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[19314] 【習作】新たなる外史への道
Name: テンペスト◆fb11b208 ID:f4dd966b
Date: 2010/06/05 21:22
この物語は、某サイトで書かせて頂いている話を少し、修正して出しています。

恋姫無双の愛紗ルート後の二人が真の世界にやってきたら?
という妄想から生まれた産物です。
読んでもらえれば幸いです。




[19314] 【習作】新たなる外史への道 プロローグ
Name: テンペスト◆fb11b208 ID:f4dd966b
Date: 2010/06/05 21:22



とある家、そこで一人の男が生涯を閉じようとしていた。
その老人からは死ぬ間際だというのにその目は死んでいなかった。
未だその目は戦士の目であった。

「・・・スネーク・・・」

中年のメガネを掛けた男が彼の名を、いや、コードネームを呼ぶ。

「・・・師匠・・・」

若い男が老人に語りかける。

「・・・スネーク殿・・・」

若い黒髪の美女も声を掛ける。

「ようやく・・・開放される・・・オタコン・・・そんな面するな・・・

一刀・・・お前を弟子に出来たことを誇りに思う・・・もう教えることは無い・・・後は自由に生きろ・・・愛紗と仲よくな・・・

愛紗・・・一刀のことを頼む・・・


フランク・・・ようやく・・・そちらに逝ける・・・


・・・これで・・・戦いから開放される・・・・」






「行くのかい?」

メガネを掛けた中年の男が語りかける。

「ええ、世界を愛紗と二人で回ってみようと思います。オタコン・・・いや、ハル、今までお世話になりました・・・」

「オタコン殿・・・お世話になりました」

「そうか・・・また何時か会おう。土産話を聞かせてくれ」

メガネを人差し指で直しながらオタコンは呟く。

「それでは・・・行こうか、愛紗・・・」

「はい、一刀様・・・」



俺達は、また歩き出す。
スネークさんの所に弟子入りしてから5年、俺はあの人からありとあらゆることを教わった。

技術だけじゃない、知識だけでもない、あの人の生き方も俺の中で生きている。



「歩いて行こう愛紗、共に・・・」

「はい! 一刀様、共に歩みましょう。何処までも・・・」




その時、突如眩い光が俺たちを包み込む。



そして、俺達は意識を手放した。








[19314] 【習作】新たなる外史への道 1
Name: テンペスト◆fb11b208 ID:f4dd966b
Date: 2010/06/05 21:23


俺たちは突如、眩しい光に包まれた。
そして目を覚ますとそこには・・・・・・




果てしない荒野が広がっていた。




「またか・・・でもあの時は左慈とのやり取りで鏡が割れてこの世界に来たはず・・・
何でだ? ・・・考えても仕方ない、愛紗を起こすか・・・」

「愛紗、起きろ、愛紗」

「ん・・・んん・・・一刀様・・・」


起きたか

愛紗は辺りを見回しながら驚愕の声を上げる。

「ここは一体!? それに何で私たちはこのような所に……あの時、道を歩いていたはず!! 何で!?」

「解らない……しかし、ただ言える事は俺たちが違う世界に迷い込んだみたいだ」

「そんな!? そんな非科学的なことが!?」

「事実だ、前にも体験しただろ俺達……」

「……」

黙り込む愛紗。

「さて、こんな所で座り込んでても始まらん、俺達はこれからどうするかだ」

愛紗は神妙な顔をしながら俺の言葉に答える。

「情報が圧倒的に少なすぎます。まずは何処かの村か町、集落へ行き情報を集めることが先決かと・・・」

「・・・そうだな、それしかないか・・・その前に持ち物を確認しておこう」

「はい」




俺達は持ち物を確認する。


服装は黒ぽい紺色のスーツに、ホワイトのロングコート。
後、ある任務で手に入れた無限ドッグタグが首に吊るされていた。

左懐には師匠がくれたSTIナイトホーク4.3カスタム『白鷹』にM6レーザーサイト付フラッシュライト装着されていたのと高周波振動CQCナイフ『白牙』がある。

愛紗の方は、服装は、白いフリルブラウスに黒のプリーツスカート、ブルーグリーンの2ボタンのジャケット姿だ。

此方も何故か『青龍偃月刀改』があった。
コイツもオタコンが改良した物で刀身が高周波振動し斬撃の威力を高める。

つうか、愛紗にはいらなくね? そんな物……

普通に強いし……


あと二人分のトランクがある。中には着替えと装備が入っていた。
俺の装備はコンパス、双眼鏡、煙草、水筒、ライター、フラッシュライト、白鷹専用のサ
プレッサー、多数の白鷹専用マガジンとマガジンポーチ、グレネード各種、スタームルガ
ー Mk.I麻酔銃と多数マガジン、俺の酒類とタバコが入っていた。


