車のスピードメーターはおそらく
とんでもナイことになっていたような‥
すっかり酒の勢いに乗ってしまったバカ2人

それを後押しするかのように
セドリックちゃんは我々の手によって、信号無視の大暴走を繰り広げながら
次なる楽園へと着実に近づいていったのです







楽園=オンナ
いくら禁欲の野球部生活とはいえ
考え方がまさに猿‥私たちはもう野生の、よだれダラダラのスケベ野郎と化していたんです(^_^;)

程なくして(法定速度破ってりゃ、そりゃあ程もないです

)
我々が着いた先は隣町のつくば市にある某レンタルビデオ店
時計の針は既に夜中の2時をまわっていました

‥しかしながら辺りはやけに車の数やら音やらで騒がしいのです

私『神戸よぉ‥今度は何すんだか?』
神『まぁ、いいから見てろよ

』
そう言って彼は辺りを走る車をまるで品定めするようにキョロキョロ見回すと
ふと目の前を通った白いK自動車を指差し
神『行くぞ

』
この一声でセドリックちゃんを急発進



指差したK自動車の後ろにセドリックちゃんをピタづけにしたのです

そして前の車にパッシングを連発する神戸

『こいつ‥ケンカでもしたいのか

』
酒も入ってるコトで神戸は血迷ってるのかと、内心そう思っていたら予感は的中

前を走っていたK自動車は路肩に停車したじゃありませんかぁ

『ヤバい

‥こりゃ始まる』
しかし
前の車の運転手は一向に車外から出ようとしません
神戸もそれをただじーっと見ているだけ
私も真似して、前の車を凝視するとすぐにあるコトに気付きました
私『前の車‥女のコじゃね??』
神『よし

行くべ

』
神戸は勢いよく車外に飛び出し前の車に近寄ります‥そして私も

神『こんばんわ

』
‥やけに慣れた感じで運転席側の女性と話し出す神戸クン

私『‥どーも

』
私は自然に助手席側の女性に声をかけました

神『今から一緒に遊ぼうよ

』
私『あ゛っ

』
女性『別にいいよー


』
そうなんです

外国人パブの後に神戸が用意をした『金』のかからない遊び
それは
ナンパだったんです


その当時
レンタルビデオ店を中心とした半径300mくらいの区域は
通称『エクセル』
とよばれる若い男女の人気ナンパスポットになっていたのです

ルールはいたってカンタン

男の乗った車はただひたすらに停車してガマン
停車場所もおのおの重要で、野郎の車は四方八方に分散するんです


そしてナンパ目当ての女が乗る車が区域内に走ってきたら、すぐに車を後ろにつけてパッシング

止まってくれたらお話が出来る交渉権の獲得
こんな具合です

当日は週末の土曜日
辺りはウジャウジャと女を待つ野郎どもの車と
そしてグルグルとパッシングされようと走り回る子猫ちゃんたちの車の嵐

私にとってこの日が人生はじめてのナンパ

しかし
これは後から本人に聞いた話ですが
神戸はなんと高校野球を引退した高3の夏から通い詰めていたという
いわばこの一帯の常連さん

緊張しっ放しの私に比べて、神戸にしてみりゃ話しかけるコトなんか朝飯前


暖簾をくぐって
『今日やってるぅ?

』
くらいのカンタンなコトだったんです

かくして、そのK自動車の女のコ2人組と話はトントン拍子に進み
とりあえず健全に4人乗り合わせでドライブに行き、最後に相手のケータイ番号をGETした神戸と私


『じゃあまたね

』
2匹の子猫ちゃんたちとバイバイした時には、既に空は白みを帯びてきました


時間にしてAM5:00頃
この日の練習が休みだったからこそ出来た
【初脱走

からの楽園ベイベー

】
私『神戸‥これはハマってしまうわ


』
神『だろぉ


』
だんだんと動き出した朝に
朝マックならぬ
朝ラーメンをすすりながら、互いに野生の意志を確認しあったバカ2匹



しかし、これはまだ序章に過ぎず
冒頭に述べた通りの
神戸と私を中心とした野球部内における一大ナンパムーブメントを巻き起こし
学生の本分と秩序を著しく崩壊させてゆくのです(笑)
まあ、この続きは
また次回のお話に‥