対談「中田英寿×本田圭祐」のテキスト全文書き起こし

今日、テレ朝でやっていたワールドカップ特番で「中田英寿×本田圭祐」の対談がありました。非常に興味深い内容になりそうだったので、生で見つつテキストに書き起こして、2回目見て修正加えてみました。名言続出、永久保存版です。ディテールがちょっと違う部分があるかもしれませんが、その辺はあしからず…。

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まだYouTubeで動画上がっていないので、とりあえず予告版の動画はっておきます。雰囲気を感じてもらえれば。

本田圭佑:こんにちは。初めまして本田です。

中田英寿:中田です、どうもこんにちは。

本田圭佑:初めましてですよね。

中田英寿:そうですね。

中田英寿:南アフリカ結構、夕方とかになると涼しい。行ったことありますか?

本田圭佑:あのね、去年の11月頃、南アフリカと試合したんですよね。

中田英寿:あーそっかそっか。でもあれ夏前じゃないですか。向こうだと。

本田圭佑:そうですね。

中田英寿:今度は冬場だから。町によっては寒い。夜なんかはコート着てなきゃだめなくらい寒いところもあるんで、まあ本当に…逆に言えばよく走れるし、だから日本の良い所が出しやすい部分も当然あるんで。ただやっぱり、今まで誰も冬場のワールドカップは体験したことがない。だから、本当に今まで何度かワールドカップに出ている日本の選手も、体調の持っていき方とかあんまわかんないと思うから、その辺を気をつけるのは必要かなとは思います。


■海外ではとにかく、ゴールという結果を出すこと

本田圭佑:ボクはまだ世界で戦ってないってまだ自分では思ってるんですけどね。まず、モスクワ…まあモスクワレベルでようやくスタンダードに来たかなって個人的には思ってるんですけど。

本田圭佑:チーム内で競争があるじゃないですか、海外って。もう普段の1対1、オランダって1対1重視するというか、1対1仕掛けへん奴はサッカー選手じゃないくらいの雰囲気あるんですよね。だからまずは1対1強くならな思ってね。日本にいたときはパスサッカーに美学がすごく個人的にはあって…。

※ここで本田が所属していたVVVの2部降格エピソードのV入る。

本田圭佑:まさか自分のサッカーキャリアで2部でやるだなんてっていう、まさかっていう感じなんですよね。イメージが、あまりにもいい上がっていくイメージがあるんで、で、そこで、2部。もうこの先、自分の目標にどうやって辿り着いたらいいのか、こんな2部から、底辺からって思った時に、まず自分のサッカー否定しないと次のステップに行かれへんのちゃうかなって思ったんですよね。じゃあどうやって次のステップに行けんねんっていうたら、点を獲らないと誰も見てくれへん。誰も2部なんかスカウトも見てくれへんのに、アシストして、じゃあアシストの前の起点になって、誰が移籍させてくれんねんっていうような、自分でメンタルコントロールをしたんですよね、毎日。

本田圭佑:そこですかね、自分のプレースタイルが完全に変わったなって個人的に思ったのは。世界で認められるのはパスではなくてゴール、ゴールした奴が一番えらいみたいな、そういうのはすごい感じましたね。

中田英寿:ボクも実際にイタリア行った時に、やっぱり日本人でなめてるわけですよね。みんな。で、「まあ何しに来てんだよ」くらいで、パスも回ってこない。で、その状態から始めるには結局、点を獲るしかないと。

※ここで中田のペルージャ時代のVはいる。

中田英寿:結果を出せば、当然パスが集まってくる。これは外国はもう本当に…

本田圭佑:シンプルですよね。

中田英寿:うん。

本田圭佑:わかりやすいですよね。

中田英寿:本当にわかりやすい、もうそれは目に見えて(笑)

本田圭佑:(笑)

中田英寿:今度は逆にみんなが集めてくれるくらい、プレーの変化がそうなったのはすごい海外向きのプレーだと思うし、そこからパスという選択肢はね、あとから付いてくるとしても、やっぱり得点が獲れない選手って言うのは特に、まあMFから前の選手は、それをしない限りは海外ではやっぱり致命傷かなっていう。

