米ノ井 基本的な考え方は軽量型のヘッドホンを直接耳介に引っ掛けて、そこで支えるヘッドホンを作るということでした。先がけ方式と後がけ方式の2通りを提案して先がけタイプのUが採用されました。当時、通っていた床屋で、パーマをかける時にコテで耳がやけどをしないようにある道具が使われているのを見た時に、これにユニットを入れればヘッドホンに使えそうだというアイデアがひらめいたのです。
宮田 設計で難しかったことは、片出しコードなのでコードをどうやってわたすかということでした。散々悩んだ末に、ピアノ線を使ってワタリ線と一緒にパイプで隠せば何とかなりそうだということに気がつきました。ユニバーサルで動かなければいけないので、そこが一番難しかったところです。
宮田 この製品はネーミングでも苦労しました。今までまったくなかった形ですから、パッと聞いてわからないと困ります。でも前掛けや下掛けではイメージが良くありません。そこで、新提案という意味を引っ掛けて「先がけ」というネーミングにしました。
宮田 折りたたみ式のATH-U88は、当初内側にたたむ方式で設計を進めていましたが、当時、このタイプは世の中にいっぱいありました。他社と同じことをやっても面白くありませんので、随分悩んだ末に、どこもやっていなかったジャックナイフのようにL型に折りたためるものに変更しました。良い悪いはともかく、特徴のある商品にしたかったというのが理由です。 |