愛紗の場合は、コンパス、双眼鏡、水筒、アクセサリー類、化粧品各種、服類各種、靴各種、鞄類などが入っていた。

ためしに、ナノマシンによる体内通信も出来るみたいだ。

「さて・・・行くか・・・」

「はい」

暫く歩いていると・・・

「ニイチャンたち珍しい服着てんな。身包み置いて失せな!」

「お! こっちの女、スゲーベッピンじゃねえか!! お前は俺たちと来い! 
タップリ可愛がった後、人買いに売り飛ばしてやるぜ」

なんとも下品な追い剥ぎが3名、声を掛けてきた。

しかし・・・またコイツ等か・・・

あの時の憂さを晴らす。

「愛紗・・・俺がヤル・・・手を出すなよ・・・」

「いけません! 一刀様の身にもしもの事があれば!」

「おいおい・・・上級の武将クラスなら兎も角、こんな農民崩れの盗賊の真似事してる連
中に俺が殺されるとでも?」

「思いません。上級の武将ですら傷付けることは難しいでしょう」

愛紗は即答で答えた。

「なら、見ていろ。サッサと片付ける」

「はい」

俺は盗賊共に向き直り、師匠の真似をして返答してやる。

「待たせたな」

「テメー!! ザケンな!! ヤロウ共!! やれ!!」

盗賊共は息を荒げながら怒鳴り散らす。

まーなんともありきたりで品の無いこと……

俺は襲ってきたデブの振り下ろしたボロイ剣を右へかわし、右腕を掴み肘を鼻っ柱に叩き込む。

「がっ!!??」

無様な悲鳴を上げるデブ、俺はそれだけでなく、肘打ちを叩き込んだ左腕を伸ばしデブの
左肩を掴み大地に叩きつけた。

「ガハッ!?」

デブはその体系に似つかわしいデカイ腹を出しながら気持ちよくノビた。

「デク!? ヤロウ!!」

チビ野郎が短刀を俺に向けながら突っ込んでくる。が、

俺はそれをかわしすれ違い様に右膝を鳩尾に叩き込む。

「ごは!?」

チビ野郎は苦しそうな声を上げくの字になる。

俺はその体制のチビ野郎に掌手を顎に叩き込む。

「ガッ!?」

チビ野郎は吹っ飛び地を転がりながら気絶した。

「デク!? チビ!? この野郎!!」

髭面の中年が剣を振りかざしながら俺に突っ込んでくるが、

俺は髭面の斬撃をかわし、左腕を髭面の首に押し当て上に締め上げ、足払いをし体勢を崩
す。そして、その勢いで地面に叩きつけた。

「グフッ!?」

3人終了。

俺は何事も無かったかのごとく愛紗の所まで歩く。

「行こうか」

「はい」

俺の問いかけに答える愛紗、だが、俺達は隠れている3つの気配に気づく。
気配の消し方がなってない。隠れているのがバレバレだ。
害が無いが気分のよいものではない。

「愛紗」

「ええ、隠れていないで出てきたらどうだ!」

岩陰から俺達のよく見知った人物が現れる。

「いや、お見事です。まさか私に気づくとは流石です」

((星!?))