中田英寿:すごいシュート力もあるし、前に行く姿勢も攻撃的で海外向きだなあと、今のプレー見ててすごい思うんで。そのーオランダの2部に落ちた経験っていうのは良かったんじゃないかなと。

本田圭佑:いやー本当そうなんですよ。なんて言うんですかね、節目というか。

※本田のVVV時代→CSKA移籍などのVはいる。

■半身でボール受けて前を向くことばかり考えていた

中田英寿:本田選手のプレーを見ている中だと、特に前を向いた時のプレー。尚かつボールを前で受けたときのプレーがやっぱりすごい特徴的だと思うし、特にシュート力っていうものには…本当すごいシュート打つなあってボクは本当思ってるんで。

本田圭佑:いやいやいや、全然っすよ。

中田英寿:逆にその押し込まれるときでも、自分が戻ってボールが来ないから受けに行かなきゃいけないとか、やっぱり後ろ向きでボールを受ける状態をどれだけ少なくできて、どれだけうまくサボって前を向けるか。

中田英寿:やっぱりボクがペルージャの時で、一番気を遣ったのはその部分であって。

本田圭佑:ヒデさんそういうのうまいですよね、見てて思うのは走りながらもうのとか。

※中田の当時のプレーVはいる。

中田英寿:ボクはドリブルでフェイントをする選手じゃないから、ボクはそれよりも、スピードの緩急で相手の前に入り込んでいくプレーを、で、相手を後ろから追いつかせないっていう。

本田:もうもらった時点とかでね。

中田英寿:そう。それをまずどういう風に走って、前を向いて相手の前に出れるかっていうポジショニングをいつも味方のボランチがボールを獲る前提、もらう前提で周りを見ておいて、で、後ろを向かずに半身にしながら、どうやればどこに行けるかなってまず見ておく。

本田圭佑:はぁ〜…たしかになあ。

※中田の当時のプレーVはいる。

中田英寿うちらの練習では必ずボランチも、もらった瞬間にボクをみてっていうのをやってたので。でもその代わりディフェンスの時には少しサボりつつ、味方のボランチからボールを受ける前提でポジショニングをとっておく。

本田圭佑:代表ではそれは出てきました?

中田英寿代表では98年頃にはやっていました。いつもやってたから、名波と山口の二人がいて、あの二人がボールを受ける前提でボクはもうほとんど、そのまま自分がすぐに前を向いてドリブルに入れる、それをいかにできるかっていうのをやってたんで。でも、結構(本田の)プレーを見てると似たようなプレーをやってたんで。

本田圭佑:全然ですよ、ボクね。止まっちゃってね。

中田英寿:それはやっぱり、微妙なサボり方、まず。味方を信じて、ボールを獲ってくれると、獲ったときにはまずここのボランチにボールが入るから、その時に自分は次にどういう状態でどこにポジショニングをとれば、半身で受けられるか。前を向けるともう相手のボランチを抜ければもうシュートしかないから、スルーパスか。

本田圭佑:そういうの多かったですよね、ペルージャ時代。

中田英寿:それしかやってなかったですよ。

本田圭佑:すごいなあ

中田英寿:自分がそのトップ下の選手だと思うのであれば、そういうプレーをやれていると…

本田圭佑:参考にします。

中田英寿:もっと…

本田圭佑:危険な選手になれる。

中田英寿:うん。

本田圭佑:なるほどね。

中田英寿:もう本当にどんどん遠くからシュート打っていくべきだし、特に今のサッカーボールって本当に進化してて…

本田圭佑:めっちゃ軽いですからね。

中田英寿:すっごい軽くてもう…本当に当たり方でどうなるかわからない。

本田圭佑:そうですよね。

中田英寿:だからそれこそ、10本打って1本も入らなければバカだなって言われるけども、1本入ればそれだけでヒーローだから。やっぱりその自分の特徴を出せるように。

 

