四日市市の医療事故の被害者の家族らでつくる「安全で安心な医療を願う会」の阪本則子代表は4日、同市内で記者会見し、医療事故を巡り、病院側が設置する調査委員会に第三者が出席できることを求め、署名活動を続けていることを明らかにした。
同会は市立四日市病院で阪本代表の父親が医療過誤で、重い障害を負ったのが契機だったという。同代表によると、当時、父親は糖尿病などで同病院に通院し、06年1月、低血糖症で倒れて救急車で運ばれる際、高血糖症と思い込んだ研修医の指示でインシュリンを投与され、こん睡状態に陥り、重い障害が残った。病院は過誤を認めて謝罪した。
しかし、阪本代表は他の病院の例を挙げ、医療事故の被害者と病院が一緒になって医療の安全に取り組みたいと、医療事故の防止などを目的に設置され、同病院が院内の関係者だけで構成する調査委「医療安全管理委員会」への参加を申し出た。しかし、病院側は「被害者の家族も市民も入れるつもりはない」と拒否したため、署名を集めている。
昨年9月からこれまでに約4400人の署名が集まり、同会は2万人を目標に署名を集め、市長と同病院長に提出するという。阪本代表は「市民の意見を取り入れた開かれた病院になってほしい」と話している。【加藤新市】
〔三重版〕
毎日新聞 2010年6月5日 地方版