俺達は驚きの声を何とか飲み込み、体内通信を行う。

『一刀様!! 星です! 何故星がこのような所に!?』

『落ち着け! コイツは星であって星じゃない! 俺達の事を知らない素振りだ。この様
子だとマジで俺たちを知らないみたいだ』

『そんな・・・』

『とにかく・・・今は情報を多くでも引き出そう・・・それしか・・・出来ない・・・』

『・・・はい・・・』

「・・・何を見ておられるのか・・・?」

不審そうに星が見てくる。

俺達は慌てて通信を切る。

「いや、何でもない」

「ええ、何でもありません」

俺達は何とか驚きを取り繕い情報収集を開始するため自己紹介をする。

「俺の名は北郷 一刀」

「私の名は北郷 愛紗です」

そう、俺たち結婚しているのだ。だから氏名の氏の方は同じだ。

「わが名は趙雲、字は子龍だよろしく頼む。ところで、お二人はご兄弟か?」

「一刀様とは夫婦だ」

愛紗が俺の腕にしがみつき高らかに宣言する。

牽制する必要があるのか愛紗よ? 何もそこまでせんでも。

「ほー、夫婦か・・・」

その時、趙雲の後ろから声がした。

「星殿~~!!」

「星さ~~ん!!」

「ん、おお! 稟、風! すまん、忘れていた」

「さり気に酷いですね……」

「まったくです……」

メガネの少女はメガネを直しながらため息を吐きながら呟く。

頭に変な置物載せてる少女は棒についた飴なめながらすねている。

なんだかんだで自己紹介することにした。

まずメガネの少女が名乗る。

「私の名前は郭嘉です」

置物の少女も名乗る。

「風はですね~、程立といいます。よろしくです。お兄さん、お姉さん。んでこっちが宝譿です。ほら、宝譿、挨拶」

「おうおう兄ちゃん、姉ちゃんオイラは宝譿てんだ! よろしくな!」

郭嘉に程立か・・・『前回』はいなかったな

「すまないが……質問、いいか」

俺は何とか質問をしていく。

「今は後漢で間違いないか?」

「ええ、間違い無いが……」

次に俺はココがどの辺かを聞くことにした。

「ここはどこら辺だ?」

「幽州の均衡、約3里といったところか・・・」

「ふむ・・・」

俺は再び愛紗に通信を行う。

『どうやら俺たち……別の『外史』に来たみたいだ……』

『そのようですね……貂蝉の言った数多くある『外史』の一つでしょう……』

『何故こうなったのかは解らんが……とにかく同行させてもらうか……“趙雲”達に』

『そうですね……』

俺は通信を切り、趙雲に提案する。

「すまないが趙雲、提案なんだが、町か村へ行くまで一緒に動向させてもらえないだろうか」

「私はかまわぬが……二人ともよいか?」

趙雲は郭嘉、程立に質問する。

「私は構いません、風は?」

「風も構わないですよ」

と答える。

「決まりかな? じゃあ、行こうか」

「そうですな、北郷殿、北郷婦人それでは行きましょうか」

「ああ」
「はい」


俺達5人は幽州へ向けて歩き出す。







[19314] 【習作】新たなる外史への道 2
Name: テンペスト◆fb11b208 ID:f4dd966b
Date: 2010/06/05 21:24



幽州の道すがら俺は趙雲から管輅の占いについて聞いた。
その占いの内容は……

『白き衣を纏いて天の御使い、伴侶と共に舞い降り、大いなる黒き災いを祓わん』

と言うものだった。

俺達は趙雲達の質問をノラリクラリとかわし、幽州に到着したが……



そこには廃墟が広がっていた。

燃え残った柱に手を触れてみる。

まだ熱がある。襲われて、1時間といったところか……

趙雲が苦々しげに口を開く。
「盗賊に襲われたか……」

愛紗もまた悔しそうに呟く。
「酷い有様だ……」

「生き残った者たちを探そう」

俺の提案に4人は頷く。

俺達は3つに別れ捜索を開始する。
斑決めで揉めた、と言うより愛紗がぐずったが、
趙雲は郭嘉と、愛紗は程立と、俺は一人で捜索を開始した。

暫く捜索していたら愛紗から通信が入る。

『一刀様、生存者が見つかりました』

『本当か!?』

『はい、今、一刀様の地点から南に300メートルのところにある酒場に集まっています』

『解った。すぐ行く』

俺は南に走る

酒場に到着すると、そこには愛紗たちとこの世の終わりのような顔をした住民たちがいた。

「愛紗、状況は」

「生存者が約1500名、怪我人は600人ほどです」

「解った」

「あんた達は?」

住人が俺を見てそう聞いてくる。

「俺達は旅の者だ。一体何があった」

「盗賊に村を襲撃された」

住人は項垂れて答えた。

「ここを守っていた官軍の兵は?」

「真っ先に逃げ出したよ!! 領主のヤツは自分の財産もって真っ先に逃げ出したよクソ!!」

喚き散らしながら村人は答えた。

「またあいつ等ここを襲うんだとよ! もう何にも無いのによ……」

同じだ、あの時と……仕方ない、助けるか……この人たちを見捨てることも出来ない。
それにどこの小さな村や集落行ったところで同じだろう。
大きいところは襲わないくせに、小さいところは襲う。
下種のやり方だ。

「あんた達はそれで良いのか?」

俺がそう問いかけると、男たちはいきり立つ。

「良いわけあるか!! 俺は嫁さんを奴等に奪われたんだ!!」

「俺は妻と娘を、財産を奪われたんだ!!」

「なら、なぜ、戦わなかった?」

「戦ったさ!! でも奴等、数に物を言わせて襲ってきやがった……」

「もう……お仕舞いだ……」

俺は昔、師匠が言ったことを思い出していた。

『どんな時にも諦めるな、諦めは、絶望へ、絶望は死へ繋がる』
『誰の為でもない、お前の意思で、お前の信念で戦え。誰の為でもないお前の戦いをしろ』
『自分の信念を最後まで信じられた者が戦場では最後まで生き残る』

俺はこいつ等を助ける。そう決めた! 今ここで俺の信じる信念の為に!
俺は愛紗に通信を送る。
『愛紗、彼らを助けるぞ!』

『はい! 一刀様!』

愛紗も助けることに賛成した。

「俺たち2人がお前達に戦い方を教える! だから俺たちと共に戦って欲しい」

「あんた達が……たかが二人加わっただけで……」

「悪いがただの二人じゃない、もし、あなた達がまだ生き足掻く覚悟が、戦いに身を投じ
る覚悟が、命を掛けて奪われたものを取り戻す覚悟が、信念があるなら……
俺達の武と知識をあなた達に分け与えよう! どうせ、殺され奪われるんだ!
なら戦い活路を俺たちと見出そう!」

愛紗は力強い声で付け加える。

「村人たちよ!! このお方を何方と心得る!! 恐れ多くも天の御使い! 北郷 一刀様なるぞ!!」

村人は口々に呟く。

「あの占いにある、白き衣身に纏いて、天の御使い、伴侶を連れて舞い降りる……」

「あの占いは本当だったのか!?」

「天の御使い様……」

ナイス!! 愛紗!!

