6月11日に開幕するサッカーのワールドカップ(W杯)南アフリカ大会で、NHKと在京民放キー局が女性アナウンサーの派遣を見送ることが分かった。W杯や五輪など大イベントでは異例の対応だ。南アフリカの治安情勢が不安定なことが主な理由で、派遣するスタッフの規模も前回のドイツ大会より大幅に縮小させる。
4年前のドイツ大会では、テレビ東京が女性アナ2人を送ったほか、NHKの青山祐子アナウンサーやTBSのサッカー番組を担当していたタレントの白石美帆さんらが現地に飛んだ。
しかし、今回は南アフリカの治安が問題視されていることから、在京の全局が女性アナを派遣しないことに決めた。TBSは「治安が悪いと言われる場所に、わざわざ送り出すわけにはいかない」(広報)と話す。
外務省によると、南アフリカの治安は、2008年に日本の約14倍にあたる約1万5千件の殺人が起き、強姦(ごうかん)も日本の約23倍発生。同省は渡航者に対して、「夜間の外出は控え、車での移動を徹底するなど、安全対策をしっかりとってほしい」と注意を呼びかけている。
治安のほか、広告収入の減少による番組制作費の削減や、前回に比べて盛り上がりに欠ける点などを理由に、派遣スタッフも減らす。テレビ東京は前回の50人から8割減の10人程度に絞る。NHKは前回の93人から73人に、テレビ朝日やフジテレビ、TBSも20〜30人減らす。TBSとテレビ東京は派遣スタッフを男性に限定する。(岡田匠)