■自分の個性を出すことの大切さ

本田圭佑:今ね、すごいレギュラー争いで苦しんでるんですけど、出れるんですけど、トップ下で出れないんですよ。で、ボクもねそのやっぱり、(CSKAで)守備を要求されるし、その中で周りとの兼ね合いで、周りがうまくなければ、自分がパサーにならなければならないとか、そういう周りを生かさなければならないというような状況が結構あるんですよね。

※本田のCSKAでのプレーVはいる。

「監督にはトップ下でプレーしたいと言ってるんだけど、ボランチで使われる。こういう風にボランチで遣われるのは面白くないですよね。」

本田圭佑:プレーの質もそうなんですけど、メンタルなんですよね。こうちょっとバランス取ろうとしている時点でもう負けっていうか。

中田英寿:言いたいことはよーくわかりますよ。よくわかるし、間違いなくボクもそうだと思う。やっぱり自分がそのチームのためにバランスをとることを考え始めるとやっぱり…それと自分の個性を出して前に点を獲りにいく、やっぱりそれは自分の個性を出すことが勝たなきゃ絶対にダメ。

本田圭佑:そうですよね。

中田英寿:うん。

本田圭佑:いやーもうそれに負けた時はやめますよ、ボクも。

中田英寿:やっぱりそれは当然まわりにも言われるだろうし。それはもうチームメイトから監督からメディアから何から言われるだろうし、結果が出なければ。

本田圭佑:なるほどね。

中田英寿:だからそれを本当にボクがね、周りから見てる部分で、思うイメージだと、周りから文句言われるの嫌いじゃないでしょ? まあイヤだとは思うけども。

本田圭佑:あのね……おっしゃる通りです。

中田英寿 :それが力になるでしょ?

本田圭佑:あのー…悪くないです。なんか目立ってるなという感じしますね。

中田英寿:その感じボクも何となくわかるわけですよ。

本田圭佑:なるほど(笑)

中田英寿:逆にそれが、ディフェンスもがんばってお前良くやってるなって言われる方が、たぶんダメだと思う。

本田圭佑:そうなんですよね。自分のプレーで認められたいんですよね。

本田圭佑:やっぱり自分は、よりゴールに近い、ストライカーじゃないんですけど、よりゴールに近いところでプレーしたいし、そこで、シュートをガンガン打って、やっぱり危険な選手、相手に嫌がられるような選手。っていうのが、ボクの理想像ですし。やっぱりボクは、ボランチでビッククラブでプレーすることではなくて、サイドハーフでビッククラブでプレーすることではなくて、やっぱり譲れないものは、自分の好きな真ん中のポジションでビッククラブでプレーする。そうできる…それでもビッククラブの監督がオレを使わざるを得ないようなプレーヤーになることですよね。要は「決めろ」と。もしくは常に「決めさせろ」。決めさせられる選手? どちらにしてもディフェンスにとって最もイヤな選手みたいになら…なりたいですね。

中田英寿:だから、やっぱり今の現代サッカーを踏まえた上で、でもやっぱり自分の個性、わがままっていうのをどれだけ出せるか、っていうのが、特に今の日本代表の中で必要なことだと思うし。やっぱり色々言われることも多いと思う。だけども、その中でも自分のプレーを出し続けられるかどうかっていうのは、本当に個人のステップとしても大事だろうし、また、今の日本代表に一番必要なものなんじゃないかっていうのは、何となく周りから見てて思うんですよね。

※個性を出すことの大切さに関するVはいる。

■日本でいう技術は練習で使える技術、試合で使える技術じゃない。

中田英寿:どうですか?チームは?

本田圭佑:もちろん、日本チームは一番格下ですけど……その…可能性も一番低いんですけど、でも勝負事じゃないですか。

中田英寿:まあでも技術的にも、短い距離のスピードだとか戦術にしても多分ほかのチームに見劣りしていない。みんな練習とかやってても、ミニゲームとかやってても、すっごいうまいでしょ?

