天安門事件から21年目の4日、東京の中国大使館の敷地に無断で入ったとして警視庁に逮捕された中国の民主化運動の元リーダーが、6日、釈放されました。元リーダーは「中国に送還されることをねらって大使館に突入した」と話していて、今後、日本に滞在して任意での捜査を受けることになっています。
中国の民主化運動のウアルカイシ元リーダーは、天安門事件から21年目の4日、東京・港区の中国大使館の敷地に警察官の制止を振り切って無断で入ったとして建造物侵入の疑いで逮捕され、東京地方検察庁に送検されましたが、逃亡のおそれはないなどとして6日午後、釈放されました。ウアルカイシ元リーダーは天安門事件のあとフランスに亡命し、現在は台湾に住んでいますが、中国への帰国を望んでいるということで、警視庁の調べに対して、「成田空港から航空機で北京に行こうと思ったが、搭乗を拒否されたので、中国に送還されることをねらって大使館に突入した」と供述しているということです。また、「たとえ中国で刑務所に入れられても、離ればなれになっている両親と面会したかった」と話したということです。ウアルカイシ元リーダーに対する刑事処分はまだ決まっておらず、今後、日本に滞在して任意での捜査を受けることになっています。釈放されたあと、ウアルカイシ元リーダーは記者団に対し、中国大使館に入った理由について、今月3日、成田空港から中国に帰国しようとしたところ航空会社から搭乗を拒否されたのがきっかけだと述べました。そして、「事件のあと、両親は出国を禁止され、この21年間、会うことができない。収監されたとしても両親に会いたい。21年前、われわれは政府との対話をスローガンに掲げたが、今回も対話を求めて大使館に入った」と述べ、今後も中国への帰国をあきらめない考えを示しました。一方で、ウアルカイシ元リーダーは、現在の中国の政治状況について「天安門事件から21年間、中国政府は武力鎮圧の事実を認めず、依然として独裁的な統治を行っている。民主化を求める人々に対して、対話どころかますます非人道的な態度で臨むようになっている」と批判しました。