィクション!!
登録情報 |