なぜ職場で人が育たなくなったのか
【第10回】 2010年6月7日
著者・コラム紹介バックナンバー
間杉俊彦 [ダイヤモンド社 人材開発事業部副部長]

若手をつぶす?“スパルタ式”新入社員研修
「厳しさ」と「理不尽さ」の曖昧な境界線

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5日間宿舎にカンヅメで携帯電話、テレビ、新聞、タバコは禁止、毎朝6時半からランニング、23時消灯、挨拶などの接客基本動作を叩き込まれて、「今後の抱負を絶叫」させて、最後は感極まって役員と抱き合って泣く…。王将フードサービスの新入社員教育を批判的に取り上げた前回の記事に対して、ネット上で賛否両論のコメントがありました。読んだ限りでは「賛」、つまり王将のやり方に批判的なコメントが多かったのですが、なかには「スパルタがなぜ悪い」、「育ててもらえるのをありがたく思え」というコメントもありました。再度、批判的な立場から解説します。(ダイヤモンド社人材開発事業部副部長・間杉俊彦)

その「厳しさ」が
本当に成長につながっていくのか?

 前回の記事では「スパルタ式研修」を批判したわけですが、「スパルタ式」とはどのようなことを指すのか、語義をハッキリ示しませんでした。

 「厳しいこと」を否定するつもりはありません。批判したいのは「理不尽な厳しさ」です。

 理不尽さを耐え忍ぶことで身につくものもあるでしょう。強烈な通過儀礼で目を覚まさせたい、という気持ちも分からなくはありません。しかし、企業の新入社員研修は、社会のルールに則って仕事をしていく態度を身につけることが主たる目的であるはず。

 感謝の気持ちを知ること、社是、マナーを教えること。それらは研修所という閉鎖空間で、怒鳴りあげ、精神的に追い込むことでしか実現できないことなのか。それが私にとって最大の疑問です。

 正当に「厳しい」ことと、不当に「厳しい」ことの境界線は、曖昧です。会社の考え方によって、境界線の位置に差ができるでしょう。

 それでも、「人材がよりよく育つかどうか」という観点から、「やっては得策ではない」一線があると思います。

 繰り返しますが、厳しいことがいけないわけではありません。たとえば、新入社員研修で集合時間に遅れた新人は罰として研修所への入室を許さない、という企業は珍しくありません。

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間杉俊彦 [ダイヤモンド社 人材開発事業部副部長]

1961年、東京都生まれ。86年ダイヤモンド社に入社し、「週刊ダイヤモンド」記者として流通、化学・医薬品、家電、運輸・サービスなどの各業界を担当。同誌副編集長、マネー誌「ザイ」副編集長を経て、06年より人材開発事業部副部長。08年9月29日に発刊された週刊ダイヤモンド別冊「ダイヤモンドing(イング)」では編集人を務める。『若手社員を辞めさせず成長させる 「適度なかまい方」マニュアル』『なぜ職場で人が育たなくなったのか』を連載中。


なぜ職場で人が育たなくなったのか

「なぜ職場で人が育たなくなったか」をテーマに、その背景と要因を考える。そして研究者や識者の知恵を借りながら、「職場で人が育つ方法」を提示していく。

「なぜ職場で人が育たなくなったのか」

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