報道発表資料 [2010年1月掲載]
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〔別紙1〕

第28期東京都青少年問題協議会答申
「メディア社会が拡がる中での青少年の健全育成について」

諮問事項(要旨)

 携帯電話を介したインターネット上の有害情報を巡り、青少年が犯罪やトラブルに巻き込まれるだけでなく、誹謗中傷やいじめ等により他人を傷つける事態も頻発している。インターネットを青少年が安全に安心して利用できるよう、早急に環境整備や注意喚起を行うべき状況にある。また、小・中学生が閲覧する図書類における露骨な性表現、グラビア等における少女の下着姿等の扇情的な描写、コミック誌等における子どもの性的な姿態の描写等が蔓延し、憂慮すべき社会問題となっている。これらの課題に対処するため、取り組むべき対策並びに「東京都の健全な育成に関する条例」の在り方及び改正について検討し、所要の結論を得る。

審議の経過

  20年12月24日 総会において審議事項を諮問
21年1月〜21年10月 専門部会を計9回開催し、青少年とネット・ケータイをめぐる現状と課題、青少年を性的対象とする図書類のあり方について分析・審議し、問題解決の方向性を検討
21年11月24日 拡大専門部会において答申素案を審議
21年11月26日〜21年12月10日 答申素案に対する都民意見を募集
21年12月17日 専門部会(第10回)で答申案を審議
22年1月14日 総会において答申を知事に提出

専門部会委員

 内山絢子(目白大学教授)
 大葉ナナコ(日本誕生学協会代表理事)
 加藤諦三(早稲田大学名誉教授)(副会長)
 木村忠正(東京大学准教授)
 後藤啓二(ストップ子ども買春の会顧問)
 近藤彰郎(東京私立中学高等学校協会会長)
 新谷珠恵(東京都小学校PTA協議会会長)
 鈴木茂克(公募/会社役員)
 住田佳子(公募/保護司、人権擁護委員)
 徳本広孝(首都大学東京准教授)
 野田聖子(弁護士)
 前田雅英(首都大学東京法科大学院教授)(専門部会長)
 安川雅史(全国Webカウンセリング協議会理事長)
 吉川誠司(財団法人インターネット協会主幹研究員)

意見の聴取

 桑子博行(テレコムサービス協会サービス倫理委員長)
 銅谷勝子(東京都健全育成審議会会長)
 鈴木富夫(出版倫理協議会議長)
 携帯電話等事業者(NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイル、ウィルコム、イーモバイル、モバイルコンテンツ審査・運用監視機構、電気通信事業者協会)

答申の概要

ネット・ケータイに関する青少年の健全育成について

(1) ネット・ケータイでの被害・トラブルの防止

  • 都において、青少年にとって安全・安心な携帯電話を推奨する制度を創設すべきである。
  • 不健全な行為を意図的に行った青少年の保護者に対し、指導・勧告等を行い、責任の自覚を促すべきである。

(2) フィルタリングの実効性の向上

  • 青少年が使用する携帯電話について、保護者が容易にフィルタリングを解除できないよう手続きを厳格化すべきである。
  • フィルタリングから除外されるべきサイトの水準について、実態に照らし、青少年が被害に遭わないものにするため、条例への規定や第三者認定機関への要請等を行うべきである。

(3) 青少年や保護者に対する効果的な教育・啓発

  • 都において、青少年に対する教育・啓発水準の確保のため、指針等を策定すべきである。

児童を性の対象として取り扱うメディアについて

(1) 児童ポルノがインターネット上等において蔓延していることについて

  • 児童ポルノを始め、児童をみだりに性的対象として取り扱う風潮の追放・根絶に向けた機運の醸成と環境の整備に努めるべきである。
  • 児童ポルノを製造・販売・所持してはならない旨を定める規定等を設けるべきである。
  • 国に対し、児童ポルノのいわゆる「単純所持」の処罰化を強く要望すべきである。

(2) ジュニアアイドル誌が自由に販売等されていることについて

  • いわゆる「ジュニアアイドル誌」へ子どもの売り込みを行った保護者に対する指導・勧告の仕組みを検討すべきである。

(3) 児童の性的行為等を描写した漫画等が自由に販売されていることについて

  • 児童をみだりに性的対象とする漫画等のうち、強姦等を積極的に肯定するような著しく悪質な内容のものを青少年への販売等を規制する「不健全図書」の指定対象に追加すべきである。
  • 小・中学生を対象とする漫画等で、児童・生徒の性行為の描写を多く含むものを、レーティング(推奨年齢の表示)の対象とすべきである。

青少年の健全な成育を取り巻く環境整備について

 特定の図書類発行業者が発行する図書類が累回にわたり不健全指定を受けている場合の対応

  • 短期間に不健全図書類の指定を繰り返し受ける図書発行業者については改善勧告を行い、従わない場合は社名を公表する等の条例規定を検討すべきである。