2010年4月13日 11時46分 更新:4月13日 12時42分
【ワシントン草野和彦、野口武則】オバマ米大統領が主宰し、世界47カ国と3国際機関が核テロ防止と核物質管理について話し合う核安全保障サミットが12日夕(日本時間13日朝)、2日間の日程で開幕した。大統領はサミットを通じ「世界をより安全にする各国の具体的な行動」に期待を表明した。鳩山由紀夫首相は夕食会で、核テロ防止の拠点作りや不正取引された核物質の検知・認識技術の確立などの取り組みを表明した。また、ウクライナが同日、国内に備蓄するすべての高濃縮ウランを12年までに海外搬出する方針を表明した。
サミットは、大統領が唱える「4年以内の核物質の国際管理」への協力を取り付けるのが狙い。背景に「国際テロ組織アルカイダが核兵器入手を狙っている」(オバマ大統領)との危機感がある。
サミットでは、核兵器に使われる高濃縮ウランと分離プルトニウムを対象に、テロ組織による入手を防ぐための取り組みを確約する政治声明と、それを具体化した作業計画の採択を目指す。
ホワイトハウスによると、ウクライナの高濃縮ウランの備蓄量は約90キロで、核兵器数発分に相当。搬出先は米国かロシアが検討されている。またカナダも高濃縮ウランを製造元である米国に移送することを発表した。
鳩山首相が表明した取り組みは、日本原子力研究開発機構(茨城県東海村)に「アジア核不拡散・核セキュリティー総合支援センター(仮称)」を今年中に設置、人材育成を図り、核テロ防止の拠点を作ることが柱。日米が協力し、不正取引された核物質を検知、認識する技術を3年後をめどに確立することや、国際原子力機関(IAEA)と協力し、核セキュリティー事業に計610万ドル(約5億7000万円)の支援をしていく方針も明らかにした。
同支援センターには、各国から研究員や技術者を受け入れる。非核保有国ながら核の平和利用面での日本の高い技術力を生かし、核物質や原子力施設の保全・防護に貢献できる人材を育てる。「核兵器のない世界」を唱えるオバマ米大統領と歩調を合わせ、日米で支援したい考えだ。
また、鳩山首相は世界核セキュリティー協会(WINS)の国際会議を今年中に日本で開催する意向を表明。「わが国は唯一の被爆国であるとともに、資源小国として発電の約3割を原子力でまかなっている」と説明し、「核軍縮、核不拡散、原子力の平和利用のいずれも重要で、積極的役割を果たす」と述べた。
13日は各国の取り組みの他、核物質防護の国際的な協力などを議論する。