日米両政府が米軍普天間飛行場の移設先を名護市辺野古周辺とする共同声明を発表した28日、県内経済界は「差別的な対応」「最悪の状況」などと鳩山政権の対応を批判した。「地元の了解なく移設は厳しい」と冷ややかな見方を示した。23日の鳩山由起夫首相との懇談でも、予定されていた経済問題の意見交換を拒否しており、今後、想定される“見返り”の振興策についても、基地問題とのリンクを拒否する姿勢をあらためて示した。
県経済団体会議の知念榮治議長(県経営者協会会長)は「日米政府で合意しても、地元了解は得られず実行は難しい」と突き放し、「嘉手納基地以南の返還が遅れ、経済開発に支障を来しかねない」と厳しく指摘。「振興策をちらつかせても経済界は乗るつもりは毛頭ない」と話した。
県商工会議所連合会の國場幸一会長は「反基地運動は激しくなり、嘉手納基地の返還にまで広がるだろう」とした上で、事件・事故後の対応など日米地位協定の改定まで踏み込んだ対応の必要性を強調。振興策については「県経済の自立に向けた取り組みと基地問題とはリンクしない。県の21世紀ビジョンをベースに自立経済に向けた議論を進めるべきだ」とした。
「沖縄への差別も浮かび上がった」と批判する呉屋守將県建設産業団体連合会会長は「できないことを言ってきた政権へのいらだちは大きく、移設は厳しい。参院選で県民からノーを突きつけられるだろう」と話した。
JA沖縄中央会の赤嶺勇会長は「最悪の状況をつくってしまった」とあきれ顔。「安全保障、国防の観点から応分の負担は理解できるが、沖縄の負担は過重すぎる」とし、さらなる基地の整理縮小、経済自立につながる産業振興を求めた。
沖縄観光コンベンションビューローの平良哲会長は「県民を無視した独断的なやり方で、県民は踏んだりけったりだ」と述べた。「振興策の話が出てくるかもしれないが、大切なのは地元の意思で、こちらが何か言うことではない」とした。
県漁業協同組合連合会の國吉眞孝会長は、米軍の訓練水域の使用制限の一部解除について、普天間問題と切り離すべきとの考えを示した。