|
関西発 トップ | 暮らし 社会 | 住まい | 経済・科学 | スポーツ | 動画 | 人遊食 | 教育 子育て | 大学 | 文化 伝統 | 季節 自然 |
|
|
鯨食習慣で高濃度水銀、和歌山・太地町民 他地域の4倍超健康被害は見られず環境省の国立水俣病総合研究センターは9日、クジラやイルカを食べる習慣がある和歌山県太地町の住民を対象に実施した「水銀と健康影響に関する調査結果」を発表した。全町民の3割にあたる1137人を調査、全国の他地域と比べて平均で4倍超の水銀濃度を毛髪から検出した。水銀中毒の可能性を疑わせる症状は見られなかったが、うち43人は世界保健機関(WHO)の基準値50ppmを超えていたため、同センターは今後も調査を続ける。 ◇
同町沿岸では、国際的な規制の対象外となっている小型のゴンドウクジラなどの漁が行われている。反捕鯨団体がクジラ類に高濃度の水銀が含まれていると主張し、一部研究者からも健康被害を心配する声があることから、町が同センターに調査を依頼していた。 発表によると、調査は夏季(2009年6〜8月)と、クジラ類をよく食べる冬季(10年2月)の2回にわたって実施。町民から魚介類の摂取状況を聞き、毛髪を検査した。 その結果、夏季調査の毛髪水銀濃度は男性が平均11・0ppm、女性が6・63ppmで、同センターが国内14地域で調べた平均値(男性2・47ppm、女性1・64ppm)を大きく上回った。最大値は男性が139ppm(14地域40・6ppm)、女性が79・9ppm(同25・8ppm)だった。神経障害の症状が出る可能性があるとして、WHOが定めた基準値の50ppmを上回ったのは、夏季、冬季を合わせて43人だった。 夏季調査対象者のうち、調査前の1か月間にクジラ類を食べた人は36・8%で、国内14地域の調査で「クジラをよく食べる」とした人が1%未満だったことから、同センターは、同町の摂取状況と水銀濃度に相関関係があると結論づけた。 一方、濃度の比較的高い住民ら182人を対象に神経内科検査を行ったところ、メチル水銀中毒の可能性は認められなかった。 メチル水銀で、高濃度に汚染された魚介類を直接、地域住民らが繰り返し摂取し、毛髪水銀濃度が700ppmになった患者もいた水俣病と、今回のケースでは、健康被害について、単純比較はできないという。 岡本浩二・同センター所長は「平均を上回る水銀濃度は、イルカ、クジラを摂取した影響と推定される。特に健康被害は認められないが、濃度が非常に高い人がいるため、引き続き調査したい」と話している。 水銀濃度 自然界の水銀は、海の微生物の働きなどでメチル水銀へと変化し、プランクトンに取り込まれる。その後、食物連鎖によって濃縮していく。食物連鎖で上位の肉食性のクジラ類やマグロ類などには、水銀が多く取り込まれているとして厚生労働省は、2003年、妊婦に対し摂取量を減らすよう呼びかけている。
(2010年5月10日 読売新聞)
|
PR情報投稿募集大阪発刊 55周年記念リンクプレゼント(7月5日締め切り)
関西発のメルマガ「優遊悠」 |
会社案内|
サイトポリシー|
個人情報|
著作権|
リンクポリシー|
お問い合わせ| YOMIURI ONLINE広告ガイド| 新聞広告ガイド| 気流・時事川柳(東京本社版)への投稿| 見出し、記事、写真の無断転載を禁じます Copyright © The Yomiuri Shimbun. |