民事再生手続きに入っている広島県出資の第三セクター「広島エアポートビレッジ開発」(HAV)の新たな再生計画案について、広島地裁尾道支部が選任した監督委員が、「民事再生法の原則に違反する恐れがある」とする意見書を同支部に提出したことが7日、分かった。ゴルフ場の会員がプレー権を失う内容に関して指摘した。23日の債権者集会での採決に影響する可能性もある。
監督委員は再生手続きの調査や報告、計画の実行を監督する役割を持つ。再生計画案に付す意見書は、裁判所や債権者の判断材料となる。井上正信弁護士が務めている。
新たな再生計画案では、ゴルフ場「フォレストヒルズゴルフ&リゾート」(三原市)の売却に伴い預託金(1口1200万円)の31%以上を弁済する。一方で、プレー権は財産上の評価をしておらず、会員は退会となりプレー権を失う。
これに対し、監督委員は、プレー権を評価しない判断が会員にとって不利と指摘。無利子融資残高の債権を持つ県との間の平等性を欠き、「債権者平等の原則に違反する恐れがある」との見方を示した。一部会員でつくる「有志の会」は、プレー権の継続を求めており、その主張に近い内容である。
会員のプレー権をめぐっては、ゴルフ場事業を落札した幸陽船渠(せんきょ)=三原市=が、再生計画案とは別に対応策を検討。年会費を支払えば新たに会員となり、現行水準の料金でプレーできるようにする方針を決め、13日に開く会員説明会で伝える。
しかし、有志の会は、幸陽船渠が示す会員の取り扱いは「法的拘束力がない」と批判。世話人の緒方俊平弁護士は「民事再生を申請したゴルフ場は、会員との契約を解除する権利はないとの判例もある」と話し、14日の同会総会で債権者集会に向けた対応を協議するという。
HAVの亀頭睦訓社長は「監督委員の指摘に驚いている。(HAVの)代理人の弁護士と協議するが、新たな計画案で債権者の理解を得られるよう説明を尽くしたい」としている。
|