とある家、そこで一人の男が生涯を閉じようとしていた。
その老人からは死ぬ間際だというのにその目は死んでいなかった。
未だその目は戦士の目であった。
「・・・スネーク・・・」
中年のメガネを掛けた男が彼の名を、いや、コードネームを呼ぶ。
「・・・師匠・・・」
若い男が老人に語りかける。
「・・・スネーク殿・・・」
若い黒髪の美女も声を掛ける。
「ようやく・・・開放される・・・オタコン・・・そんな面するな・・・
一刀・・・お前を弟子に出来たことを誇りに思う・・・もう教えることは無い・・・後は自由に生きろ・・・愛紗と仲よくな・・・
愛紗・・・一刀のことを頼む・・・
フランク・・・ようやく・・・そちらに逝ける・・・
・・・これで・・・戦いから開放される・・・・」
「行くのかい?」
メガネを掛けた中年の男が語りかける。
「ええ、世界を愛紗と二人で回ってみようと思います。オタコン・・・いや、ハル、今までお世話になりました・・・」
「オタコン殿・・・お世話になりました」
「そうか・・・また何時か会おう。土産話を聞かせてくれ」
メガネを人差し指で直しながらオタコンは呟く。
「それでは・・・行こうか、愛紗・・・」
「はい、一刀様・・・」
俺達は、また歩き出す。
スネークさんの所に弟子入りしてから5年、俺はあの人からありとあらゆることを教わった。
技術だけじゃない、知識だけでもない、あの人の生き方も俺の中で生きている。
「歩いて行こう愛紗、共に・・・」
「はい! 一刀様、共に歩みましょう。何処までも・・・」
その時、突如眩い光が俺たちを包み込む。
そして、俺達は意識を手放した。