ユニセフ大阪通信(Vol.7. No.27 2007年7月15日発行)


輝く創意 光る情熱
 子どもの日イベント大成功 テーマはアフリカ


  第13回理事会、第11回評議員会は6月12日開かれ、2006年度事業報告および決算報告が承認され、任期2年の役員改選がおこなわれました。子どもの日を中心にさまざまなイベントに支部ボランティアが総出でがんばりました。創意と情熱でユニセフの輪が確実に広がっています。

 今年で4回目を迎えた新梅田シティ・積水空中庭園下広場での「子どもの日チャリティイベント・困難に直面している世界のこどもを救おう」は、実行委員会で「今年は全面的にユニセフでいきましょう」と決定。支部の総力をあげての準備に取りかかりました。ボランティア活動の喜びは、小さくても自分の力で、世界の子どものために、と知恵を出し合うことです。今年は会場設計にも支部の意向が全面的に採用されました。

 総タイトルは「アフリカ」。「ユニセフ大阪通信」でアフリカを追ってきた総決算でもありました。一人が言いました。「難民キャンプのテントを会場に張れない?」。一人が「そうだ、彼に頼んでみたら!」ユニセフ東京事務所副代表の平林国彦さんに電話。平林さんは直ちにコペンハーゲンのユニセフ事務所に連絡を取ってくれました。が、今すぐ手に入るのは大き過ぎて今回は見送りました。

 実行委にテント4張りをお願いしました。今アフリカの子どもを直撃している三つのテーマ「マラリア」「エイズ」「紛争」に一つずつ、4つ目はカード販売に。テントを取り巻くように「今アフリカで起きていること」「HIV/エイズの危機と子どもたち」の写真パネル百枚。

 そこに平林さんからスゴイ話≠ェ飛び込んできました。「一般には公開されたことのないマラリア原虫を見ませんか?」。平林さんは心臓手術専門の医師でした。親しい国立国際医療センター(東京新宿区)の狩野繁之部長が原虫のプレパラートを貸してくれるという。今年アフリカから帰国した患者から採取したホヤホヤの原虫という。ボランティア一同「やったあ」と歓声。ところが、千倍の顕微鏡(購入すると最低2百万円!)をどこで借りるの?光学会社から借りるにしても費用はどうするの?喜んだりガックリしたり。「これがボランティアの面白さ」。顕微鏡のレンタルの費用は理事の一人が引き受けてくださって解決。

 長い準備の末、5月3、4、5日は天気に恵まれて、集まった市民は1万5千人。支部ボランティア延べ60人が汗を流しました。各テントとも予想以上の人気。

 「マラリア」コーナーでは、「卵型マラリア」と「熱帯熱マラリア」の原虫のプレパラートを顕微鏡からスクリーン上に写し出しました。恐ろしいマラリアも色鮮やか。3日の朝刊(毎日新聞)に「マラリア原虫一般公開」の紹介記事が載り、新聞を片手に「子どもの時、マラリアに罹った」と訪れたお年寄りが何人もいました。もはやマラリアは日本にはほとんどいません。60年前、敗戦で外地から帰国した人のなかにはマラリア患者がいたのです。 

 「あなたにとってのアフリカのイメージ」を書いていただくコーナーには「人の役に立ちたい」「力になりたい」「やぶれたノートを自分でぬってなおしてすごいと思いました」「大人の問題を子どもの世代まで引き継がせてはいけない」「I hope all the problem including disease and conflicts will end in the near future」など106枚が貼られました。

 会場で大阪外大の「リンガ・ザ・ンビラバンド」(ジンバブエの音楽を楽しみ援助する)「ツマイニ・ニュンバーニ」(ケニアのエイズの母親を支援)の学生たちとの友情が生まれました。イベントの終りに支部ボランティア登録をしてくれた学生、物品売上から募金してくれた学生も。

 会場では、新梅田シティ郵便局が、来場者が持参した古はがきなどを換金してユニセフ募金へ。各協賛店舗でも募金へご協力いただくなど、新梅田シティの全面的なご協力あっての成功でした。



