昨年2月、高知市の中村美智子さん(当時27歳)が殺害され遺体で発見された事件で、殺人ほう助罪に問われた同市一宮しなね2、無職、松本俊成被告(28)の第3回公判が27日、高知地裁(平出喜一裁判長)であった。松本被告は起訴状の内容を一貫して否認しており、この日も「(検事は)自分の言うことを一つも聞いてくれなかった」と述べ、検察の取り調べに問題があったと訴えた。
起訴状によると、昨年2月、坂本孝生受刑者(27)=殺人罪などで懲役20年が確定=が中村さんを殺害すると知りながら中村さんに電話をかけ、「借金を返済するので来てほしい」とうそを言って同市内のパチンコ店の駐車場に、中村さんを呼び出したとされる。
被告人質問で、中村さんから借りた現金を坂本受刑者にまた貸ししていた松本被告は「供述調書の内容で(返済義務が生じる)『保証人的立場』と書いてあるのはなぜか」という弁護側の問いに、「自分は否定していたが、検事から『保証人的立場やろ』と言われて、そういう考え方もあるのかと思った」と述べた。また、「訂正個所もあったが、検事に怒鳴られたりもしたので、無駄だと思った」と取り調べの様子を説明、証拠として法廷に提出される供述調書の正確な話も検事からされていないと主張した。
これに対し検察側は「訂正個所があるなら、なぜ調書を確認した際に署名したのか」と反論。被告が供述調書に1カ所だけ訂正を申し出たことも指摘し、「その後の書類に『それ以外は間違いない』と書いている」と述べた。供述調書を作成した検事の証人尋問は行わない予定という。【倉沢仁志】
毎日新聞 2010年5月28日 地方版