ワシントン(CNN) 歴代の米大統領を取材してきたホワイトハウスの89歳の名物記者、ヘレン・トーマス氏が、イスラエル関連の発言をめぐり集中非難にさらされている。トーマス氏が所属するメディア大手ハースト・コーポレーションに対して同氏を辞めさせるよう迫る声も高まり、6日にはクリントン元大統領の法律顧問だったラニー・デイビス氏がトーマス氏批判に加わった。
問題にされているのは、トーマス氏が情報サイト、ラビライブ・ドット・コムのインタビューで「(イスラエルのユダヤ人は)パレスチナから出て行け」と述べた発言。インタビュアーから「もっといいコメントはありませんか」と促されると「あの人たちは占領されている。あれは彼らの土地だ」と話し、ではイスラエルのユダヤ人はどこへ行けばいいのかとの質問には「ポーランドでもドイツでもアメリカでも、どこへでも帰ればいい」と語った。
トーマス氏は4日に自身のウェブサイトでこの発言について謝罪したが、その後も批判はやまず、ユダヤ人団体の名誉棄損防止同盟(ADL)は「十分な謝罪になっていない」と強く反発。トーマス氏との共著書があるクレイグ・クローフォード氏もブログで「もうヘレンとの共著は手掛けない」と宣言した。
トーマス氏はハーストのコラムニストとしてホワイトハウス記者会見室の最前列に専用席を持ち、報道官に鋭い質問を投げ掛けてきた大御所記者。元大統領顧問のデイビス氏は「親しい友人だと思って尊敬していたヘレン・トーマスが、偏見を持った反ユダヤ人主義のように振る舞った」と非難した。ブッシュ前大統領時代の報道官だったアリ・フライシャー氏も6日にCNNに寄せたコメントで「ハーストは適切な措置を取り、ヘレンを辞めさせるべきだ」と主張している。