『週刊ダイヤモンド』特別レポート
【第88回】 2010年6月2日
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週刊ダイヤモンド編集部

「ニコニコ動画は得体の知れなさが強さになっている」
ドワンゴ会長 川上量生インタビュー

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「経営には関心がない」と語るドワンゴの創業者・川上量生会長は、とりたてて経営戦略を披露することはないが、発想は十分に“戦略的”である。着メロなど携帯電話向けコンテンツで時代の流れをつかみ急成長、この5月にはオンライン動画配信サービスを運営する「ニコニコ動画」が、世界で初めて黒字化した。川上会長に、話を聞いた。(「週刊ダイヤモンド」編集部 池冨 仁)

川上量生 (Nobuo Kawakami)
1968年生まれ。京都大学工学部卒業後、PCの知識を生かしてソフトウエアの専門商社に入社。同社倒産後の97年、PC通信用の対戦ゲームを開発するドワンゴを設立。2000年に代表取締役会長に。03年に東証マザーズ上場、翌年に東証1部に市場変更。07年には、子会社のニワンゴで「ニコニコ動画」を開始する。大阪育ち。
Photo by Toshiaki Usami

―川上さんのツイッターの自己紹介文には、「会社の経営なんてしていません。BS(貸借対照表)もPL(損益計算書)も読めません。日本のネットを元気にするために今日もつぶやきつづけています」とあるのですが、あれは本当ですか?

 はい。事実です。BSもPLも普段は見ませんね。株主総会では、ヒマだなと思っても、文庫本を読むと怒られますし、じっと資料を読むしかありません。だから、そのときに、ほとんど初めて売り上げなどの数字を知ります。

―業務の執行役は、社長の小林宏氏(野村證券出身で長らくスクウェアの役員を務めたゲーム業界のベテラン)に任せているとして、そうすると川上さんの役割は何になりますか?

 そもそも僕は、会社の経営というものに関心がないんです。

 たとえば、ソフトバンクの孫正義社長は、すごく優秀な経営者だと思います。彼の発想力、行動力、そしてスケールの大きさは、常人には真似できない。

 僕には無理ですね。それに、孫さんみたいになりたいかといえば、必ずしもそうではない。そもそも、「流派が違う」という感じです。

 どちらかと言うと僕は、考え方がエンジニア寄りなので、経営は得意な人に任せて、新しいサービスを開発したり、仕組みをつくったりする仕事に専念したい。

―先の第2四半期決算発表会では、子会社のニワンゴが運営する動画配信サービス「ニコニコ動画」が、初めて黒字化したと発表しました。その理由は、どんな仕組みにあるのですか?

 黒字化の最大の理由は、動画を優先的に視聴できる有料の「プレミアム会員」が、1年前と比べて倍増(80万人)したことですね。しかも、ニコニコ動画の退会率は異常なほど低いことです。

 たとえば、インターネット上の有料課金サービスでは、一般的に退会率は20~30%と言われますが、ニコニコ動画ではその半分をさらに下回るので、会員になってくれた人は、なかなか退会しないという特徴があります。

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