抗体検査も陰性ブランド存続へ望み 種雄牛5頭

(2010年6月7日付)

 口蹄疫問題で県は6日、遺伝子検査で陰性が確認された種雄牛5頭について、採取した血液による抗体検査でも感染の痕跡は確認されなかったと発表した。国が求めていた経過観察を終え、「宮崎牛」ブランドを支える種雄牛の存続はより展望が開けた。県は10日に再び血液を採取し、抗体検査を実施。清浄性が確認されれば、13日午前0時に移動制限区域(半径10キロ)が解除される見通し。

 県口蹄疫防疫対策本部(本部長・東国原知事)によると、4日に5頭から採取した血液を動物衛生研究所海外病研究施設(東京)で検査。ウイルスに感染した痕跡である抗体は認められなかった。

 県は5頭とともに避難し、感染疑いが確認された「忠富士」の殺処分から約3週間後に当たる10日に5頭から血液を採取し抗体検査。忠富士の感染疑いにより設定された移動制限区域の解除に向け、10キロ圏内の和牛繁殖農家(2戸、約30頭)の目視検査も実施する。

 5頭は5月14日、高鍋町の県家畜改良事業団から西都市尾八重に避難。忠富士の殺処分後2週間にわたって遺伝子検査を受け、陰性を確認していた。

 今後も5頭の飼養管理者を別にするなどの防疫措置を継続し、感染終息後に避難先から同改良事業団に戻す。高千穂町に避難している種雄牛候補16頭も終息後、高原町の県肉用牛産肉能力検定所に戻す予定。

 東国原知事は「貴重な5頭を守れる可能性が高まったことに安堵(あんど)するとともに、5頭以外を失ったことを重く受け止めている」とコメントした。

■施設の分散必要

 【東京農工大農学部の白井淳資教授(獣医伝染病学)の話】5頭の存続で宮崎牛ブランドは何とか維持できる。これだけ伝染力が強い中、幸運にも恵まれた。検証は必要だが、一般農家では難しい特殊条件下で管理することで感染を防いだのだろう。今後は種牛の飼育施設を分散したり、家畜の少ない山間部に移したりするなどリスク管理も考えなければいけない。