ゼロ飲料が勝ち組に浮上、夏を前に飲料市場に大異変
2010/6/7 16:57写真を拡大
飲料市場でゼロ飲料が“勝ち組”に浮上。なかには三菱のマークが入った商品まである(写真:夕刊フジ)
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ゼロ飲料とミネラルウオーターの置かれている立場がくっきりと表れたのが、今年4月のキリンビバレッジとハウス食品の動きだ。
キリンビバレッジは4月6日、糖類ゼロの炭酸飲料「大人のキリンレモン」を発売し、ゼロ飲料市場に進出してきた。
その2日後、ハウス食品がミネラルウオーターの「六甲のおいしい水」事業をアサヒ飲料に売却し、撤退すると発表している。
炭酸飲料市場は近年伸長を続けており、ここ3年間は「ゼロ」タイプと「透明」タイプが市場の伸びを牽引している。
ゼロ飲料とは、「カロリーゼロ」「糖類ゼロ」など健康志向を打ち出した炭酸飲料のこと。
ブームの火付け役は、2006年3月にサントリー食品(現サントリーフーズ)が発売したカロリーゼロの「ペプシネックス」だ。
07年6月には、日本コカ・コーラが同じくカロリーゼロの「コカ・コーラゼロ」を発売。さらに09年5月には、アサヒ飲料がカロリー、糖質、保存料がゼロの透明タイプ「三ツ矢サイダーオールゼロ」を売り出し、市場が活性化した。
「かつて飲料の主流だった炭酸飲料市場は、1990年代後半からマイナスに転じた。反転のきっかけになったのが、ゼロ飲料だった。コーラタイプが口火を切り、透明タイプが後押しした。この3年間に、右肩上がりの売れ筋商品に大変身していった」(飲料業界関係者)
富士経済の「2009年飲料市場規模」によると、09年の炭酸飲料市場は、出荷量ベースで前年比4%増、金額ベースで同5%増の5760億円と好調。なかでも透明タイプの炭酸飲料は2ケタ増となっている。
対照的に、負け組に転落したのがミネラルウオーターだ。
「ミネラルウオーターは当初、水道水の安全性への不安から需要が広がって、04年から4年連続で2ケタ成長を続け、売れ筋商品になった」(飲料業界関係者)
売れ筋商品となれば、新規参入が相次ぐのが世の習い。08年からシェアを落とさないための乱売合戦に突入し、消耗戦の末にハウス食品のように脱落するメーカーも出てきた。
09年のミネラルウオーターの市場規模は、出荷ベースで前年比4%減、金額ベースで同6%減の2450億円にとどまっている。
勝ち組に浮上したゼロ飲料も、いつまでも快走が続く保証はない。
「かつて緑茶は右肩上がりを続ける飲料業界の期待の星だった。05年に業界大手各社による緑茶の乱売合戦で、あっという間に緑茶市場はマイナスに転じた。緑茶の二の舞になったのがミネラルウオーター。急成長を遂げているゼロ飲料も、同じコースをたどるのではないか」(流通担当アナリスト)
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