早期出荷見直し示唆 副大臣「疑いなければ」

(2010年6月6日付)

 口蹄疫対策として搬出制限区域(発生農場から半径10〜20?圏内)の牛・豚をすべて早期出荷する国の方針について、政府現地対策チーム本部長の山田正彦農水副大臣は5日、記者会見で「新しい患畜(感染疑い)が出なければ、無理して行わなくてもよいかもしれない」と述べ、見直す可能性を示唆した。

 早期出荷は、発生農場から半径10?圏内でのワクチン接種と合わせ、国が打ち出した感染拡大防止策。搬出制限区域内の牛や豚をゼロにし、「緩衝地帯」を設ける方針。

 このため、5月31日から「ミヤチク」都農工場(都農町)を特例措置で再開し、出荷適期を迎えた牛から処理を行っているが、今月2日までで処理は90頭にとどまっている。5日の会見で山田副大臣は「ミヤチク都農工場がまだ本格稼働できておらず、早期出荷は思うように進んでいない」と厳しい見通しを示した。その上で、「これ以上、新しい患畜が出ないということであれば、早期出荷は無理してやらなくていいかもしれない。見極めが必要」として、ワクチンの有効性を確認できれば、「緩衝地帯」計画を見直す姿勢を明らかにした。

 県によると同区域内の牛や豚は約3万3千頭で、このうち食肉処理が可能なのは7700頭と試算。処理期間を3カ月間と見込んでいる。しかし、頭数の多さなどから処理に時間がかかるため、関係者からは対策の有効性に疑問の声も上がっている。

 一方、繁殖雌牛と母豚を対象から外す方針については「まだ判断が難しい」として、正式な決断は先になる見通しを示した。