2005年12月
『スティーブ・ジョブズ:偶像復活』(東洋経済)を読んだ。大して期待していなかったが、予想以上におもしろかった。アップルの没落については多くの本が出ているが、この本はジョブズという型破りの個性を中心にし、彼のまわりの人間との葛藤を丹念に描いたことで、単なるビジネス書の域を超えた奥行きが出ている。
もうひとつの新味は、ジョブズの復活の過程を描いたことだ。iMacやiPodの開発では彼のデザインへのこだわりが功を奏し、iTunes Music Storeを立ち上げる際のネゴシエーションでは、彼のプレゼンテーションの才能が役に立った。Pixarの成功にも、ハリウッドのアクの強い連中に対抗できるジョブズの個性が貢献した。日本のビジネスマンに欠けているのは、良くも悪くも、このアクの強さだろう。
もうひとつの新味は、ジョブズの復活の過程を描いたことだ。iMacやiPodの開発では彼のデザインへのこだわりが功を奏し、iTunes Music Storeを立ち上げる際のネゴシエーションでは、彼のプレゼンテーションの才能が役に立った。Pixarの成功にも、ハリウッドのアクの強い連中に対抗できるジョブズの個性が貢献した。日本のビジネスマンに欠けているのは、良くも悪くも、このアクの強さだろう。
規制改革・民間開放推進会議の答申が出た。目玉だったNHK民営化については、「竹中プラン」を待つという結論に後退したが、これまでタブーだった放送業界への競争の導入に言及したことは画期的だ。
これに対して、NHKは早くも原田放送総局長(私の元上司)が「有料放送にすると視聴率優先になる」と反対の意見を表明している。しかし、この多メディア時代に、NHKだけが視聴者に受信契約を強制する制度の存在意義は疑わしい。また「戦時性暴力」の番組改竄騒動でも明らかになったような政治との深いつながりが、NHKのジャーナリズムとしての独立性を危うくしている。
それに民営化するといっても、選択肢は株式会社ばかりではない。いまNHKが持っているテレビ・ラジオ8波のうち、報道チャンネルだけは米国のPBSのようなNPOにするという手もある。とにかく大事なのは、政治家を使ってつぶしたりせずに、国民の前で堂々と議論することだ。
これに対して、NHKは早くも原田放送総局長(私の元上司)が「有料放送にすると視聴率優先になる」と反対の意見を表明している。しかし、この多メディア時代に、NHKだけが視聴者に受信契約を強制する制度の存在意義は疑わしい。また「戦時性暴力」の番組改竄騒動でも明らかになったような政治との深いつながりが、NHKのジャーナリズムとしての独立性を危うくしている。
それに民営化するといっても、選択肢は株式会社ばかりではない。いまNHKが持っているテレビ・ラジオ8波のうち、報道チャンネルだけは米国のPBSのようなNPOにするという手もある。とにかく大事なのは、政治家を使ってつぶしたりせずに、国民の前で堂々と議論することだ。
竹中平蔵総務相が、通信・放送分野の規制改革についての懇談会を設け、その結論を受けて来年6月にも「竹中プラン」を打ち出すそうだ。これまで、この分野は小泉首相の関心がないのをいいことに、業者と役所が談合して問題を先送りしてきたが、これでようやくITの世界でも「構造改革」が始まりそうだ。
竹中氏は「インターネットでテレビ放送をどうしてみることができないのか、NTTは無料のIP電話をなぜ提供できないのか、海外のCNNなどの放送を日本でほとんど見ることができないのはどうしてか」など、いろいろな問題に「聖域を設けない」といっているから、NHKの民営化やインターネットによる放送の再送信などについても議論されるだろう。
竹中氏は「インターネットでテレビ放送をどうしてみることができないのか、NTTは無料のIP電話をなぜ提供できないのか、海外のCNNなどの放送を日本でほとんど見ることができないのはどうしてか」など、いろいろな問題に「聖域を設けない」といっているから、NHKの民営化やインターネットによる放送の再送信などについても議論されるだろう。
ユン・チャン他『マオ:誰も知らなかった毛沢東』(講談社)は、上下巻1000ページ以上を4日で一気に読んだ。執筆に14年もかかっただけあって、毛沢東を権力のために平気で殺人を重ねる冷血漢として描く記述には、証拠に裏づけられた説得力がある。
ここに描かれる毛のイメージは、むしろスターリンに近い。なかでも驚いたのは、国内で数百万人が餓死しているのに、他国に自分の権威を示すために大量の食料を輸出していたという話だ。社会主義が生み出した権力者がこれほどよく似ているのは、偶然ではないだろう。国家権力が極大化した社会では、権力のために他のものをすべて犠牲にする者だけが生き残るのだ。
ここに描かれる毛のイメージは、むしろスターリンに近い。なかでも驚いたのは、国内で数百万人が餓死しているのに、他国に自分の権威を示すために大量の食料を輸出していたという話だ。社会主義が生み出した権力者がこれほどよく似ているのは、偶然ではないだろう。国家権力が極大化した社会では、権力のために他のものをすべて犠牲にする者だけが生き残るのだ。
第7回「ワイヤレス・ブロードバンドへの総務省の取り組み」
スピーカー:小泉純子(総務省電波部 電波政策課 周波数調整官)
モデレーター:真野浩(ルート株式会社 社長)
日本が「ブロードバンド大国」になった今、ワイヤレスの世界に注目が集まっています。総務省は、民間の専門家からなる「ワイヤレス・ブロードバンド推進研究会」を開催し、今後5~10年後の周波数再編を見据えた検討を行ってきました。その結果が21日にとりまとめられるのを機に、これからの電波政策について総務省の説明をうかがい、その方針について議論します。
日時:12月22日(木)19:00~21:00
場所:東洋大学白山キャンパス 5号館5202教室
東京都文京区白山5-28-20
地下鉄三田線「白山」駅から徒歩5分
地下鉄南北線「本駒込」駅から徒歩5分
入場料:2000円
ICPF会員は無料(会場で入会できます)
申し込みはinfo@icpf.jpまで電子メールで(先着順で締め切ります)
スピーカー:小泉純子(総務省電波部 電波政策課 周波数調整官)
モデレーター:真野浩(ルート株式会社 社長)
日本が「ブロードバンド大国」になった今、ワイヤレスの世界に注目が集まっています。総務省は、民間の専門家からなる「ワイヤレス・ブロードバンド推進研究会」を開催し、今後5~10年後の周波数再編を見据えた検討を行ってきました。その結果が21日にとりまとめられるのを機に、これからの電波政策について総務省の説明をうかがい、その方針について議論します。
日時:12月22日(木)19:00~21:00
場所:東洋大学白山キャンパス 5号館5202教室
東京都文京区白山5-28-20
地下鉄三田線「白山」駅から徒歩5分
地下鉄南北線「本駒込」駅から徒歩5分
入場料:2000円
ICPF会員は無料(会場で入会できます)
申し込みはinfo@icpf.jpまで電子メールで(先着順で締め切ります)