内閣府は7日、景気動向指数研究会(座長・吉川洋東大教授)を開き、2007年11月に始まった景気後退局面が昨年3月に終わり、4月から景気拡張局面になったと判定した。今回の後退局面について内閣府は「テンポは急速だった」と説明し、金融危機による急激な輸出の落ち込みが日本経済を冷え込ませたとの見方を示した。09年4月から始まった現在の景気拡張に対しては「反転の程度は過去と比べて大きかった」とみている。
景気動向指数研究会の委員7人とも、景気の「谷」を暫定的に3月に認定することで一致した。内閣府経済社会総合研究所の岩田一政所長は後退局面の名前について「グローバル・フィナンシャル・リセッション(世界金融不況)ということではないか」と述べ、世界的な金融危機による影響が大きかったとの認識を示した。
景気の後退局面は17カ月で、戦後の平均的な長さ(16カ月)とほぼ同じになった。ただ今回の「谷」認定はあくまで暫定で、来年データが出そろったうえで前回の「山」も含めて時期を見直す。
原油高騰などで07年11月に始まった景気後退の初期は、従来と似た緩やかな落ちこみだった。しかし08年9月に米証券大手のリーマン・ブラザーズが破綻すると世界的な金融危機に拡大。日本の輸出が急減し、企業の生産活動も落ち込んだ。
景気動向指数の一致指数は「山」から「谷」にかけて20.2%落ちこんだ。比較可能な1980年以降の平均(12.3%低下)に比べて低下は深く、下降の速度も今までで最も急だった。
底を付けた後は急速な落ち込みの反動に加えて、中国向けなど輸出が回復、エコポイントやエコカー減税などが個人消費の下支えにつながり、企業の生産は持ち直した。ただ設備投資や雇用の反転は遅く、回復も鈍い。研究会座長の吉川教授は「景気指標が落ちるときも上がるときも輸出が一番影響した」と述べた。
足元の拡張局面の行方について、研究会委員を務める三菱UFJモルガン・スタンレー証券の嶋中雄二氏は「原油価格の上昇や財政出動の反動で、景気は来春に踊り場になる可能性がある」と予測する。欧州の財政不安も懸念要因だ。JPモルガン証券の足立正道氏は「世界的な株安で今夏に景気が悪化するリスクはある」と述べつつも、「それを乗り切れば11年いっぱいは景気の拡張が続くのでは」とみている。
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