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【口蹄疫パニック(下)】機能しなかった「防疫指針」 甘い認識にウイルス猛威 (3/3ページ)
このニュースのトピックス:口蹄疫
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「前回の経験は“逆効果”となってしまった。『制圧できる』という過信を生んだともいえる」。東京大の山内一也名誉教授(ウイルス学)は指摘する。
昨年の新型インフルエンザの国内感染時には、事前に定めていた政府の行動計画が「強毒性」であったことが、大げさな対応を招きパニックを導いた。
今回は逆に、事前の想定が甘かったことがパニックへとつながった。
「新型インフルエンザと違って、口蹄疫のもたらす被害には前例がある。さまざまなリスクのシナリオに基づいた態勢を立てておくべきだった」。山内名誉教授は指摘する。
また、明石教授はこう警鐘を鳴らす。「今回はまだ宮崎県以外に広がっていない。今回以上の不運というのも十分ありえる」
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連載は高橋裕子と千葉倫之が担当しました。
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■種牛の移動 種牛は人口繁殖用に精液を提供する血統の良い雄牛。育成には最低でも7年はかかるとされる。宮崎県の種牛から生まれる子牛は評価が高く、「松阪牛」(三重県)は4割が宮崎にルーツを持っている。口蹄疫の発生を受け、熊本県や鹿児島県などでも、それぞれが管理する種牛の分散や離島への避難が始められている。