「皆……俺に力を貸して欲しい!! 必ずや!! 諸君らに勝利を与えよう!!」

「俺達、戦えるかもしれない……」
「ああ! 何たって天の御使い様がついてるんだから!」
「俺はやるぞ! どうせ奴等に殺されるんだ! 俺は戦うぞ!」

「皆!! やるぞ!!」

「オウ!!」

村人達は次々に参戦の意思を示した。

自分でも詐欺くさいが仕方ない……彼らを助けるために彼らの力が必要だ。
悪いことしたな……

「すまない、趙雲、郭嘉、程立……俺達は彼らを助ける。すまないがここでお別れだ」

俺は趙雲達に別れの言葉を述べる。愛紗もそれに習う。

「ありがとう、趙雲殿、郭嘉殿、程立殿、短い間だが楽しかった。また会おう」

その時、趙雲が口を挟む。
「北郷殿」

突然、趙雲が呼びかけてきた。

「なんだい、趙雲?」

「貴殿は何の為に戦われるのか? 貴殿らにとってこの村の者達は無関係、何故、彼
等の為に戦われる」

まっすぐな瞳が俺を見つめる。

「俺は、俺の、俺達の正しいと信じた事を成して戦っている」

「その信念とは?」

「この世界に俺達なりに出来る平和への道を切り開く。力無き者達の剣になる。弱き者達
の盾となる。誰のためでもない、俺達の意思で、信念で、この世界に忠を尽くす。それが
俺達の信念だ」
愛紗も俺の言葉に強く頷く。

「それに・・・」

「それに?」

俺は思い出していた……あの時の……師匠に拾われ初めて戦いに参加したときの事を……

自分の弱さで多くの者を死なせたことを……あのテロを……俺のトラウマを……

……メタルギアを……

そして……“ヤツ”の言葉を……

『お前は俺と同じだよ!! 戦う事でしか自分を表現できない哀れな男だ!! 貴様も俺と同じ殺戮者だ!!』

「このまま、目と耳を閉ざし逃げることは出来ない! したくない! だから向き合う。
この世界に、俺の、俺達の出した答えが嘘にならないように!」

「……解りました。この趙子竜、貴殿方と共に戦いましょう」

俺達は驚いた、勿論郭嘉、程立もだ。

「な!? 正気ですか!? 星!?」

郭嘉は非難の抗議を口にする。

「無論、正気だ」

俺は趙雲にその意を確かめる。

「……いいんだな? 戦うからには当てにさせてもらうぞ?」

趙雲は自信満々に答える。

「フ……無論だ」

「解った、歓迎するよ」

愛紗も趙雲の参戦に嬉しそうに歓迎する。

「私もだ、頼む。趙雲殿」

「ああ、任せろ!」

「稟ちゃん……風も参加します」

「風!? あなたまで!!」

突如、程立も参戦の意向を表す。

「風は見てみたくなったのですよ。お兄さんたちがどうなるのか」

「……はぁ……仕方ないですね……私も参戦します」

郭嘉も溜息を吐きながら参戦を表明した。

「……いいのか……」

「いいも何も、友人を見捨てて私だけ行くなどとそんな薄情な人間じゃありませんよ私は」

「すまない」

こうして俺達は村人と共に盗賊退治を行うための作戦会議を行う。


俺は自軍戦力と敵戦力を比較する。
「こっちの兵数は約900人、対する盗賊は約1500といったところか……」

愛紗は悲痛な顔で呟く。
「此方は怪我人を含めた総数ですから……いくら相手が獣以下の烏合の衆とは言え
此方も寄せ集めの素人……武器は官軍が逃げるときにおいて行った武器があるのが救
いか……」

趙雲は疑問を口にする。
「盗賊たちはどのような経路を使うのだ?」

郭嘉は地図を見ながら指差していく。
「進行先は本拠地のある北側の森と森に挟まれたこの道を使うでしょう」

俺は森に注目する。
「森に伏兵を置けないか? 敵が囮部隊に突っ込んできたら伏兵で敵の後ろを突くと言う
のはどうだろうか? 兵力分散はしてしまうが、敵は此方を舐めきっている勝機はいくら
でもある。村人の話ではこの道を通って盗賊が進行している。此方に着くのは明日、完全
に舐めてくれている。二つの森に伏兵を配置できないだろうか?」

俺の意見に郭嘉は考え込む。
「いけるかもしれませんね……風、貴女の意見も聞かせて」

全員程立に顔を向ける。
「Z~Z~Z~・・・」

「起きなさい!!」

郭嘉は程立を起こそうとする。

「「「……」」」

俺と愛紗と趙雲は沈黙する。

「おお!! つい、都合の悪いことに目を背けようとしていたらついウトウトと……」

なんだそりゃ!?