第13回理事会・第9回評議員会開催

 日本ユニセフ大阪支部の第13回理事会と第11回評議員会が6月12日、大阪市北区の中央電気倶楽部で開催されました。理事、監事、評議員が、二年に一度改選される年にあたり、新役員が別項のように選出されました。 また、2006年度の事業報告、決算報告を審議、了承されました。

日本ユニセフ協会大阪支部 役員(敬称略・役職別・五十音順)
任期:2007年8月1日〜2009年7月31日
顧問 天江 喜七郎 外務省特命全権大使関西担当  評議員 安達  洋 日本ユニセフ協会大阪支部
ボランティア
梅棹 忠夫 国立民族学博物館顧問 石本 正明 大阪府立高等学校長協会会長
太田 房江 大阪府知事 宇野 郁夫 日本生命保険会長
木原 敬介 堺市長 岡本 直之 近畿日本鉄道副社長
小林庄一郎 関西電力顧問 鍛治舍 巧 松下電器産業役員
田代 和  近畿日本鉄道相談役 綛山 哲男 大阪府教育委員会教育長
会長 藤 洋作 関西電力相談役 桂  文珍 落語家
副会長 古野 喜政 毎日新聞社社友 金児 曉嗣 公立大学法人大阪市立大学
理事長・学長
専務理事 江並 一嘉 日本ユニセフ協会大阪支部
事務局長
上川 裕秀 日本航空インターナショナル
執行役員
常務理事 伊東 文生 連合大阪会長 栗山 善男 大阪市立高等学校長会会長
佐々木 伸 大阪国際交流センター
名誉顧問
黒川  浩明 大阪アーティスト協会代表取締役
芝野  博文 大阪ガス社長 小林 正一 大阪市立小学校長会会長
新堂  友衛 大阪市信用金庫理事長 是永  駿 国立大学法人大阪外国語大学長
辻井 昭雄 関西経営者協会会長 坂  貴之 連合大阪副事務局長
松下 正幸 松下電器産業副会長 新谷 秀一 国際ロータリー第2660地区
ガバナー
森  詳介 関西電力社長 木紀代子 ガールスカウト日本連盟大阪府
支部長
理事 井植  敏 大阪府国際交流財団会長 武内 眞子 大阪市立幼稚園会会長
小嶋 淳司 関西経済同友会代表幹事 田中福一郎 大阪府にぎわい創造部国際交流監
齋藤  明 三晃空調社長 辻  一郎 大手前大学評議員
下妻 博 関西経済連合会会長 仲尾  昭 大阪市立中学校校長会会長
田辺 聖子 作家 中島  賢 大阪ガス秘書部長
津村  明子 大阪府生活協同組合連合会
会長理事
永田 祥子 大阪市教育委員会教育長
寺田千代乃 アートコーポレーション社長 梨田  昌孝 野球評論家
堂元 光 日本放送協会大阪放送局長 難波 利三 作家
野村 明雄 大阪商工会議所会頭 橋本 寛樹 大阪市市長室国際交流担当部長
濱崎  寛 医療法人健正会理事長 浜田 進士 聖和大学人文学部准教授
森下 俊三 西日本電信電話社長 藤井 克裕 大阪いずみ市民生活協同組合
副理事長
森田  俊朗 宗教法人四天王寺
代表役員執事長
降旗高司郎 関西国際交流団体協議会専務理事
山口 昌紀 近畿日本鉄道会長 別所 俊顕 日本ボーイスカウト大阪連盟理事長
山崎 正夫 西日本旅客鉄道社長 堀井 良殷 大阪21世紀協会理事長
吉野伊佐男 吉本興業社長 前川 朋久 国際経済労働研究所理事長
監事 郷田 紀明 公認会計士 松園萬亀雄 国立民族学博物館館長
谷 五佐夫 弁護士 水島 富子 国際ソロプチミスト大阪
林 秀春 税理士 三林 京子 女優
南    努 公立大学法人大阪府立大学
理事長・学長
宮島登美子 日本ユニセフ協会大阪支部
事務局次長
宮原 秀夫 国立大学法人大阪大学総長
向井 利明 関西電力副社長
もず 唄平 作詞家