本田圭佑:いや、うまいっすよ。いや、本当にオレなんか下手な方ですからね。

中田英寿:ボクも下手でしたけどね(笑)みんなすっごくうまいなーって。

本田圭佑:いやあでも本当にね、うまいなーって思うボール回し、微妙なことやらしたらね、日本のサッカーはすごいオレ、レベルが高くなっていると思うし、でもそのレベルが高くなっているなっていつも言いますけど、どういう意味なんやっていう話じゃないですか? ゴールを獲るためにサッカーをしているわけで、たしかに技術っていうところだけ…技術、じゃあ技術って何なんやって、すべて技術じゃないですか。体当てることも技術ですから。スライディングも技術ですし。

中田英寿:まあ日本で言う技術っていうのは練習で使える技術。

本田圭佑:なるほど。

中田英寿:やはり、試合で使える技術じゃない。わかります?

本田圭佑:わかります、すっごいわかります。

中田英寿:そういうこと。だからそういう練習だけをやらせたら多分日本代表は本当にトップレベルだと思う、世界でも。だけれども、それが試合で使えるかっていうと、それは別物であり、でも練習でできるということは、本番でもできる要素はある。

本田圭佑:何やと思います? 理由は。

中田英寿:使い方を知らないから。それはもう試合の進め方であり、駆け引きでもあり、またはそこにかける気持ちの入れ方であり、やっぱり日本はそこが……うーん……うまくない。

本田圭佑:なるほどね。

中田英寿:300キロで走れるスペックはもってても、でも今の所使えるのは200キロまでしか使えないみたいな。

本田圭佑:結局、普段の練習に理由があるのかもしれないですね。

中田英寿:ボクが代表にいたころはそうでしたね。

 

■日本に一番欠けているのは「姿勢」

中田英寿:前回の2006年ワールドカップで予選を通過して、日本に帰って来て、記者会見で言ったのは、このままじゃ日本はまず勝てないだろう、と。というのは、本当にたまに自分たちの引き出しを出せる時はあるけども、それが常に同じ一定で出せるかというと出せない。それをボクは予選の中で経験して、この試合は良かったけど、この次の試合はダメだったと、そういうのはやっぱり出し方を知らないし、このまま行ったらまず無理だなという意味でボクはそれを言ったんですけど。

※ジーコジャパン時代のVはいる。

このチームを見た時に、まだ正直本大会で闘って勝ち抜けるだけの力はまだないとは思ってます。

中田英寿:一番の根底にある姿勢、サッカーに対する姿勢であり、練習をやるときの姿勢であり、気持ちでありっていうのは、あるのが当然であり、だけども多分日本で一番欠けているのはそこだと思うんですよね、ボク。

本田圭佑:当たり前のことやのに。

中田英寿:当たり前のことが今一番難しくなってる。やっぱりそれを練習でやらなくて試合でできるのかっていうのは、ボクは信じられない人間なんで、練習でできることは試合に出す。やっぱり練習のときからそういうことをやり続ける。外国って普通(の練習のとき)でも普通に削るじゃないですか。

本田圭佑:いやもう普通ですよ。オランダ時代に何回殴り合いを見たか、練習中に。途中で帰らされるんですよね、その両者。

中田英寿:だけどやっぱり、それくらい、みんな…

本田圭佑:必死なんですよ。

中田英寿:でもそれがあれば、技術もあるしスピードもあるし、戦術もあるし、本当にいい所まで行けるのが、それをすごいボクは感じていたからこそ、すごいもどかしくて。だからこそ、もちろんボクは精神論者でもなく、一生懸命やるとかそういうことを言う人間ではないし、そんなのあって当たり前だと思うけども、そこが一番足りなさそうだなって。

本田圭佑:いやあその通りだと思いますよ、ボクも。

中田英寿:だから今度のワールドカップ始まりますけど、一番ボクが見たいところってのは、技術とか戦術っていうのはもうある程度高い所まできているのは分かっているので、ただボクが2006年で一番失敗だったと思うのは、その姿勢の部分であり、気持ちの部分であり、それが今回のワールドカップでどう変わっているのかというのがすごい見たいところではある。

本田圭佑:いやー期待しててくださいよ。

※ここで2006年W杯時代の日本代表Vはいる。

 

■4年前の真実

本田圭佑:ヒデさんに聞きたかったことあったんですよ。

中田英寿:なに?