「えっとですね~お兄さんの提案で行くなら開けたとこまで敵を誘導したほうが良いんじ
ゃないかと……乱戦が出来るほど器用なこと出来ませんから私たちの兵は……それと
後ろから伏兵で襲う時は囮部隊を鶴翼の陣にして敵を包み込む方が良いのでは……」

詳細を詰めていく俺たち。


そして、翌日

俺達の運命を決める日が来た。

俺は住人達に大音声で詠う。

「皆!! 生きて栄光を掴むか、死して全てを失うかの選択の時が来た!!

だが!! あえて言おう!! 相手は獣以下の烏合の衆!! 我等が恐れる要素は何も無い!!

思い出して欲しい!! 家族を!! 愛する者を!! 友を!! 財産を!! 誇りを奪われたあの悲しみを!!

その悲しみを怒りに変える時がきた!! 獣どもにその怒りをぶつける!!

やるぞ!! 皆!!

そして、勝利を俺達の手で掴もう!!」

辺りから雄叫びが聞こえる。

「愛紗!!」

「はい!!」

「別働隊を率い、森に隠れろ! 俺も反対側の森に隠れ、共に敵背後を強襲する!」

「はい!!」

「趙雲!!」

「オウ!!」

「囮部隊の指揮を任せる!! 俺達が敵後方を強襲するまで持ち応えてくれ!!」

「心得た!!」

「郭嘉、程立!!」

「はい!」 
「は~い」

「君達は、趙雲の補佐だ! 戦術の指示と状況を見極め銅鑼を打つ時機は君達に任せる!!」

「はい!!」
「は~い」

「よし! 行くぞ!!」

『オウ!!』


「よし!! 出陣する!!」

愛紗は全員に命令を下す。

「全軍!! 配置に着け!!」

『オウ!!』



森の中、俺の囮部隊、約300人は配置についた。
俺は白鷹のグリップを握りなおし、スライドを引き初弾をチェンバーにカートリッジを装填する。45ACP弾の命が白鷹に吹き込まれる。左逆手で白牙を引き抜く、準備万端、
後は作戦開始を待つ。


頼むぞ……“星”……


≪趙雲サイド≫
砂埃を上げながら下品な獣共が押し寄せてきた。
なるほど・・・北郷殿の言うとおり、こちらを舐めて同じ所からわいて来た。
「弓隊、まだです!! もっと引き付けて!!」

横では稟が、支持を出す。

「今です!!」

「放て!!」

稟の合図に私は弓兵に命令を下す。
矢は放物線を描き獣へと突き刺さる。

「今だ!! 敵は怯んだ!! 突撃!!!!」

雄叫びと共に怯んだ敵に雪崩れ込む村人たち。
盗賊共は、まさか反撃があるとは思ってなかったみたいだ。
浅はかな連中だ。
私は何時も通り我が名を高らかに賊共に名乗る。

「恐れるものは背を向けろ!! 恐れぬものはかかって来い!! 

我が名は常山の昇り竜、趙子龍!! 

美麗を汚す下種共よ!! その償い、貴様らの命で払ってもらう!!」

私は獣共に飛び込み槍を振るう。
「はい! はい! はい! はい!」
私の槍により賊共は心臓や腹、顔を突かれ絶命していく。

北郷……一刀殿に、北郷……愛紗殿か……面白い御仁達だ。


≪郭嘉サイド≫
星達が戦闘を開始した。

「風!! 1度目の合図を!!」

「了解です~」

こんな時にも貴女は……なんてのんびりな……
銅鑼が鳴らされる。
星達が後退した様に見せかけて鶴翼の陣を取り下がる。
敵もそれに釣られて星達を追ってくる。
なるほど……知能は獣以下か……
こんな見え見えの手に引っかかるとは……
この戦い何とかなりそうです……

北郷殿に北郷夫人か……



≪愛紗サイド≫
私は愛刀の柄を握り、目を瞑り、時を待つ。
1度目の銅鑼が鳴り響く。
第1段階はクリアーした。
後は第二段階のみ。

さあ、ともに戦おう。あの時のように……“星”……



≪程立サイド≫
まさかこうもお兄さんの考えた作戦がこうも旨くいくとは~
これは予想外ですね~
まあ……相手は群れることしか脳の無い獣さんですから旨くいった。と言ったとこでしょうか~
そろそろ、頃合ですね~

「銅鑼を鳴らしてください~」

「ハ!!」

私は村人さんにそう命じました。

それにしても……
北郷 一刀さんに北郷 愛紗さんですか……
ふふ・・・面白くなりそうです。




二度目の銅鑼が鳴り響く。

『愛紗!!』

『はい!!』

体内通信で愛紗に呼びかける。

こういう時に便利だな体内通信は……

「合図だ!! 突撃!!!!」

俺は村人達に突撃を命じる。

雄叫びと共に突撃する村人達、愛紗の部隊と合流し、敵後方を突いた。

盗賊共は背後を突かれ大混乱に陥る。

俺は白鷹と逆手に持った白牙を同時に握り、目の前の敵に45ACPを打ち込む。

敵は反応できず、頭を撃ち抜かれ息絶えた。
辺りは銃声で騒然となる。敵味方関係なく此方を見ていた。

俺は止まる事無く敵を撃ち、またある時はCQCを相手に掛け、敵が動けなくなった所ですかさず白鷹を打ち込んでいく。
ある時は、相手側面に回りこみ相手の方と足を同時に払い受身を取らせないように倒し、
またある時は、白牙で切り裂いて行く。