広がる協力支援の輪

皆様のご支援に厚くお礼申し上げます


 2006年度支部に寄託された募金とカード収入の総額は4874万円(前年度0.6%増)であり、日本ユニセフ協会を通じてユニセフ援助資金に充てています。
 募金総額は4499万円、募金協力者名は本誌各号に掲載していますが、募金協力者件数および募金額は、個人84件・477万円、団体・企業100件・3476万円、学校82件・219万円、支部活動326万円でした。緊急募金については5月27日インドネシア・ジャワ島中部に発生した大規模な地震災害に対して35件、845万円が寄せられました。
 募金額では団体・企業が77%を占めています。生活協同組合、ライオンズクラブ、国際ソロプチミスト、青少年団体、労働組合、商店街、市民団体、宗教団体などさまざまな組織団体が含まれています。企業による実行委員会方式のイベントで毎年継続している取り組みもあります。学校については幼稚園、小・中学校、高校、専門学校と幅広く協力していただきました。事前に相談を受けるケースも多く、チラシ、ポスター、募金箱などを提供しました。
 支部活動ではジャワ島地震緊急街頭募金(6月近鉄あべの橋駅)、支部設立五周年記念イベント・チャリティ・ウォーク(7月大阪城公園・中之島・市役所折り返しコース)、チャリティコンサート(10月四天王寺)、実行委員会方式によるチャリティ・バザー(10月OCAT)、歳末ハンド・イン・ハンド街頭募金(12月15ヵ所)、写真パネル展などの事業機会に企業、団体、行政のご協力を受けて取り組みました。
 カード(はがき、ギフト含む)は定価の約50%を現地活動資金に充てます。収入総額は375万円(前年比5%減)でした。カタログ製品の支部への委託が減り、買取制が拡大し品揃えが不足したことが、減収の主な要因でした。音楽会、四天王寺、協力団体イベントでのカード販売は、ユニセフと支部を広報する草の根型の活動であり、ボランティアが積極的に取り組んでいます。支部イベントを含めて外部販売機会は、延べ147日、収入は168万円でした。
 募金とカードに直接、間接にご支援、ご協力いただきました各位に厚くお礼を申し上げます。引き続きご支援賜りますようお願い申し上げます。


アートと愛とユニセフと

 アートフェスティバル2007が5月7日から13日まで、堂島アバンザ1Fホールで開かれました。(社)日本広告制作協会関西支部のクリエーターたちが「都市に生活する人」に対する「愛」をアートによってわかりやすく発信し、都市の美観やマナーの向上、環境問題の解決に貢献する、というのが主旨。50名余りのプロクリエーターによる思い思いの斬新な手法によるイラスト、写真、ポスターのボードがアバンザのホールに展示され、集まる人の興味を引きました。大阪支部も一部参加のかたちで資料を並べ、配布しました。入り口を一歩は入るとバナーのユニセフブルーがサッと目を引く絶好の場所を提供していただき、事務所のすぐ近くでしたので、1時間ずつ交代でたくさんのボランティアが参加しました。オフィス街のため、昼休みや退け時には若い社員たちが立ち寄って質問を投げかけたり、募金をしてくださったりで、1週間という長丁場にもかかわらず、実りある時間でした。


すいた国際交流プラザに参加

 5月12日、13日に吹田産業フェアが開かれ、その一環として「すいた国際交流プラザ」が市役所隣りのメイシアターで催されました。
 ユニセフは、屋上の軽食コーナーの一角にテントを張っていただき、カードとグッズ、Tシャツの販売をしました。奥まった所でしたが、軽食コーナーを目当てに来られるお客様の多くが、ユニセフブースをのぞいてくださり、お買い上げいただきました。「昨年も買いました」と言ってくださる方々が多く、ありがたく感じました。段差があったため車椅子で来られた方やご年配の方に、ブースをご覧いただけなかったことが残念でした。
 暑い一日でしたが、カードの売り上げは上々でした。雨が降らず幸いでした(大朝むつみ)


ユニセフ そこが知りたい!