本田圭佑:あくまでも新聞報道ですよ? 全くのすべてが真実じゃないことは百も承知です。ただ、オレから見てて、すっごい孤独やろうなって思ってたんですよ。それについてヒデさんどう思ってるのかなって。

中田英寿:まあボクは……じゃあまず逆に、逆にひとつ。

中田英寿:日本でやってた頃と、海外に行ってから、その日本のメディア、また日本の選手たちの対応っていうのは変わりましたか?

本田圭佑:全然違いましたね。感じることが違いましたね、まったく。うん…見る、目線が変わりましたね。

中田英寿:で、今、こう海外出ている選手の中でも、やっぱり結果を出していて、こうやっていて日本代表に入って来た時に、日本代表の周りの選手の自分を見る目っていうのは?

本田圭佑:そうですね。正直、良くも悪くも注目されているなっていうのは感じますし…そういう中で自分はプレーしているなっていうのは、もちろん感じますね。

中田英寿:ボクがイタリアに行ったとき、海外に行った日本人選手がなかなかいなかったし、だからほとんどその状態をひとりだけチームでポツンと。周りが見てるな、と。で、またその当時もやっぱり他の選手が日本でほとんどやってたんで、見てると同時にちょっと距離をあけてるな、と。期待もしてるし、なんか触りがたい感じもしてるしっていうのが、こっちもすごい受けて取れる。それが21歳のとき、海外に行ってからずーっと続くわけですよ。

中田英寿:で、まだ21の時は上の選手がいたから、10歳くらい上の選手もいたりしたから、まだ良かったけども、それがどんどん2002年、2006年と経るにつれ、自分が上になっていく。そうすると、今度はその距離を、若いときはまあそれでも好きにやっていけばいいかなと思ってたものが、やっぱり溝が深くなっていくわけですよ。だから、本当はボクもね、あの昔はその本田選手のようにね、自分はボールをもらって好きに攻撃しにいく、自分は点を獲る選手であり、ディフェンスをする選手じゃないからできるだけディフェンスをせずに、いい状態でボールをもらって攻撃をするというのが哲学で、ずっとやってたけども、でも今度は、それをずっとやり続けていけない状態が少しきてしまって。

本田圭佑:代表で、ですか?

中田英寿:代表で。

本田圭佑:周りとの兼ね合いがあるからでしょ?

中田英寿:兼ね合いがあって、バランスを取らなきゃいけなくなる。で、自分のプレーが徐々にできなくなる。なぜかと言ったら周りを生かさなきゃいけなくなる。やっぱりそれが最終的にずっと続いて2006年になり、やっぱりなかなか、そうコミュニケーションとりずらいし、またこっちが言っていることも、向こうが言っていることもなかなかうまく噛み合わないし…ま、そういう状態で、最終的には2006年は終わってしまった。

中田英寿:ただそれは2006年終わってしまった時にも、自分が実際にやりたいこと、やりたいプレーをやり続けて来てその状態だったらまだいいけれども、それを中途半端にやっぱり、合わせようとしたところがあって、自分のプレーを消しながら周りを生かそうとして、で、うまく行かずに終わってしまうと一番つらい状態で。

本田圭佑:いや、そ……そう…ヒデさんがそういう風に考えてたっていうのは、大体自分の中で思ってた通りなんで、どう思ってんのかなっていうのはずっと気になってたんですよね。

※ここで2006年W杯時代の日本代表Vはいる。ちなみにビデオ切れて、ここちょっと抜けてます…。

 

■リスクを負ってプレーしないことの方がこわい

本田圭佑:自分を結構追い込んだんですよね。チャンピオンズリーグ前。なんで、ボク的に楽しみなんですよね、準備の仕方がね。準備がすべてだと思ってるので。もちろん……ね、俺の攻撃力でカメルーン相手に点獲れるのかっていうのも、それはもちろんわからないですけど、でも自分の中では自信があって、俺かストライカーがゴール獲らないと、じゃあ誰がチームで獲るねんって言う風にボク思ってますから。

本田圭佑:早い段階で戻る前に攻めるとかね、早い段階で縦に行くとか、寄せて来えへんかあったらシュート打つ。ヒデさんがユベントス戦で決めたやつみたいな感じで。

※中田のユーベ戦のゴールVはいる。

本田圭佑:くっとちょっと寄ってこなかったら打つとか、そういう感覚が90分間の中で、オレだけじゃないですもちろん。ストライカーの奴もそうですけど、右サイドも左サイドも、何回微妙なことができるかっていう。その布石が90分間の中で、1点2点っていう数字にオレ表れるんじゃないかなって……わかりますよね?

