「採血がうまくできたときは快感」ナースアイドル・雨宮チエさん

【一芸アイドル最前線】

　白衣の天使でありながらグラビアクイーンを目指している「ナースアイドル」だ。病院などでお年寄りの訪問介護の仕事をしている。気さくに話しかけたりして笑顔を振りまく姿は、まさに天使そのもの。「医療ドラマに出たりして、いろんな役をこなせる女優にもなりたい」。夢を実現させようと、どんなつらいことでも乗り越えていく覚悟を決めている。（村上智博）

　 ［フォト］ウエストはくびれているだけではなく…

　幼稚園の卒園式のアルバムに、「かき氷屋さんとバレリーナになりたい」と、かわいらしい文字で将来の夢を書いた。

　小学校では母親と連れ立って、舞台やミュージカルの鑑賞を楽しんだのが思い出深い。ある日、夜のテレビドラマで温泉を舞台にした作品があった。「確かチェッカーズのメンバーが出ていて、一緒にお話がしたいと幼心に思ったのが、芸能界へのあこがれの始まりでした」と振り返る。

　女優の菅野美穂や深津絵里のような「ナチュラルで上品なお姉さんのようになれたら」と夢をふくらませたが、高校を卒業後は、迷わず看護系の専門学校に進み、２１歳で看護師の資格を取った。姉や外科医の兄の妻も看護師で、いとこにも看護師が多い医療系一家だった。

　「中学３年のころ、祖母が倒れたとき、看病に何度も通ったんです。そこで見た看護師さんの優しさに触れたことが忘れられなかった。自然と、私も看護師になるんだとは思っていました」

　当初は整形外科で働いていたが、あまりに多忙で時間に追われるのがストレスとなり、３カ月ほどで新天地を求めた。今は看護師の派遣登録を行い、東京都内の病院や診療所で、高齢者を相手に介護の仕事に励んでいる。

　患者さんと一緒に演歌や「ふるさと」といった童謡を口ずさみ、笑う。昔話にも付き合う。そうしたゆったりとした時間を過ごすことで、自分も心が癒やされるようになったという。

　今の職場で３年が過ぎた。「夜６時から翌朝８時まで夜勤があったり、下の世話をしたり。重いものを汗だくで抱えたり、体力的にはつらいこともあるけれど、いろんな出会いがあって、話もできるのがいい。周りと協力しながら仕事をやれるのが一番いいですね」と、満足した時間を送っている。

　ときには、企業の健康診断のスタッフとして注射を打つこともある。「採血がうまくできたときは快感で、よしっと思います」

　こうした看護師の仕事をこなす一方で、芸能界で羽ばたきたいとの夢はあきらめてはいなかった。

　上京後、今の芸能事務所にスカウトされると早速、現役の看護師であることが注目され、グラビア雑誌を飾るようになり、バラエティー番組にも盛り上げ役として出演。昨年はホラー映画「呪怨〜白い老女〜」で、南明奈の同級生役としてスクリーンデビューも果たした。

　ファン向けの水着撮影会イベントでは「ありがとう」の言葉を聞くたびに、「よし、もっと頑張らないと」とねじを巻き直す。中学から高校までテニス部で汗を流してきた体育会系。体力には自信がある。

　演技力を身に付けようと、２年前から日舞のレッスンにも通っている。テレビドラマをこまめにチェックし、鏡の前に立ち、せりふをまねてみたりする。自分磨きのための努力は惜しまない。趣味はぬか漬けを作ることと、ちょっぴり古風な一面も持つ。

　「医療ドラマや、『暴れん坊将軍』のような時代劇に出てみたい。医療物語であれば、リアルな現場の雰囲気を出せると思う。年を重ねてもどっしりと構えて演技ができる女優さんになりたいです」。瞳の奥には自信が垣間見えた。夢の実現は近いようだ。

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