Q.ユニセフの使命ってなんだっけ?

 ユニセフは1946年に創設されて以来、「第二次世界大戦の犠牲になった子どもたちに緊急援助」を行う国連の暫定機関として活動し、1953年以降は恒久機関となって「貧困の犠牲になっている子どもたちへの長期的援助」を行ってきました。
 
 創立50周年の1996年、活動の指針を「ユニセフの使命」として文章にまとめ、「子どもの基本的なニーズを充たすための援助をする機関」から、子どもの権利条約にもとづいて活動する「子どもの権利を守るための支援をする機関」へ、使命を大きく変えました。ユニセフはいつの時代も子どものために働く機関です。

ユニセフが活動の計画を立てるとき重視することがら

・ 子どもにとって一番よいことを提供する
・ 差別がないこと
  住んでいる地域や性別、年齢などによって損をしたり、差別をされたりしない
・ 子どもの命と健康を守るためのプログラムに力を入れる
・ 子どもの意見や考えを生かし、いろいろな場面で子どもが参加できるようにする


Q.ユニセフの収入はどこから?何に使われるのですか?

●収入
 ユニセフの収入はすべて任意拠出によるものです。
主な資金源は、政府や政府間機関と非政府/民間部門(個人や団体)の2つです。日本ユニセフ協会が拠出したお金は民間部門に入ります。

 2006年度の総収入は27億8,100万米ドル。このうち16億1,300万米ドル(58%)が政府と政府機関から、7億9,900万米ドル(29%)が非政府/民間部門からの拠出で、1億7,800万米ドル(6%)が機関間からの拠出で、1億9,000万米ドル(7%)がその他からの収入でした。

●支出
 2006年のユニセフ総支出額は23億4,300万米ドル(損金を含む)
そのうちの22億6,100万米ドル(96.5%)をプログラム協力費に、7,600万米ドル(2%)をユニセフの管理・運営費に、約700万米ドル(0.3%)を損金その他の支出に充てました。

 また、プログラム協力費のうち、21億1,900万米ドルが直接プログラム支援に、1億4,200万米ドルが事業管理費に充てられました。

直接的なプログラムに使用する通常予算は、以下の3つの指標をもとに各国に割り当てられます

1.5歳未満児の死亡率 
(出生時から5歳になるまでに死亡する子どもの割合。出生1,000人あたりの死亡数で表す)
2.所得水準(1人あたりのGNI=国民総所得の額)
3.18歳になる前の子どもの人口


 
Q.ミレニアム開発目標とユニセフの活動に関わりがあるのですか?
 
 2000年9月、国連ミレニアム・サミットで、「国連ミレニアム宣言」が採択されました。

 このミレニアム宣言は、平和と安全、開発と貧困、環境、人権とグッドガバナンス(良い統治)、 アフリカの特別なニーズなどを課題として掲げ、21世紀の国連の役割に関する 明確な方向性を提示しました。

 「国連ミレニアム宣言」と1990年代に開催された主要な国際会議やサミットで 採択された「国際開発目標」を統合し、ひとつの共通の枠組みとしてまとめたものが「 ミレニアム開発目標」です。 ミレニアム開発目標は、2015年までに達成すべき8つの目標が掲げられています。開発目標の多くは子どもの健康と福祉に直接関連しているため、 これらを達成することにより、多くの子どもたちの生活を改善することができます。
 
 ミレニアム開発目標が達成されればこの10年間で数百万人の子どもたちの生活が変わります。
   

出典:財団法人日本ユニセフ協会ホームページ
参考:援助機関における教育協力−ユニセフの場合− 澤良世