難しい字、どう教える?常用漢字追加に戸惑い
6月8日7時50分配信 読売新聞
29年ぶりに新しくなる常用漢字。パソコンや携帯電話の「変換文化」を背景に難しい漢字も多く盛り込まれたが、学校現場では読み書きの「漢字力」が二極化しているとの指摘も。
読みや字の成り立ちを重視する試みも始まっているが、多くの教師はどこまで教えるか頭を悩ませることになりそうだ。法律や新聞、雑誌などでの使用の目安になるだけに漢字検定などにも波紋が広がる。
「挨拶(あいさつ)」「崖(がけ)」「丼(どんぶり)」……。東京・小金井市の市立小金井第一小では、週1回の朝15分、4〜6年生が漢字学習に励む。教師が黒板に、「循環」など、本来は中学で教わる熟語や新しく加わる常用漢字を書き込んで児童たちが次々と読み上げる。「崖」では読めなくても、「崖の上」と書くと、宮崎駿監督の映画「崖の上のポニョ」を知っている子から「ガケだ」と声があがる。
同小は卒業までに学習指導要領の「配当表」(1006字)に加え、生活でよく目にする約160字も読めるようにとの目標をあげる。
釼持(けんもち)勉校長(56)は「漢字は読みが入り口で、作文や手紙で書いて使ってこそ定着するが、まずは読めることが大事」と話し、新漢字の「鍋(なべ)」や「拉(ら)(致)」も取り上げてゆくと話す。
ただ、どんどん覚える児童もいれば、6年生でも「丁」「印」の読み書きが怪しい子がいるなど様々だ。
漢字の成り立ちなどを重視する教師もいる。
「ヒョウと読むのはどこ?」。筑波大付属小(東京・文京区)の4年生の授業で白石範孝教諭(55)が黒板に書いた「標」の字をさした。男児が「票」をチョークで囲うと、白石教諭はうなずいて「左側の『木』は意味を表す部分だね」と続けた。
こうして漢字を分解し、部首やつくり、筆順などを徹底して教えた子は本やテレビで目にした新常用漢字も自ら書くようになった。白石教諭は「パソコンの普及で知らない漢字に触れる機会が増えた分、漢字の基本を学び考える力がますます必要になる」と強調した。
改定は、2012年度から使われる中学校教科書にも大きな影響を与えそうだ。
「レイアウトを大幅に変えざるをえない」。新たな教科書の検定を文部科学省に申請中の教科書会社の国語担当者(52)はため息をつく。
中学では3年までに常用漢字が「大体」読めることを求められており、中学教科書では原則、常用漢字を全部載せて来た。しかし改定に伴い、ひらがな表記だった「あいさつ」や「ころ」は「挨拶」「頃」へと漢字になり、「中」に「ジュウ」の音読みが加わるので「世界じゅう」は「世界中」となる。すべて対応すると文字が減り、ページ数にも変動がでかねないという。別の教科書会社の担当者(57)も「作り直しに近い状態になるかも。国語以外の教科でも同じことが起こる」と打ち明けた。
一方、年間約200万人が受ける「漢字能力検定」。これまで全常用漢字が出題範囲に入るのは準2級(高校在学程度)以上だが、新たに加わる196字をどの級に含めるかで今後は級ごとの出題範囲が変わる可能性がある。高校入試で準2級以上の取得を合格条件の一つにしている学校もあり、「このままでは漢字が増える負担は大きい」(中学の校長)との声も出ている。
読みや字の成り立ちを重視する試みも始まっているが、多くの教師はどこまで教えるか頭を悩ませることになりそうだ。法律や新聞、雑誌などでの使用の目安になるだけに漢字検定などにも波紋が広がる。
「挨拶(あいさつ)」「崖(がけ)」「丼(どんぶり)」……。東京・小金井市の市立小金井第一小では、週1回の朝15分、4〜6年生が漢字学習に励む。教師が黒板に、「循環」など、本来は中学で教わる熟語や新しく加わる常用漢字を書き込んで児童たちが次々と読み上げる。「崖」では読めなくても、「崖の上」と書くと、宮崎駿監督の映画「崖の上のポニョ」を知っている子から「ガケだ」と声があがる。
同小は卒業までに学習指導要領の「配当表」(1006字)に加え、生活でよく目にする約160字も読めるようにとの目標をあげる。
釼持(けんもち)勉校長(56)は「漢字は読みが入り口で、作文や手紙で書いて使ってこそ定着するが、まずは読めることが大事」と話し、新漢字の「鍋(なべ)」や「拉(ら)(致)」も取り上げてゆくと話す。
ただ、どんどん覚える児童もいれば、6年生でも「丁」「印」の読み書きが怪しい子がいるなど様々だ。
漢字の成り立ちなどを重視する教師もいる。
「ヒョウと読むのはどこ?」。筑波大付属小(東京・文京区)の4年生の授業で白石範孝教諭(55)が黒板に書いた「標」の字をさした。男児が「票」をチョークで囲うと、白石教諭はうなずいて「左側の『木』は意味を表す部分だね」と続けた。
こうして漢字を分解し、部首やつくり、筆順などを徹底して教えた子は本やテレビで目にした新常用漢字も自ら書くようになった。白石教諭は「パソコンの普及で知らない漢字に触れる機会が増えた分、漢字の基本を学び考える力がますます必要になる」と強調した。
改定は、2012年度から使われる中学校教科書にも大きな影響を与えそうだ。
「レイアウトを大幅に変えざるをえない」。新たな教科書の検定を文部科学省に申請中の教科書会社の国語担当者(52)はため息をつく。
中学では3年までに常用漢字が「大体」読めることを求められており、中学教科書では原則、常用漢字を全部載せて来た。しかし改定に伴い、ひらがな表記だった「あいさつ」や「ころ」は「挨拶」「頃」へと漢字になり、「中」に「ジュウ」の音読みが加わるので「世界じゅう」は「世界中」となる。すべて対応すると文字が減り、ページ数にも変動がでかねないという。別の教科書会社の担当者(57)も「作り直しに近い状態になるかも。国語以外の教科でも同じことが起こる」と打ち明けた。
一方、年間約200万人が受ける「漢字能力検定」。これまで全常用漢字が出題範囲に入るのは準2級(高校在学程度)以上だが、新たに加わる196字をどの級に含めるかで今後は級ごとの出題範囲が変わる可能性がある。高校入試で準2級以上の取得を合格条件の一つにしている学校もあり、「このままでは漢字が増える負担は大きい」(中学の校長)との声も出ている。
最終更新:6月8日7時50分
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