2世編
2010年6月6日
サンドバッグをたたく内藤律樹
作家沢木耕太郎氏の名著「一瞬の夏」でも知られる元東洋太平洋ミドル級王者のカシアス内藤(61)。1970年代の人気選手だった父の夢を長男が継いだ。単なる話題先行ではない。父が50代後半に横浜で開いたジムで教えを受け、昨年、選抜、高校総体、国体のライト級を制し、「高校3冠」に輝いた有望株だ。
生まれたのは父の引退後。幼い頃は野球に夢中だったが、中学生だった5年前、父が念願のジムを開設すると、ボクシングがぐっと身近になった。「おやじには家でも教わって、試合の映像も見せてもらった。プロっていいなと思った」
神奈川・磯子工高では自在に距離を変え、チャンスでたたみかけるスタイルで頭角を現した。父は「おれと違って度胸があり、土壇場でもびびらない。3年間で1冠でも取れればいいと思っていたから十分」。
当面はロンドン五輪を目指すが、夢は父が届かなかったプロの世界王者。「走れ」という父の教えを守り、朝は6〜7キロのロードワーク。昼間は港で力仕事をこなし、夜はジムに通う毎日だ。「今はカシアス内藤の息子とみられるけど、世界を取れば超えたと言われるし、親孝行にもなる。23、24歳までに達成したい」(広部憲太郎)
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ないとう・りっき 横浜市出身の18歳。中学生から父が会長を務める「E&Jカシアス・ボクシングジム」で練習を続ける。173センチ、左のボクサーファイター。得意なパンチは左ストレート、右ボディー。