愛紗の方に目を向けると青龍の刀身を高周波振動させ敵を切り裂いていく所だった。
そのスピードは正に超神速の域だ。

ある者は槍ごと切り伏せられ、ある者は鎧ごと切り倒される。

最早、防御不可能な刃の暴風と化している。



≪趙雲サイド≫
すごい、あの御仁達の武は正に最強の領域だ。今まで強きものを求め戦い続けてきたが、
あれほどの者はそういない。
北郷殿は美しさや華は無いが確実で力強さを感じさせた。あの銀色の塊から炎と共にとても速い、目でやっと追いきれるほどの速度の礫の様な物が吐き出され敵の額や心臓付近に突き刺さる。アレなら私でも何とか除けられるし、弾き返すことが出来る。それだけでなく何か不可思議な武術のようなものを使っていたその動きは計算され尽くした動きだ。それは途方も無い技術の固まりで出来ていた。芸術とさえ感じられるほどに。

愛紗殿は正に刃の暴風。その一太刀一太刀に必殺の一撃であるにも関わらず、その太刀筋は変幻自在。北郷殿とは違い正に美しさを持った芸術を感じさせた。
機能美と鑑賞美といったところか。


「私もウカウカしてはいられないな……」


私は人知れずそう呟いた。




「糞!! ふざけやがって!! テメエ! 何者んだ!?」

「俺は、お前達を狩る者だ・・・」

俺はそう答える。

「ふざけるな!! 俺をこの盗賊団の頭と知っての狼藉か!?」

コイツが頭か……ならコイツを倒して終わらすか……

「一つ断っておく……」

「何!?」

「お前では、俺を、殺せない」

俺は両手を広げ、頭を挑発する。

「ツッ!? 死ね!!!!!!!!!」

頭は大斧を振りかざし突っ込んでくる。が……

俺は白鷹を構え、引き金を引く。敵は額に11.43mmの穴を開け、崩れ落ちるように倒れ息絶えた。

「敵大将!! 天の御使い、北郷が討ち取ったり!!」

俺はすぐさま敵を討ち取ったことを高らかに宣言する。

それから敵は降伏、或いはバラバラに逃げていった。



俺達は勝鬨を上げ村に凱旋する。

多くのものは喜びの声を上げたが中には帰らぬ故人を偲び袖を涙で濡らす人もいた。

それを見ながら俺は新たに彼らに誓う。

忘れない・・・この人たちの喜びも悲しみも彼らの生も死も俺がしたことなんだ。
忘れないことが、そして背負い続けることが、散り逝った彼らに対する礼儀だ。

俺は愛紗に向き直る。

「一刀様・・・」

「解ってる・・・感傷に浸っても彼らは帰ってこない。だから俺は彼らの散り様を胸に焼
き付けていただけだ……」

「……そうですか……」

俺達が歩き出そうとしたとき趙雲が語りかけてきた。

「北郷殿、愛紗殿、私達はそろそろ御暇することに致します」

俺達はやはりと言う感想を抱いた。

彼女、趙雲は雲なのだ……誰にも掴む事は出来ない……

「そうか……寂しくなるな……」

愛紗は寂しそうに言う。

その胸の内はやはり寂しさだろう。

「それでは……」

「北郷殿、北郷夫人、ご縁があればまた」

「北郷殿、北郷夫人、それでは……」

「お兄さん、お姉さん、何れまた~」

3人は夫々別れの言葉を述べながら旅立った。



村人達のお願いで幽州の代表になった。

さて・・・どうなるか解らんが、差し当たり問題は村の復興か・・・



2人と3人の道は分かたれた……

果たして彼等の道は交わる事があるのだろうか……






[19314] 【習作】新たなる外史への道 2.5
Name: テンペスト◆fb11b208 ID:f4dd966b
Date: 2010/06/05 21:25



幽州を統治してから1ヶ月目の夜、俺は眠れず部屋に置き忘れた煙草を取りに、自分の執務室に向かった。


(ん、人の気配……今は深夜、人などましてや俺の執務室に人などいないはず……)


俺は慎重に部屋のノブに手をかけ、開けてみる。


誰もいない……確かに人の気配がしたはず。

俺は執務室の明かりをつけ、辺りを確認するが誰もいない。

ふと、執務机の上に紙が置いてあった。

おかしい……確かに俺は書類を片付けたはず。


机の紙を持ってみるとその紙は封筒だった。

俺は裏を見たとき驚きを隠せなかった。

裏には英語で『Kazuto Hongou 』と書かれていた。

しかもコイツはこの筆跡は!!

