11月の雪の降る夜
病院の廊下で一人待っていた。
性別関係なく
ただ五体満足であって欲しいと
元気でありますようにと願っていた。
無事出産が終わり、対面した時は
ありきたりな言葉かもしれないけど感動した。
愛おしくて
どうしようもなく可愛いかった。
抱き上げた時のぬくもりは
今でも昨日のことのように
思い出す事が出来る。
実際の生活とか
こどもを育てていけるかとか
ボクは二人を守っていくことが出来るのかとか
考えられることは全て不安なことばかりだったけど
やるしか無い ! って思っていたし
若さ故、世間知らずだったことが幸いして
なんとかやっとこれたんだんだと思う。
久しぶりに見た
息子のお誕生アルバムには
大人になったら一緒に飲みたいねと
書いてあった。
僕の夢は実現している。
産んでくれてありがとう。
生まれてくれてありがとう。
ママと息子に乾杯
出産予定日の朝
お腹に鈍い痛みを感じて目を覚ました。
出産予定日というのは、その名の通り、
あくまでも予定日なので…
通常は前後一週間の中でズレが生じてくる場合が多い。
だが律儀なあの子は予定日ピッタリに産まれて来た。
若かった私は、始まった痛みに不安を感じつつ…
我が子にもうすぐ出逢えるという嬉しさで胸がいっぱいになった。
ただ、そんなことを思っていられたのも夕方まで…
段々、激しく間隔も短くなってくる痛みに耐えるので精一杯になっていった。
病院に連絡を入れ、タクシーに乗り入院。
仕事が終わり次第、パパが病院に駆けつけてくれた。
それまでは、何とか気丈にしていた私だったが、
パパが手を握ってくれた瞬間、涙が出てきてしまった。
お腹と一緒に痛くなってくる腰を一生懸命さすってもらうと
少しだけ痛みがましになるような気がした。
そして、子宮口が全開。
いよいよ出産。
分娩室に向かい、助産師さんの指示に従いながら最後の力を振り絞っていきむ。
「もう良いですよ。力を抜いて呼吸を細かくして」
その言葉の後に
「オギャア、オギャア…」と元気な産声。
元気な男の子が誕生した。
産まれたての赤ちゃんとは思えないくらい目鼻立ちの整った子だった。
私の胸は安堵感と母になれた嬉しさと喜びでいっぱいになった。
分娩室を出ると赤ちゃんを抱いたパパが満面の笑みで待っていてくれた。
パパのご両親、私の母も周りを囲んで、
まるで幸せの花が咲いているように見えた。
あの日あなたは、いっぱいの愛に包まれて産まれてきたね。
by marumama