マサチューセッツ工科大学のMBA(MIT Sloan)留学中の2年生。
技術経営、イノベーション論、組織論を学ぶ。
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出版社が早急に実現すべき電子教科書とは
2010年06月05日23時26分 / 提供:My Life in MIT Sloan
ここでは、電子教科書のソフトの機能を強調したけど、そもそもどの文章を教材に使うか、どのような例文で文法を学ばせるか、というようなところはコンテンツ作成者の能力が問われるところだ。普通の人が作るよりも、教科書を作るノウハウがある会社が作る方が、圧倒的に良いものが出来るはずだ。
<数学編>数学も、ベクトルとか、複素数とか、抽象的なイメージがわかなくて分からなかった、という人は多いんじゃないか?こういう概念も、演算を図ですぐに示してくれるようなアプリがあれば、すぐに図形的なイメージがわかって理解しやすい。
で、実際そういうアプリは既に世の中に存在するのだが、(例:http://vf.appget.com/vf/menu/lib/ap/apview/020243.html)結局さっきの話と同じで、全ての人がすぐにネットに接続してゲットできる、というものではない。だから、教科書会社がこういう機能を「標準の」教科書にして配布する、というのに意味があるのだ。
ついでに日本の数学のレベルはOECD諸国でもまだ上の方なので、この教科書のコンテンツを数ヶ国語で販売すれば、他の国の参考書として売れるかもしれない。電子教科書の素晴らしいのは、そういうことも低投資で出来るってことだ。
<地理編>Google Mapは当然利用。教科書会社が教科書にまとめてる各地域の情報の方が、役に立つので、Google Mapの上にそれをちりばめた物を教材として使う。昨日紹介したGapMinderみたいなものも、統計資料集として当然活用できる。
この手の「資料集」を教科書にする場合、一番大事なのは「どの順番で、どういう優先順位で教えるか」ということだ。この辺りを、教師の情報リテラシーに任せるのではなく、ちゃんと教師がこれらのツールを生徒に教えられるよう、指導要領をちゃんと作るのも教科書会社の役目。電子教科書は、「素敵な資料集」化するものが増えるだろうから、これが一番の価値の源泉になるだろう。こういうのは、タダで手に入るネット上のアプリとかには存在しない。教科書会社が価値を発揮し、売ることが出来る部分だ。
<歴史編>教科書会社が一番強みを発揮するのはここかもしれない。あれほどのコンパクトさで、広範な内容をしっかり纏め上げているのは、Web上のタダのコンテンツとかには見つからない。
色々議論はあるかもだけど、教科書から参考になる図書へのリンクをすることも出来るだろう。学生限定で「電子図書館」から参考図書を借りることも可能。「図書館」だから、一度に借りてる本の冊数は決まってるわけ(笑)一人で何冊もダウンロードできないし、読み終わったらちゃんと返さないと次のが借りれない。
で、この教科書は当然学生じゃない大人も購入できるんだけど、その場合は参考図書は電子書籍販売サイトにつながっていて、そこで購入できる。電子教科書でアフィリエイト。教科書会社が新たにこんなところで稼ぐことも可能なのだ。
<物理・化学編>化学はさっきも書いた資料集的な位置づけだけでなく、実験なども、その場で動画につながっていて、すぐに見ることが出来る、というのが強みだと思う。更には、実験アプリみたいな感じで、クリックしたりすると、模擬実験が出来るとか。教科書会社は、実験を図示するんじゃなく、動画やアプリでそれを表現することだ。こういう動画やアプリで表現できることが、電子教科書の強みだと思う。
こんなふうにアイディアを出していったら、きりが無く次々と出てくるだろう。教科書の上からネット上の有用な情報にリンクを貼ったりして、活用できるようにすれば、「情弱」な人でも、情報を活用する方法を自然と学べるようになるはずだと思う。
以上、ポイントは・出版社は、コンテンツを作る作成ノウハウと作れる人のネットワークを持っているのが強み。・電子教科書でも、コンテンツを作る人の重要性は変わらない。この強みを更に伸ばすような機能を付けた電子教科書を早く作ることで、優良コンテンツを作る人を教科書に誘致できる・そして電子教科書は、その性質を活用したユーザビリティによって、情弱な先生も生徒も、ネット上の有用なコンテンツを次々と活用できるものに出来るはず。・更に、出版社は「全ての学校の生徒にリーチ出来る」という、デバイス各社垂涎の販路の強みを持っている。Appleなんかがその販路を獲得する前に活用出来るよう、早めに進出すべき。