本田圭佑:その、微妙なんですけど、その多分見ている人とかは、いやお前へたくそやな何やってんねんって、そこ打つとこちゃうよ、パス出しとけよ、フリーやろみたいな。でもフリーやから使っておけっていうのは正論なんですけど、じゃあそこを打って、次もし、もし万が一同じ場面ばあったとしたら、それオレはすっごい前の打ったことが布石になってると思うんですよ。全然ディフェンスのメンタルは違うと思うんですよね。

本田圭佑:その1本目もし出してて、ロスタイムの時に1回目の場面で打つか打たないかというのは。ボクはそういう風に考えてて。だから、カメルーン戦は1分目から勝負だなっていう。どっちにしろきれいなサッカーは多分できないと思うんで。理想はもちろん押し込んで、日本らしいサッカーをすることですけど、ゴール前に行けるのは2回ぐらいかもしれない。そんな状況をイメージしたときに、やっぱりペナルティエリア手前あたりで、どれだけ相手に脅威が与えられるか。ボクは…ですけど、みんなリスクを負うことを嫌うとか言いますけど、ボクはリスクを負わへんことの方が怖いんですよね。その方がもうリスク大きいんちゃうかって。リスク負うってそもそもじゃあ何を背負ってんねんっていう話やし。

※本田のプレーVはいる。

 

■わがままを通し切れなかったことがサッカー人生で一番の後悔

中田英寿:まあ、自分のわがままなプレーをし続ける選手は、バカか、本当にいい選手か、どっちかで終わる。結果が出れば、本当にいい選手になるし、結果が出なければバカだな(と言われる)。だけれども、バカな選手と言われても、そこで終わるわけじゃない。絶対にそういう選手っていうのは、沈んでも上がってくる。大体そう。あいつパスも出さないし、FKも全部蹴っちゃうし、持ったら全部シュート打つよ、本当どうしようもねえなって言われている選手だったとしても…

本田圭佑:3試合後くらいにハットトリックとかしてたりするんですよね。

中田英寿:そうすると、それまでが全部帳消しになっている、ヒーローになっている。それがサッカーの世界であり、それを周りからこうやるからちょっと譲らないととか、パス回さないととかって思い始めると、いい選手。すごいいい選手にはなれずに、いい選手で終わってしまう。だから結果がでない時でも我慢し続けて、本当に自分の好き勝手、特に外国では本当に自分のわがままでやらないと、上に昇り詰めたいと思うんだったら、それをやらないと絶対に無理かなと。まあ、ボクの経験上。

本田圭佑:本当そう思います。

中田英寿:ボクはどちらかというと、ワガママを通しきれなかった人間だし、

本田圭佑:いやいやいや

中田英寿:でもボク自身そう思ってて、やっぱりそれを出し切れなかったのは、自分にとっての一番の後悔。そのサッカー人生の中で一番の後悔だし。それを…まあ外から見ている限りでは、そういう道を辿りそうだから…辿りそうっていうのはその自分の我をだしていきたいというプレー、回していくというよりもそういうのが好きそうだからやっぱり、もっとやり続けるべきだとボクは思います。

