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【政治】

5日間は『首相2人』 危機管理上問題に

2010年6月5日 朝刊

 四日に内閣を総辞職した鳩山由紀夫首相と、衆参両院で新首相に指名された菅直人民主党代表。日本にはいま、二人の「首相」が存在している。

 内閣の引き継ぎは、通常であれば一日で終わることが多い。内閣が総辞職した日に、衆参両院で首相指名選挙があり、そのまま組閣、皇居での天皇による首相任命式と閣僚認証式を経て、新内閣が正式に発足する。

 今回は組閣が八日にずれ込むため、首相と新首相の二人が八日まで併存することになった。

 最近では、一九九四年に細川護熙首相と後任の羽田孜首相が四日間併存した例がある。

 憲法七一条は、内閣が総辞職した場合には「内閣は新たに首相が任命されるまで引き続きその職務を行う」としている。このため、菅氏が首相に任命されるまで、鳩山内閣は引き続き「職務執行内閣」としてとどまる。菅氏が任命式を終えるまでは、法的には首相はあくまで鳩山氏だ。

 とはいえ、衆院解散を強行したり、有事で自衛隊に「防衛出動」を命令するような高度な政治判断を、菅新首相を差し置いて、既に退陣した「死に体」の鳩山首相にできるのか。

 憲法学者の間では、職務執行内閣が行えるのは「行政の継続性を確保するための日常的な事務に限られる」との解釈が主流。内閣官房は有事の対応などは「分からない」としており、内閣の交代に時間を空けることは、危機管理上問題だと指摘されている。

 

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