種雄牛5頭「陰性」 処分回避へ最終検査

(2010年6月6日付)

 口蹄疫感染を防ぐため、県家畜改良事業団(高鍋町)から西都市に避難しているエース級の種雄牛5頭について、県は5日、一連の経過観察で最後となる遺伝子検査でも陰性を確認したと発表した。一緒に避難した「忠富士」の感染疑い確認から2週間を経過し、牛では一般的に7日前後とされる潜伏期間を無事に乗り切った。宮崎牛ブランドを担う「最後の砦(とりで)」が守られる見通しとなったことで、畜産農家には再建へ大きな励みとなりそうだ。

 ただ、県によると、遺伝子検査では現時点でウイルスを排出しているかの判断しかできないため、万全を期す意味で過去に感染していなかったか痕跡を調べる抗体検査も実施。4日に検査用血液を採取しており、結果は6日にも判明する。抗体検査の結果が判明した後の5頭の措置について、県と農林水産省が協議して決めるという。

 県内で人工授精用の精液ストロー供給量の9割を占めていたエース級の種雄牛6頭は先月14日、同事業団から約20?離れた西都市尾八重に避難。同日には同事業団の肥育牛に感染疑いが判明し、避難させなかった残る種雄牛49頭は殺処分対象となった。

 さらに、22日には忠富士の感染疑いが判明。避難施設で“同居”していた5頭の安全も厳しい情勢となり、殺処分対象になった49頭の救済論が持ち上がった。しかし、28日には49頭中1頭に感染の症状が確認され、49頭は31日に全頭殺処分。5頭が同事業団に残された最後の種雄牛となっていた。

 県は農水省と協議の上、この2週間、毎日5頭から検体を採取して動物衛生研究所海外病研究施設(東京)で遺伝子検査する経過観察を実施。当初は28日まで1週間の予定だったが、慎重を期すため、さらに1週間延長。今月4日に最後の検体を採取し、同施設に送付していた。

 県畜産課は「抗体検査の結果が出るまでは無事と断定はできない。児湯地域で多発している現状から、今後も完全に安全とは言い切れない。しかし、事業団から西都までの移動中や、発症した忠富士からの感染の可能性はかなり低くなった」としている。