かばんから金色の勝負ネクタイを取り出す鳩山来留夫さん。髪形は事務所に着いてからセットするという=港区赤坂
「やめないで」「これからが腕の見せどころ」――。鳩山由紀夫首相のそっくり芸人、鳩山来留夫(くるお)さん(36)に激励のメールが続々届いている。「政治とカネ」や普天間問題で迷走し、退陣に追い込まれた鳩山氏とは対照的に、続投を望む声が多いという。
来留夫さんは4日正午すぎ、東京都武蔵野市内のアパートから出勤。電車を乗り継ぎ、午後1時半ごろ所属事務所がある港区赤坂に着いた。
ノーネクタイ。前髪は垂れ下がったままだ。電車の中では誰にも気づかれなかったという。
2日午前10時すぎ、マネジャーからの連絡で起こされ、鳩山氏の辞任表明を知った。テレビをつけると、両院議員総会で目をうるませあいさつをする鳩山氏が映っていた。
「もう少し頑張ってくれるかなと思っていただけに、残念でした」
師匠のビートたけしさんが「鳩山来留夫」と命名して1年。政権交代直後は2週間で60本の仕事をこなしたが、鳩山政権の支持率が急落するにつれて激減。街を歩いているだけで「うそつき」呼ばわりされたり、沖縄料理店で酔っぱらいに土下座を要求されたりしたこともあったという。
「でも、鳩山さんにうらみはありません。ただ似ているだけで国会議事堂でご本人と握手をしたり、アイドルと記念写真を撮ったりと、いろいろな経験ができました」
ブログに寄せられたファンからのメールは「奥さんや(昨年11月に生まれた)お子さんのためにも頑張って」などと応援のメッセージが圧倒的だ。たけしさんには近く会い、芸名など今後の対応を決めるという。
来留夫さんは「応援してくれるファンのためにも芸人はやめません。今回の経験を芸のこやしにして頑張りたい」と話した。(小泉信一)