【コラム】韓国社会に蔓延する「タレント病」(上)

 1983年に子供雑誌『新少年』がリニューアルを記念し、全国の小学生6595人を対象に「将来の夢」についてアンケート調査をした。1位は圧倒的な差で科学者(23.3%)で、2位以下は教師(14.1%)、裁判官(11.5%)、医師(11%)、芸術家(7.8%)などだった。「どんな生き方が幸せだと思うか」という質問には、過半数の63%が「やりがいを持って生きること」と答えた。彼らが大学に進学したころ、ソウル大学物理学科は、全国トップクラスの成績優秀者だけが行ける学科として脚光を浴びた。

 それから20年余り。子供向けポータルサイト「ダウム・キッズ・チャン」(kids.daum.net)がこのほど、小学生1万478人を対象に「将来の自分の職業」を問うアンケート調査をしたところ、41.6%に当たる4364人が歌手と答えた。タレントは892人(8.5%)。計50.1%が芸能人を選んだのだ。かつて、子供たちの人気職業ナンバーワンだった科学者と答えたのは110人で、19位だった。

 小学生だけではない。今、韓国の若者たちは「タレント病」に侵されている。昨年行われたSBSの「トップタレント選抜大会」には、14人の枠に4157人が応募した。男性は397倍、女性は222倍という競争率だ。日本のアイドルグループのメンバーとして活動するチャンスが与えられるオーディション「対・東京少女」にも一人の枠に3日間で韓国全土から約2500人が殺到した。年齢層も8歳から34歳までと幅広い。2PMやワンダーガールズが所属するJYPエンターテインメントの公開オーディションには約2万3000人が応募、競争率6000倍になった。また、複数の大学の芸能関連学科は、競争率が数百倍に達している。芸能プロダクションに所属するレッスン生約1000人は、学校の授業そっちのけで一日中ダンス・歌のレッスンと美容整形に夢中になっている。女子大生が将来なりたい職業の1位に挙げるアナウンサーも、競争率は1000倍を超えている。ここ数年、まるでタレントのような言動をする女子アナもいるが、それが人気を呼んでいる。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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