※中田のVはいる。

■本田選手には好き勝手、わがままにプレーしてほしい

中田英寿:ボクは今、本田選手のプレーを見てて、思うのはすごい攻撃的でいいプレーをしていると。やっぱり点を獲る。ボクは一番シンプルで重要だし、日本代表の中でもやっぱり今までのワールドカップを日本代表が戦ってきた中で、一番足りないのは点を獲ること。日本代表が今、4−3とか5−4のような試合ができるかと言えば、まずできない。日本の殻をやぶってもう一つ行くには、点を獲るチームにならないと。その点でやっぱり、本田選手のようなもっと前に進んで、とにかく点を獲りにいくというのは非常に大事だと思うし、これから海外でやってってね、結果を残していけばいくほど、なんか自分の状況を重ねちゃうだけに、やっぱり周りに合わせないで、自分の思ったプレー、好きなプレーをやってって欲しいなって外から見てて、すごい思うところですね。

本田圭佑:そうですか。

※まとめVはいる。

 

■中途半端で終わるのが一番つまらない

中田英寿:大体、ボクが考えた本田選手像、こういう人だろうと。人というかサッカー選手としての価値観…

本田圭佑:どうでした?

中田英寿:思った通り。

本田圭佑:ボクもです。

中田英寿:ボクも多分似てるなーと。

本田圭佑:ボクも思った通りでうれしかったです。マジで。

中田英寿:そう思っただけに、ボクが……こうなりたくなかった、こうしたくなかったという、当然自分のサッカー人生の中であるものを、そうならないようにやってほしいなと。それをまあ特に今日、いろんな質問がね、サッカー人生だったり、ワールドカップであると思うんですけど、ボクが今日は会って一番伝えたかったのは、ボクはこうだったからこれはやらない、こうならずにこうしてほしいなっていう所なんですよね。

本田圭佑:ありがとうございます。

中田英寿:いえいえ。まあとにかく、ボクとしては、どれだけワガママにやってくれるかなと。本当にどんなにヒールになろうと、どんだけ文句を言われようと、最悪、お前のせいでワールドカップ負けたぞと言われようと、どれだけ自分のプレーをやってくれるのか。そこにすごいボクは期待してて。まあ本当にベッカムだってお前のせいで負けたぞとか言われたって、その次はヒーローになるとか、やっぱりどっちかしかないから。

本田圭佑:そうですね。

中田英寿:中途半端で終わるのが一番つまらない。

本田圭佑:一番イヤですよね。

中田英寿:最悪と言われるか、最高と言われるか。そのどっちかであってほしい。あとはワールドカップは実はそんなに緊張するものでもないと思うし、シュートを1本打って、まあすっきりしちゃえば、あとはもう…。そんなに緊張するものでは。

本田圭佑:いやいやいやいや…3回出てますから(笑)

中田英寿:今度4回目の奴もいるし。

本田圭佑:そうですよね。

中田英寿:楢崎と能活は4回目でしょ? 二人とも。

本田圭佑:キーパーだけですよね? っていうか、4回目出れたんじゃないですか?

中田英寿:いやいや、もうこんな老体に…(笑)

本田圭佑:むしろ放棄したじゃないですか(笑)

中田英寿:今回の2010年終わったあとにもう一回考えます(笑)

本田圭佑:あははははは(笑)なるほど、10年、ブラジル。その時また聞かせてくださいよ。考えが改まったか。南アフリカ来ないんですか?

中田英寿:行きますよ。メディアのあるし。それはすごい楽しみにしています。

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いかがでしたでしょうか?

【追記】消されちゃうかもですが、一応動画あがったようです(6/7 14:00)
中田英寿×本田圭佑 対談


中田は「わがままをやり切れなかったこと」をサッカー人生の一番の後悔だと語りました。思い返せば、たしかに98年の頃は好き勝手やっている感じがして、またそれが良い結果につながっていた。でも、06年のドイツ大会ではチームの中心として、ボランチ的に構えてゲームをコントロールしたり、周りのために走り回っているようなプレーが多くなって、それが結果的に中田の良さを消してしまっていた部分がありました。その教訓を本田に伝えたかったんでしょうね。

この対談で中田が本田に伝えたかったことは結局、「好き勝手やっちまえよ」ということでした。自分がそうしきれなかったことを後悔し、本田にアドバイスをする中田の姿に、ボクは感動するとともに、なんだかやりきれない気持ちにもなりました…。

いよいよ来週開幕するワールドカップ。本田の活躍に期待しましょう!

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