ということ。だから、すぐにでも出版社は電子教科書を始めるべきだと思うんですよ。
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で、実際そういうアプリは既に世の中に存在するのだが、(例:http://vf.appget.com/vf/menu/lib/ap/apview/020243.html)結局さっきの話と同じで、全ての人がすぐにネットに接続してゲットできる、というものではない。だから、教科書会社がこういう機能を「標準の」教科書にして配布する、というのに意味があるのだ。
ついでに日本の数学のレベルはOECD諸国でもまだ上の方なので、この教科書のコンテンツを数ヶ国語で販売すれば、他の国の参考書として売れるかもしれない。電子教科書の素晴らしいのは、そういうことも低投資で出来るってことだ。
<地理編>Google Mapは当然利用。教科書会社が教科書にまとめてる各地域の情報の方が、役に立つので、Google Mapの上にそれをちりばめた物を教材として使う。昨日紹介したGapMinderみたいなものも、統計資料集として当然活用できる。
この手の「資料集」を教科書にする場合、一番大事なのは「どの順番で、どういう優先順位で教えるか」ということだ。この辺りを、教師の情報リテラシーに任せるのではなく、ちゃんと教師がこれらのツールを生徒に教えられるよう、指導要領をちゃんと作るのも教科書会社の役目。電子教科書は、「素敵な資料集」化するものが増えるだろうから、これが一番の価値の源泉になるだろう。こういうのは、タダで手に入るネット上のアプリとかには存在しない。教科書会社が価値を発揮し、売ることが出来る部分だ。
<歴史編>教科書会社が一番強みを発揮するのはここかもしれない。あれほどのコンパクトさで、広範な内容をしっかり纏め上げているのは、Web上のタダのコンテンツとかには見つからない。
色々議論はあるかもだけど、教科書から参考になる図書へのリンクをすることも出来るだろう。学生限定で「電子図書館」から参考図書を借りることも可能。「図書館」だから、一度に借りてる本の冊数は決まってるわけ(笑)一人で何冊もダウンロードできないし、読み終わったらちゃんと返さないと次のが借りれない。
で、この教科書は当然学生じゃない大人も購入できるんだけど、その場合は参考図書は電子書籍販売サイトにつながっていて、そこで購入できる。電子教科書でアフィリエイト。教科書会社が新たにこんなところで稼ぐことも可能なのだ。
<物理・化学編>化学はさっきも書いた資料集的な位置づけだけでなく、実験なども、その場で動画につながっていて、すぐに見ることが出来る、というのが強みだと思う。更には、実験アプリみたいな感じで、クリックしたりすると、模擬実験が出来るとか。教科書会社は、実験を図示するんじゃなく、動画やアプリでそれを表現することだ。こういう動画やアプリで表現できることが、電子教科書の強みだと思う。
こんなふうにアイディアを出していったら、きりが無く次々と出てくるだろう。教科書の上からネット上の有用な情報にリンクを貼ったりして、活用できるようにすれば、「情弱」な人でも、情報を活用する方法を自然と学べるようになるはずだと思う。
以上、ポイントは・出版社は、コンテンツを作る作成ノウハウと作れる人のネットワークを持っているのが強み。・電子教科書でも、コンテンツを作る人の重要性は変わらない。この強みを更に伸ばすような機能を付けた電子教科書を早く作ることで、優良コンテンツを作る人を教科書に誘致できる・そして電子教科書は、その性質を活用したユーザビリティによって、情弱な先生も生徒も、ネット上の有用なコンテンツを次々と活用できるものに出来るはず。・更に、出版社は「全ての学校の生徒にリーチ出来る」という、デバイス各社垂涎の販路の強みを持っている。Appleなんかがその販路を獲得する前に活用出来るよう、早めに進出すべき。
ということ。だから、すぐにでも出版社は電子教科書を始めるべきだと思うんですよ。
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