中国地震:400人死亡1万人負傷 多数生き埋め

2010年4月14日 21時8分 更新:4月15日 1時15分

14日、中国西部の青海省玉樹チベット族自治州で、崩れたビルから生存者を捜す救急隊員=AP
14日、中国西部の青海省玉樹チベット族自治州で、崩れたビルから生存者を捜す救急隊員=AP

 【北京・米村耕一】新華社通信によると、中国青海省玉樹チベット族自治州で14日朝に発生したマグニチュード(M)7.1の地震の死者は、同日夜までに約400人となった。負傷者は1万人を超えた。標高3700メートル前後の被災地は夜間の気温が氷点下10度以下にまで冷え込む山間地。がれきの下に多くの人が埋まっており、死傷者はさらに増えそうだ。中国での大地震は、四川省を中心に9万人近い死者・行方不明者を出した08年5月の四川大地震以来となる。

 中国政府は地震発生直後、災害等の緊急度を示す「対応レベル」を4段階でもっとも低い「4」としたが、その後、最高の「1」に引き上げた。胡錦濤国家主席や温家宝首相は同日、救援活動に全力を挙げるよう関係部門に指示し、回良玉副首相が被災地に入った。

 中国政府の迅速な対応の背景には、被災地の人口の97%を占めるチベット族に対する配慮が感じられる。救援活動が遅れた場合、チベット族の反政府感情を刺激しかねないからだ。回副首相を現地に入れたのも、副首相が少数民族の回族だからだとみられる。5月1日からの上海万博を控えた時期でもあり、国際的イメージが悪化するような事態は避けたいという思惑もありそうだ。

 もっとも大きな被害が出た玉樹県中心部の結古鎮には、チベット仏教4大宗派の一つ、サキャ派の聖地、結古寺(ジェグ・ゴンパ)がある。だが、中国メディアは地震発生後、同寺の映像を流しておらず、倒壊したのではと心配されている。

 中国当局は08年3月のチベット自治区ラサでの暴動後、拠点となった寺院への締め付けを強めており、僧侶らの反発が続いていた。震災で倒壊した寺院の映像が流れることで、文化大革命当時の寺院破壊を思い出させ、民族感情を刺激することを避けているとの見方も出ている。

 中国政府は、人民解放軍や武装警察など5000人を超える部隊を投入して救援活動に当たっているが、大型重機の不足で救出活動は難航している。

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