俺は慌てて封筒を開け手紙を取り出す。

内容も英文で書かれていた。
『二人だけで話がしたい、明日、20時に、近くの森で待つ


                       ソリッド・スネーク』


「そんな……馬鹿な!?」

俺の動揺は凄まじいものだった。

だってそうだろ、死んだはずの師匠からの手紙。

しかも、次元を越えて遥々、幽州の俺の執務室に届いたんだ。

しかも、英文で師匠の直筆……

ありえない……が……ありえない事が立て続けにおこっては信じてしまいそうになる。

真意を確かめてみるか……


翌日・・・

俺は、一通り執務を終わらせ、自分の部屋に戻り、自分のトランクからスニーキングスーツを取り出し、着替える。

CQCナイフを後腰のナイフの鞘に入れ、白鷹を右レッグホルスターに収め、マガジンをポーチに収める。

ホワイトコートを着込み、誰にも気づかれないように外へ出る。

体内通信は勿論カットした。

暫く歩いていると、森の入り口に差し掛かる。

俺は白鷹と白牙を引き抜き、同時に構え全集警戒をしながら森へと入っていく。

小川の辺に差し掛かった時、視界に蘭の花畑が広がっていた。

全集警戒を怠らず開けた中央まで進む。

「会いたかったぞ……一刃……」

突如、聞き覚えのある、力強い老人の声が月夜の静寂を切り裂いた。

その声は静かでありながら、とてつもない力を秘めていた。

「そんな・・・貴方はあの時死んだはず!? どうしてだ!? 師匠!?」

俺はまさか? と言う感情と、やはり! と言う感情がない混ぜになっていた。

「ある仙道に無理やり生かされた。いや・・・ここにいるのは魂の自由を奪われた。人形だ」

「人形?」

「そう、そして……お前を殺す目的で作り出された人形だ」

そういい師匠は『パトリオット』を片手で構え、CQCナイフを左手に持ち構える。

(なんて闘気だ!! 本当に紛い物かよ!?)

「お前に技術を教えた、知識を教えた、戦うすべを、俺の過去さえも……俺はお前を息
子と思いその持てる技術と知識をお前に授けた。後は俺の命を、お前が奪え、自分の手で……どちらかが死に、どちらかが生きる。生き残ったものが後を継ぐ、俺達はそういう宿
命……伝説を継いだものは新たな戦いへと、終わり無き戦いへ漕ぎ出して行くのだ」


「さあ……行くぞ!!」


俺達の戦闘は始まった。

師匠はパトリオットを片手で乱射し、5.56mmの弾幕の壁を作り上げる。

「クッ!?」

俺は全力で横っ飛びしながらかわし、白鷹を乱射するが、此方も綺麗にかわされ、パトリオットのお返しを大量にもらう。
俺は5.56mmで体を傷だらけにしながら何とか除ける。

「その程度か? 一刀!!」

そう言い、一気に俺の視界から消える。

(嘘だろ!?)

俺は辺りを見回したが、それが隙になった。

師匠は俺の右側面から接近し、俺の右脇に腕を通し右肩を押し、右足を同時に払った。

俺は受身も取れないまま勢いよく背中から地面に叩きつけられた。

「がは!?」

肺の中の酸素が一気に吐き出される。
俺は一瞬意識を飛ばされながらも立ち上がり、パトリオットの銃口から逃れる。
逃れた直後、多数の5.56mmの弾丸が俺の寝ていたところに吐き出される。

「糞!! 手加減なしかよ!?」

俺は師匠の左側面に移動し、左の手の甲を外側に捻り上げようとするが、パトリオットのグリップ底部で後頭部を叩かれ、鳩尾に膝蹴りをもらい、襟を前側に力の限り引っ張られ、同時に左足を払われ、うつ伏せに倒される。

「グフ!?」

俺は悪あがきとばかりに、足払いをするが、顔面に蹴りをもらい転げるように吹っ飛ばされる。

「グファ!?」

師匠は突如こう言った。
「諦めたほうがいい……」
俺は師匠の言葉に鼻血を垂らしながら答えた。
「悪いが……アンタから諦めるということは教わってない!」

とは言うものの全然勝てる気がしないのもまた事実……

ふと、師匠の言葉を思い出す。
『一刀、まず、CQCの基本を思い出せ』
『相手をよく見ることだ、相手の動き、呼吸、目線をよく見ろ』
『焦るな、焦りは失敗を招く』
『決して諦めるな、諦めは死を招く』

俺は鼻血をぬぐい、逆手に持った白牙を前に突き出し、白鷹を腰付近にやる。

俺は師匠に一気に正面に近づき、白牙を師匠の左首目掛けて振るう。

勿論師匠はよける。

俺はその体制から師匠の襟を掴み、左脇から右手を通し、二の腕で師匠の左腕を持ち上げ、左膝を鳩尾に叩き込む。
「ぐっ!?」
師匠が苦しげな声を上げ、くの字になる。
俺はそれを逃す事無く、俺の方に襟を引っ張ると同時に、左足を払った。

