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オーストラリア:調査捕鯨の日本提訴 選挙、強く意識

 【ジャカルタ佐藤賢二郎】オーストラリア政府は5月31日、南極海での日本の調査捕鯨廃止を求め国際司法裁判所(オランダ・ハーグ)に日本を提訴した。反捕鯨の豪州が従来より踏み込んだ措置を取った背景として、年内にも予定される総選挙を控え、支持率低迷に悩むラッド政権が「人気回復」を意識したとの見方が出ている。

 ラッド首相率いる労働党は、前回07年の総選挙で「調査捕鯨問題の国際法廷への提訴」を公約の一つに掲げて政権を奪取した。他にもスリランカなどからの難民受け入れ停止や温室効果ガスの排出量取引制度導入延期など、選挙時の公約を見直すケースが相次ぎ、野党などから「公約違反」との批判が噴出。労働党の支持率は下落し、5月初めには初めて5割を割り込み、野党・保守連合に逆転を許した。

 豪有力紙「オーストラリアン」(電子版)は今回の提訴について「時期や内容などあらゆる面で捕鯨廃止に向けた展望がなく、総選挙前に公約違反を取り繕うためだけのもの」と批判した。また、日本の調査捕鯨が科学的目的での捕鯨を認めた国際捕鯨取締条約に違反しているとの政府の主張を「要領を得ていない」と指摘。「勝訴は見込めず、失敗すれば(クジラの)大量殺りく阻止のための他の努力が無駄になる」と強調した。

 最大野党・自由党のアボット党首も「現政権が抱える問題から国民の目をそらすための行為」と非難している。

 一方、豪州国民の反捕鯨感情は強く、5月行われた世論調査でも南極海での調査捕鯨に94%が反対。国際司法裁への日本提訴を含む政府の姿勢を90%が支持すると回答している。

毎日新聞 2010年6月2日 東京朝刊

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