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【口蹄疫パニック(下)】機能しなかった「防疫指針」 甘い認識にウイルス猛威 (1/3ページ)
このニュースのトピックス:口蹄疫
4日午前0時、宮崎県えびの市の口蹄(こうてい)疫対策本部。「ご苦労さまでした」。村岡隆明市長は握手で職員をねぎらった。3週間異常がなく、同市の発生地を中心とした家畜の移動・搬出制限は解除された。
「感染疑いを発表する前に殺処分を終えていた。初動が早かった」。えびの市の職員はそう振り返った。
一方、川南町など県東部での感染は拡大を続けている。3日も5農場で新たな感染疑いが確認された。埋却地不足で殺処分が遅れ、さらに感染が広がる悪循環から抜けられないでいる。
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4月20日に見つかった感染。国や県の見通しを上回る速さで拡大していった。
「種牛が危ない。なんとか逃してくれ!」
最初の疑い例が発見された直後から、宮崎県の担当部局には、種牛の隔離を求める畜産農家の声が多く寄せられていた。
だが、県は種牛を動かせずにいた。種牛を飼育する県家畜改良事業団が発生2日目には移動制限区域に入っていたからだ。
「動かずに防疫すると決めた。“守り”の姿勢だった」。県の担当者は悔やむ。結果的に事業団施設にもウイルスが入り、50頭もの貴重な種牛を失った。