師匠はうつ伏せの状態で地面に叩きつけられる。
「ガッ!!??」
俺はすぐさま白鷹を構えて発砲、師匠はそれをとこに回転しながらかわすが、脇腹に弾がヒットする。
「クッ!!」
掠り傷だがあの師匠に弾丸を当てることが出来た。

俺は浮かれる事無く師匠に接近、左拳を突き出す。
それを師匠はかわし、俺の左手を両手で外側へ捻る。が、
俺は師匠の左間接に右手を通し、外す。
怯んだ隙に、左手首を回し、師匠の拘束から逃れる。
隙が出来た師匠に俺は左手を左肩に伸ばし、左肩を掴む。
右手で師匠の右腕を掴み、後ろへ倒すと同時に足払いを行う。
師匠は受身を取れず。地に叩きつけられた。
「ぐわああ!!」
俺は師匠に白鷹を数発打ち込む。
狙いを付けない射撃、だが、師匠の腹に2発、右胸に1発当たる。
「グフ!?」

師匠はすぐさま立ち上がり、パトリオットを乱射するが、先ほどのような命中精度は無い。

「……強くなった……」

師匠の言葉はどこか嬉しそうだった。

お互いもう余力は殆ど残ってない……コイツで最後だ……

俺はパトリオットの弾幕を回避しつつ、師匠に近づき白鷹の引き金を引こうとするが、師匠に白鷹のスライドを後に引っ張られ作動しない、スライドストップを外され、マガジンキャッチボタンを押されマガジンが地に落ちる。
そして、師匠はスライドを前側に引っ張る。
スライドは本体から離れ、グリップだけになる。
俺はすぐさま、白鷹を捨て、白牙を振るが師匠に白牙を奪われ、投げ捨てられる。

その時、師匠に大きな隙が出来る。
白牙を弾いた手を掴み捻り上げ、右腕で師匠の首を上へ締め上げ、足払いと同時に後へ倒す。
物凄い音と共に地面が砕け、人間位の大きさのクレーターが出来た。

「ッッッッッ!!」

師匠は痛みで声が出ないらしい……

心身ボロボロだ、『氣』を使う暇すら与えてくれなかった……

俺は師匠に近づく……

「……ようやく……ようやく開放される……傀儡で無くなる……

……これを離すな」

「愛国者……何故これを……」

「俺は……仙道の手により傀儡になった……だが……! 俺は俺の意思で戦いたか
った……お前と戦い、お前に殺され、開放されたかった……
ありがとう……一刀……俺を解き放ってくれて……
俺は……ようやく無にかえることが出来る……
全てには始まりがある……始まりは1ではない……世界は0から生まれる……
そうだ・・・俺を消してもゼロは消えない……
この世界にお前と愛紗ともう一人……そう、お前の嘗ての親友……この世界にこの3
人を呼んだもの……≪ゼロ≫を殺さない限りは……」

「≪ヤツ≫も≪テン≫もこの世界に来ているのか!?」

「ああ……ずいぶんお前に固執していた……
いいか、ゼロを倒せ! それが俺がお前に与える最後の任務だ!!」

「最後に、質問したい、≪ゼロ≫とは何者で何処にいるんだ?」

「≪ゼロ≫はいずれお前達の前に立ちはだかる……存在しない存在……
全ての始まりにして……全ての終わり……外史を否定する強硬派のリーダーだ……」

左慈達のリーダーか……

「左慈達も出てくるのか?」

「あいつ等は消えた……お前達の勝利によって……

……言うべきことは言った、さあ……俺を殺せ……」

俺はパトリオットを構える。

師匠は微笑みながらこう言った。

「ありがとう……一刀……」

銃声が辺りに響いた。
そして、師匠はこの世界から光になって消えた……




某所……
「どうやら、失敗したみたいだな……」

金髪に青い目と黒いコートを着た男が語りかけてきた。

「……」

沈黙する白い法衣を着た男。

「まあ、当然か……消え逝く魂を無理やり定着させればそうなる……
伝説の男とはいえ、所詮、紛い物、紛い物ではあの男は殺せんよ」

白い法衣を着た男が不意に口を開く。

「では、お前は奴を殺せるかな?」

黒いコートを着た男は顔に獰猛な笑みを湛えながら言う。

「俺しか出来ない、他の奴では死体の山を築くだけだ」

「そうか……期待しているぞ、≪テン≫」

「フン、まかせろ……≪ゼロ≫」





俺は、フラフラになりながら森を抜ける。
右手にはパトリオット、左手には師匠のCQCナイフが握られていた。

ふと顔を上げると、愛紗がいた……

「お疲れ様でした……一刀様……」

「ああ……今日は……疲れた……」

愛紗は泣きそうな顔をしながら言う。

「もう朝日が昇っています……
それと、一刀様……もうこんな無茶はしないでください……」

「ああ……出来る限り気を付ける……」

そういい、俺は愛紗の胸に顔を埋めた。

「……お休みなさい、一刀様……」






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