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ローソン子会社不正流用:食肉取引投資で損失 特別背任容疑、元専務ら3人逮捕

 ローソンのチケット販売子会社「ローソンエンターメディア」(LEM、東京都品川区)の資金不正流用事件で、東京地検特捜部は1日、同社元専務の山岡武史容疑者(38)と、取引先の企画会社「プレジール」(港区)元社長、竹原章介(のりゆき)(37)▽同、岩本陽二(39)両容疑者を、会社法違反(特別背任)容疑で逮捕した。損害額は約115億円に上り、特捜部は資金の流れを詳しく調べる。

 逮捕容疑によると、山岡容疑者は07年夏ごろ、販売したチケットの代金を興行主に支払うべきなのに、その任務に背いて竹原、岩本両容疑者と共謀。代金をプ社にプールして運用し利益を得ることを計画した。同年12月~10年1月、プ社に約345億円を送金してリスクの高い食肉取引の投資などに流用したが失敗し、LEMに約115億円の損害を与えたとしている。食肉取引への投資は、岩本容疑者が経営していた豚肉販売会社を通じて行われたとみられる。

 ローソン側は山岡容疑者らの告訴状を提出した際、投資に失敗して興行主への支払いが滞った際の穴埋めのための送金を背任行為と位置づけたが、特捜部はLEMからプ社への送金全体を不正な流用と認定。プ社から興行主に支払われたチケット代金との差額全額が損害に当たると判断した。事前に投資の損失分はLEMが負担するとの合意があったとみて調べている。

 ローソンは「子会社の不正流出の件で世間をお騒がせし、誠に遺憾です。今後は捜査の進展を見守りたい」とのコメントを出した。【大場弘行、鈴木一生】

 ◇チケット販売で頭角--山岡容疑者

 逮捕された山岡容疑者は、30歳でLEMの取締役に就任するなど「敏腕営業マン」として知られていた。社内では大物歌手によるコンサートのチケット販売の大半を手掛けていたといい、ローソンの新浪剛史社長は資金流用の発覚後に「(不正に走らなかったら)本当にいいビジネスマンになっていただろう」と漏らしたという。

 関係者によると、山岡容疑者は94年にローソンの前身「ダイエーコンビニエンスシステムズ」に入社。コンビニ店の指導員を経てLEMの前身「ローソンチケット」に自ら進んで転籍した。

 チケット販売で頭角を現し、02年に取締役に就任。営業を取り仕切る立場になり、09年にはローソンの理事執行役員にも抜てきされた。ある幹部は「頭の回転が速く、人当たりがいい。彼ほどチケット販売業界に顔の利く営業マンはいなかった」と振り返る。

 「会社のためだった。投資のことは知らない」。不正発覚後の調査に当初は否定したが、その後「投資が失敗して挽回(ばんかい)しようといろいろやった」と関与を認め、辞職したという。【三木幸治、山本将克】

毎日新聞 2010年6月2日 東京朝刊

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