氏名の変更 |
私の祖父の氏は「李」ですが、私の父と私の外国人登録上の氏は「金」です。 できれば、氏を本名の「李」になおしたいのですが、できるでしょうか。 |
事情はどうあれ、本名と登録の記載が異なる場合、本名を証明する書類や証人をもって証明できれば、家裁の許可がおり変更できます。
あなたのように、本名と外国人登録上の氏や名が異なっている事例は多くあります。
実は私も朝鮮学校に通っていた時代には「尹(ユン)」という氏を使用していました。戦後、父が密航で日本にやってきて、他人の外国人登録を買ったためでした。そのため、親族と会うときは「洪(ホン)」の氏を使用し、学校では「尹」の氏を使用しました。
現在は通名として「洪」を使用し、母親の氏である「星」が本名となっています。
学校時代の「尹」は、ほとんど使っておりません。
私の父のような事例でなくても、本名、本籍や本当の生年月日が外国人登録と異なることが在日同胞の場合、多々あります。
日本は朝鮮を植民地支配し、やがて朝鮮人に戸籍制度を強要したのでした。つまり、強引に朝鮮人に日本国籍(戸籍)を押しつけたのです。
ところが日本は戦後、朝鮮人を外国人とし外国人登録を押しつけました。そして外国人登録を実施するさいに、いろいろな手違いによって本名と異なる外国人登録がなされたのです(例えば名前を誤って記入されたとか)。
しかし事情はどうあれ、本名と外国人登録の記載が異なる場合には、家庭裁判所の許可を得て、登録の変更ができます。
本名を証明する書類や証人をもって、本名であることが証明できれば、家庭裁判所の許可がおります。
逆に、通名を長く使用したので、外国人登録の本名を通名に変更することもできます。
この場合には、通名を使用した期間が問題となります。一概には言えませんが、成人であれば7年ないし8年程度通名を使用していれば、家庭裁判所の許可が出るようです。
私の所属する在日朝鮮人人権協会で最近扱った例ですが、ある同胞が死亡したので、相続登記をしようとしたところ、その同胞の本名と生年月日が外国人登録と異なっていたため、相続登記が非常に困難である事例がありました。
本人が死亡した後ですと、外国人登録は閉鎖されますので、その後の変更は非常に難しくなります。
気づいたときにちゃんと手続きをしておくことが肝要です。
[イオ97年9月号掲載]